表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/102

第49話 店主の本気

結局、一人も怪猫神を捕まえることはできなかった。

「にゃははは♪」

怪猫神は頭の上で得意げに尻尾を振っている。

「流石は神様ですね」

校長は苦笑しながらも満足そうだった。

「ですが皆さん、最後まで諦めずに走り続けました。いい訓練になりましたね」

「好奇神、約束は守るにゃ〜♪」

「わかってるよ、今度持ってくるね」

怪猫神と子供たちが遊んでいる間、料理が運ばれ始めていた。

「おい!好奇神!終わったなら手伝ってくれ!」

店主に呼ばれた俺は厨房へ向かった。

「何するの〜?」

「おう!お前が持ってきたこいつを捌きたいんだが、デカすぎてな。俺一人じゃ無理だ!お前に手伝ってもらいてぇ!魔王様もお願いします!」

「全然いいよ〜♪」

「我もか?」

「お願いします!」

「というか、さっきよくこのサイズをキャッチ出来たね・・・」

「ギリギリだわ!アホが!」

「・・・魔王さん持てる?」

「無論だ」

ヒョイ

魔王は軽々と持ち上げた。

「すげ〜、店主さんも見習わなきゃ♪」

「無理に決まってんだろ!」

「魔王様、そのままこの台に乗せてください!」

「うむ」

モササウルスを調理台へ乗せる。店主はモササウルスを捌く為の長い包丁を取り出した。

「どうやって捌くかなぁ・・・」

料理人に口を出しちゃいけないと思い、俺と魔王は黙って見ていた。

「これだけじゃダメだな」

店主はそう言うと、厨房の奥から巨大な調理器具を持ってきた。

「でかぁ・・・こんなのもあるんだね」

「お前がこの前アノマロカリスを持ってきただろ。

どうせお前のことだから、またろくでもねぇもん持ってくると思ってな!鍛冶屋に特注で作らせた!」

「流石店主さん♪」

「よし、まずは頭を落とすぞ!魔王様は頭を抑えてください。好奇神は反対側から包丁を押してくれ!」

モササウルスの解体が始まった。

首元に特注の包丁を入れていく。

「思ったよりも硬いな。好奇神!もう少し押してくれ!」

「おっけ〜♪」

二人がかりで包丁を入れていくと骨に当たった。

「この骨はこいつで切る」

店主はノコギリ状の刃物へ持ち替え、ゴリゴリと骨を切断していく。

「この骨からもいい出汁が出そうだな!」

思ったよりも余裕そうな店主だった。

骨を断ち切り、再び包丁を手に取る店主。

「好奇神!さっきと同じ要領で切るぞ!」

「わかった〜♪」

こうして頭を切り落とし、魔王が頭を持っている。

そこだけ見ると悍ましい光景だが、これは調理だ。

「次は手足を切るか。二人とも体を支えていてくれ!」

魔王と俺はモササウルスを支えていた。

あっという間に手足を切り取る店主を見て、二人は『流石店主だな』と思っていた。

「次は内蔵だ。こいつらは何食ってんだろうな!」

店主は腹を開き、内臓を取り出していく。

「さぁ、見てみるか!」

胃袋に包丁を入れる。

「どれどれ・・・くっさぁぁぁぁ!!」

店主が鼻を抑え、飛び跳ねる。

強烈な腐敗臭を放つ半分消化された魚が大量に詰まっていた。

「にゃ!クサッ!」

「そりゃ直に嗅いだらそうなるよ〜・・・クサッ」

「当たり前だな・・・クサッ」

厨房中に臭いが漂っている。

その時、俺の頭の上から何か垂れてきた。

「なんだこれ?」

「猫神が泡吹いてるぞ」

「猫神様ぁぁぁぁ!」

「さっさと洗い流して換気だ!おい好奇神!窓開けてこい!」

俺は全力ダッシュで窓を開けた。

「猫神様!生きてますか!?」

「・・・強烈だったにゃ」

その後内臓や血を洗い流し、厨房内の臭いも収まり、怪猫神も回復し、調理を再開した。

モササウルスを部位ごとに切り分け、下処理が終わる。店主は料理を考え始める。

「とりあえず食ってみるか」

店主は各部位を一切れずつ口に入れた。

「生で!?店主さん!?」

「まずは素材の味を知ってからだ!」

店主は各部位の味や食感を確認し、飲み込んだ。

「・・・よし、大体わかった」

「だが、一つの部位がとんでもねぇ量だし、初めての食材だからなぁ・・・」

「俺の直感でやるぞ!まずは脚だが、こいつは揚げた方が美味い!」

店主は揚げ物用の鍋を用意し、一口サイズにカットした脚を揚げ始める。あたりには香ばしい匂いが広がり、食欲をそそる。

「出来たぞ!」

俺たちは揚げたての唐揚げを口に運ぶ。

「・・・どうだ?」

「うまぁ!」

「うまいな」

「うまいにゃ♪」

「よし!唐揚げは他のやつに任せて次やるぞ!」

店主は城の料理人に指示を出し、唐揚げを作らせた。

「尻尾は脂もあって比較的柔らかかったからステーキだ!」

輪切りにした尻尾を鉄板で焼き始める。表面を強火で焼き、余熱で中まで火を通す。

「火を通し過ぎると硬くなりそうだからレアにした!食ってくれ!」

俺たちは切り分け、頬張る。

「うまっ!肉汁凄いね!」

「うむ、脂の旨みと肉の旨みが美味だ」

「うまいにゃ♪」

「・・・猫神様?さっきから油やら肉汁やらが顔に滴ってくるのですが」

「気にするにゃ♪」

「・・・はい」

「これは焼き加減が難しいな。俺がやった方がいいか」

店主はステーキを後回しにし、次へ取り掛かる。

その後も各部位を直感と経験で料理にしていく店主。

味見をしてお腹いっぱいになりつつある三人。

モササウルスの調理が終わり、三人が会場へ戻ると、料理はほとんど無くなっていた。

「三人とも遅かったですね」

影宰が空いた皿を片付けていた。

「俺らほとんど食べてないんだけど・・・」

「1028人以上居ますからね。早かったですよ」

少し笑う影宰。

創造神がこちらへ手を振っている。

「美味しかったよ〜♪」

「ね〜みんな〜♪」

「は〜い!」

創造神の合図で生徒全員が答えた。まるで音爆弾のような威力だった。

「美味しかったならよかったよ♪」

子供たちに囲まれて笑顔で接している創造神。

「うむ、随分と懐かれているようだな」

「あの方は好奇神様が厨房に戻られた後、私や校長と一緒に子供たちと遊んでいました。凄い方です。子供とはいえ魔族ですから、相当の体力を消費したはずです」

「創造神も俺と同じで面白いことには全力だよ。だから子供たちも懐くんじゃないかな?」

「創造神が懐かれているのも好奇神様の力かもしれませんよ?」

「まさか〜」

俺は影宰の言葉の意味を考えたが、わからなかった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第50話 月神


感想・誤字報告などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