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第41話 笑顔と悲鳴

創造神は魔王との会話の後、疲れたのかすぐに寝てしまった。

「ありがとうね」

「何故貴様が言う。礼を言うのはこちらだ」

「創造神を受け入れてくれたからだよ」

「創造神は本気で仲直りしたいと思っているんだ。だから俺との約束を守ってくれたし、自分から話しかけるのは怖かったはずだけど、魔王さんはちゃんと向き合ってくれた。だから、ありがとう」

「・・・」

魔王は何も言わなかった。

「戻りました」

影宰と校長が戻ってきた。

「おかえり〜、中庭はどうだった?」

「素晴らしかったですよ」

「お庭の手入れをしてくれる職人さんがいるのですね」

「魔王様はいかがでしたか」

「うむ」

「そうですか」

影宰は静かに笑った。

その後影刃も部屋に戻り、それぞれが就寝した。

『そういえば店主さん帰ってこなかったな』

そう思いながらも、眠気に負け眠りに落ちた。

翌日ーー

目を覚ますと魔界組がすでに起きて、魔王は縁側から外を眺めていた。

「おはよう」

「うむ」

「店主さんは?」

「まだ戻っておらん」

「え・・・、探しに行った方が・・・」

言いかけたその時、部屋の扉が開いた。

「いや〜!帰り道が分からなくてよぉ!」

店主だった。どうやら部屋の場所がわからなくなり、フロントで寝ていたところを女将さんが見つけて連れて来てくれたそうだ。

「とりあえず・・・お風呂入って来たら?」

「おう!行ってくるわ!」

店主は風呂場へ向かった。

「・・・帰ってこれますかね」

「・・・影刃、頼む」

「・・・はい」

影刃は店主の後を追って行った。

「ふぁ〜・・・あ」

創造神も起きてきた。

「おはよう、よく眠れた?」

「眠れた〜」

まだ眠いのか目を擦っている。立ち上がり、魔王に向かって

「おはよう♪」

「うむ」

俺は前へ進んだことを実感し、自然と笑みが溢れていた。

影宰と校長もそれを見て微笑んでいた。

バァン!

