第39話 寿司と城
神社を出た後、この国の食文化である"寿司"を食べに行く事にした。
「この後はお昼ご飯で寿司を食べに行くよ」
「寿司だと!?また聞いたことねぇ料理だな!」
「寿司は酢飯と魚を使った料理だよ。今日は握り寿司を食べるんだ。」
「魔界には無い食べ方ですね」
「うむ、魚は焼くからな」
「店主さん、お店の中では絶対に騒がないでね?」
「わかってるよ!心配すんな!」
そう言いながら店主は大笑いしていた。
寿司屋ーー
店に入ると、色とりどりの寿司が皿に乗せられ、目の前のレーンを流れていた。
「おい好奇神!見てみろ!寿司が回ってるぞ!」
「・・・」
早速騒ぎ出した店主。
「すご〜い♪」
「面白い仕組みですね」
「この"ガリ"というものはなんだ」
「これは子供たちも楽しく食べられそうですね」
店主だけではなかった。みんながそれぞれに興味を持ち、騒ぎ出した。
だが、影刃だけはいつもの影刃だった。
「とりあえず、みんな落ち着こう」
「ここでは握って欲しい寿司を、言ったら握ってくれるよ」
「料理長!まぐろってやつをくれ!」
「あいよ〜」
「店主さん・・・早いって」
「早く食いてぇからな!」
「まぁ、今の店主さんみたいに好きなの頼んだらいいよ」
「それと、回転してるのも好きにとったらいいからね」
そして、それぞれが食べたい寿司を頼み出した。
「私たまご〜♪」
「我はこのタイというものを頼む」
「私はアジというものをお願いします」
「・・・サバ」
「私はお子様プレートをお願いします」
「あいよ!」
店のスタッフは全員の注文を聞いて作り始めた。
「校長先生!?」
「まず子供たちが食べられるものを食べてからですよ」
『熱心だなぁ、この人』
それぞれが注文した寿司が渡された。
瞬間に店主と影刃は食べ始めた。
「いただきますくらいしようよ・・・」
「店主よ、少し落ち着け。影刃もだ」
魔王の一言で二人が落ち着いた。
「すいません魔王様。初めての料理なのでつい・・・」
「・・・申し訳ありません」
『おぉ、さすが魔王だな』
そして合掌をしてからそれぞれが食べ始めた。
「おいし〜♪」
「生魚とはうまいものだな」
「ええ、このような食べ方があるとは思いませんでした」
「これは子供たちも食べられそうですね」
「・・・うまい」
その後、慣れてきたのか自由に注文し、食べていた。
その時、店主があるものを見つけた。
「おい!この緑の物はなんだ!?」
「それは・・・」
そう言いかけて口を閉じた。
『わさびなんだよなぁ。何も言わずに食べさせたらどんな反応になるんだろうか』
「この国ではみんな付けて食べるんだよ♪」
そう言って俺は、みんなの寿司にわさびを付けた。店主だけ大量に付ける。
「なんか俺のだけ量が多くないか?」
「店主さんは料理人だから、しっかりと味わって欲しいんだ♪」
「そうか!」
わさび付きの寿司を口へ運ぶ。
「・・・」
「から〜い!!」
創造神は涙目になり、鼻を抑えている。
「これは・・・ゴホッ!・・・刺激が・・・ゴホッ」
魔王は平静を装うが装えていない様子だ。
「これは刺激が強いですね・・・ゴホッ!」
影宰は普通に刺激を食らった。
「これは子供たちには無理ですね」
校長は涙目になりながらも子供たちのことを考えていた。
「・・・うまい」
影刃は微動だにしなかった。だが、少しだけ涙目になっていた。
「からぁぁぁぁ!!ゲホッ!ゲホ!」
店主はわさびの刺激に負け、涙が溢れていた。
その後、店主が暴走しかけるのを魔王が止めたり、俺は影宰と校長の質問攻めにあい、創造神がレーンの寿司を取り損ねたりと色々あったが無事に食事が終わった。
「・・・みんな食べすぎでしょ」
計143皿、主に影刃だがまさかこんなに食べるとは思わなかった。
会計を済ませ、次の目的地へ向かう。