「おい!ここの風呂は外にも風呂があったぞ!」

台無しだった。

その後俺たちは荷物をまとめ、旅館を後にした。

「ねぇねぇ、今日はどこに行くの?」

創造神が目を輝かせている。

「今日は遊園地に行くよ〜」

「なんだそれは」

「人間界の遊ぶことに特化した施設かな」

「色々なアトラクションがあるから楽しいよ♪」

「楽しそ〜♪」

「それは子供たちも喜びそうですね」

遊園地について話しながらバスに乗り、遊園地へ向かった。

遊園地ーー

「おっきい〜♪」

創造神は元気に両手を上げた。

「大きい施設ですね。この国にはこのような施設がいくつもあるのですか?」

「あるよ〜。それに施設によってアトラクションも違うんだ〜」

「すごいですね」

影宰は驚いた顔をしていた。

「魔王様、子供たちのためにこのような施設を作るのはいかがでしょうか」

「うむ、まずは我らが経験してから検討しよう」

「作る時は手伝うよ〜」

そして、入場。

真っ先に出店に向かおうとした店主を影刃が抑えた。

「影刃さん!何するんですか!?」

「・・・魔王様の命令だ」

「店主よ、料理の研究に熱心なのは良いことだが、みんなで来ている旅行だ。今日くらい料理のことを忘れてみんなで楽しまないか?」

「・・・わかりました!」

俺たちは案内図の前にいた。俺は簡単にアトラクションの説明をしてから、最初のアトラクションへ向かった。

コーヒーカップーー

「じゃあ組み分けはさっき話してたペアね♪」

好奇神•創造神ペア、魔王•影刃•店主ペア、影宰•校長ペア。

「創造神!最初から飛ばすよ♪」

「おっけ〜♪」

「魔王様!影刃さん!ここは俺が回します!」

「うむ」

腕を組んで鎮座する魔王、同じように腕を組んで座っている影刃

「楽しみましょうか」

「そうですね」

そして、アナウンスがありアトラクションが始まる。

「いきますよ〜!」

店主が回し始める。

「魔王様、いかがですか!?」

「悪くない」

その横で高速回転している好奇神と創造神。

「もっと回せ〜♪」

「あっはははは♪はや〜い♪」

静かに分析している二人。

「これはどういった原理で回っているのでしょうか」

「おそらく、遠心力を使っているのではないかと」

その時、高速回転している二人を見た魔王が腕を解いた。

「負けてられんな。店主よ代われ」

「え!魔王様が!?」

魔王は全力で回し始めた。

「ふんっ!」

「ちょっ!魔王様!早すぎますって〜!!」

好奇神、創造神ペアと同じように高速回転を始める。

「楽しんでますね、あちらは」

「そうですね。ですが子供たちが乗る時は軽く回す方が良さそうです」

高速回転している二つのカップ。時折、店主の悲鳴のようなものが響いていた。

アトラクション終了のブザーが鳴り、コーヒーカップが止まる。

「楽しかったね♪」

「ね〜♪」

何事も無かった好奇神と創造神。

「うむ、なかなか楽しめたぞ」

「・・・さすがです」

「・・・」

普通に降りてくる魔王と影刃、そしてフラフラしている店主。

「ここは、子供たちに案内できそうですね」

「そうですね」

子供たちのことを考えていた、影宰と校長。

「店主さん、大丈夫?」

「だ・・・大丈夫・・・うっ!」

店主が口を抑えてトイレに走った。

「やりすぎだよ〜」

「すまん、お前らを見ていたらついな」

しばらくして店主が戻ってきた。

「店主よ、すまなかった」

「大丈夫ですよ!次も楽しみましょう!」

「うむ」

俺たちは次のアトラクションへ向かった。

「次は落ち着いたものに乗ろうか♪」

向かった先にあるのはメリーゴーランド。

「かわいい〜♪」

「これは子供たちが喜ぶと思うよ」

「この施設は子供たちのことも考えて作られているのですね」

校長は子供たちと来た時のことを考え、メモを取っていた。

馬車型には好奇神、創造神、影宰、校長。

馬形には魔王、影刃、店主が乗った。

「魔王さん、影刃!前のポールに捕まって!」

二人は腕を組んで馬にまたがっている。

「これしきのことで我が落ちるわけがなかろう」

「・・・余裕」

そしてメリーゴーランドが回り出す。

「これはゆっくり回るのですね」

「そうだよ〜。というか前の三人はなんというか・・・シュールだね」

上下に動く馬に腕を組んでまたがる大人二人、しっかりポールに捕まっている小太りの大人。

周りからしたらとてもシュールな光景だった。

「このスピードなら子供達も安心ですね」

「早く子供たちと来てみたいです」

「本当に校長は子供思いだね〜」

「当然ですよ。子供たちは宝物です。これからどんな成長をするのか楽しみです」

アトラクションが終わりみんなが降りていく中、落ちかけていた魔王を俺は見逃さなかった。

「魔王さん、今・・・」

「何も見ていない。良いな?」

「あっはい」

こうして次のアトラクションへ向かった。

「次のアトラクションは今までとは少し違った体験型だよ〜」

俺たちはお化け屋敷の前にいた。

「ここはあえて何も言わずに入るね♪」

案内図で唯一説明をしていない場所だった。

「楽しみ〜♪」

お化け屋敷へ入る。先頭は好奇神、後ろに創造神、店主、校長、影宰、影刃、魔王と並んでいる。

「くら〜い・・・」

「なかなか雰囲気ありますね」

「これは怖がる子がいますね」

突然お化けが飛び出してくる。

「きゃあああああ!」

「うわあああ!」

驚いた創造神、その声に驚く店主。

「よく出来ていますね。店主さん、歩きにくいのでくっつかないでください」

「迫力のある演技ですね」

「・・・」

「何をしている?」

お化け役は一瞬固まり、魔王の顔を見た。

「・・・失礼しました」

そう言って静かに奥へ戻って行った。

その後も何度かお化けが現れるたびに創造神と店主悲鳴が響き、気が付けば出口だった。

「みんなどうだった?」

「怖かった〜・・・」

創造神は少し涙目になっていた。

「全然怖く無かったぜ!」

店主の足は震えていた。

「お化け役の演技も迫力も素晴らしかったですね」

「ええ、ですが子供たちが怖がるのはあまり見たくないですね」

相変わらず分析家な二人。

「・・・」

影刃と魔王は『何が面白いんだ?』といった表情をしていた。

「それじゃあ、ちょっと休憩しようか。お昼ご飯もそろそろかな」

ご飯という言葉を聞いて一気に目を輝かせる店主。

スッと横に影刃が付いた。

「わかってますよ!影刃さん!」

『多分、暴走するだろうな』

全員がそう思いながらお昼ご飯を食べに向かった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第42話 料理人は止まれない


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