「次はどこへ行くの〜?」
創造神が聞いてきた。
「次はお城に行くよ〜♪」
「ほう、この国にも城があるのか」
魔王は興味がありそうな表情をしていた。
「正確には"あった"かな。今は観光地になってるんだよ」
「そうか・・・少し惜しいな」
魔王は少し残念そうな表情に変わった。
「なぜそうなったのですか?」
影宰が質問をしてくる。
「元々は、領主が自分の領地を守る為に作った要塞なんだけど、時代が進むにつれ平和になり、要塞も不要になったんだ」
「壊したりはしなかったんですか?」
影宰に続き、校長も質問をしてきた。
「壊さなかった理由は、見たらわかると思うよ」
俺の回答に、魔界組は首を傾げていた。
城ーー
「おっきい〜♪」
創造神がはしゃいでいる。俺たちは城の下に来ていた。
「これは・・・見事だ」
魔王は城を見て感動していた。
「面白い形の城ですね。魔王城とは全く違います」
「これは子供たちにいい見学をさせてあげられそうですね」
この二人は相変わらずだった。
もう一組の二人は、相変わらず消えていた。
「あの二人のことはもういいか」
「放っておけ」
「しかし、石で作られた土台の上に木造の建物が建っているのか」
「壊さなかった理由は、美しい外観と建築技術の高さから壊さなかったんだ」
「確かに美しいです。それに土台の石はおそらく自然な石でしょう。それを複雑に積み重ねていく技術は相当な物ですね」
「しかし、数百年もの間、修理や維持は大変だったでしょう」
「だから今こうして、観光地としていまだに活躍しているんだよ」
魔界とは全く違う形の城、それだけで魔界組は城に釘付けになっていた。
「中にも入れるよ〜」
「ほう、では行くとしよう」
俺たちは城内へ入った。
中は観光客向けに整備されているが、当時の物が残っている部分もあった。
「これはなんですか?」
校長が展示されている当時の物を見ていた。
「これは鎧と刀だね。昔の人の装備って言ったらわかりやすいかな」
「全てが硬い素材では無いのですね」
「この国のは動きやすさと美しさを両立させているのが特徴だよ」
「この刀とやらは随分と細いのだな」
魔王は展示されている刀を見て言った。
「刀はただの斬る武器だけではなく、芸術品であり、武士の魂の象徴だったんだ」
俺の説明を真面目に聞く魔界組、そしてそれを見て何故か嬉しそうにしている創造神。
「どうしたの?」
「なんでもないよ♪」
「?」
天守閣へ向かう間、この城の構造、防御の工夫などの説明をしていた。
そして天守閣。
「すご〜い♪」
天守閣からの眺めに興奮している創造神。
「・・・」
魔王は何も言わなかった。その表情は感動しているようにも、考えているようにも見えた。
「周りが川のような物で囲まれているのですね」
「敵の侵入を遅らせる為だね」
「昔の方は色々と考えられていたんですね。これは子供たちに考えさせるいい場所になります」
「相変わらず教育者だね〜」
天守閣を堪能し、階段を降りる時創造神が滑り落ちた。
「いた〜い!」
「大丈夫?」
「大丈夫〜」
「敵が一気に攻めてこないように、わざと急に作ってあるんだ。気をつけてね」
「気をつける〜」
そして無事に下まで降りてきた。
「どうだった?」
俺は魔王に聞いていた。
「素晴らしい物だ。人間の考えと技術で生まれたこの城はこの国の宝だろう。だが、現役ではないのが惜しいがな」
魔王の言葉を聞いて、嬉しくなった。
「お〜い!やっぱりこの国の食文化は最高だな!!」
店主がぶち壊した。
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次回 第40話 同じ方向へ
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