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第37話 それぞれの夜

俺たちはホテルへ向かっていた。

「お腹減ったぁ〜」

「そういえばまともにご飯食べてなかったね」

俺たちは人間界に来てから遊ぶことに夢中ですっかり食事のことを忘れていた。

「ホテルに着いたらご飯にしようか」

全員が賛成した。

店主だけが賛成以上の反応だった。

「ようやく人間界の飯が食える!気に入った物は魔界に取り込んでやるぜ!」

「さすがは料理人ですね」

「期待しているぞ」

「任せてください!」

そして、ホテルに到着した。

「チェックインしてくるから待っててね」

そういうと俺はフロントに向かった。気になったのかみんな着いてきた。

「すいません、予約した"高木"です」

「確認しますので、少々お待ちください」

後ろで魔界組がわいわい騒いでいる。

「ほう、予約システムがあるのか」

「店主の店に導入してみては?」

「俺の店は予約なんかしなくても入れますよ!」

フロントのお姉さんが口を開く。

「はい、確認致しました。7名でお越しの"高木真"様ですね。お部屋は9階になります」

俺は鍵を受け取った。

「ありがとう」

振り返ると全員が驚いていた。

「"好奇神"で予約できるの!?」

「違うよ〜、この国の名前風にしただけだよ」

全員の頭に?が浮かんでいるように見えた。

「あとで説明するよ」

そういうと俺たちは部屋に向かった。

俺はエレベーターを待っている間にさっきのことを説明した。

「さっきの"高木真"は適当に考えたこの国の名前だよ。この国は苗字と名前で分かれてるんだ〜」

「予約とか、名前を使う機会が多いからね」

説明をしていると、エレベーターが到着した。

「行くよ〜」

「好奇神よ、この箱はなんだ」

「これは"エレベーター"だよ。高い建物を移動するときに使うんだ」

「昇降機のようなものか」

「魔界にもあるの?」

「ここまで大きくはないがな」

「へぇ〜、今度乗ってみよっと♪」

こうして9階へ着いた。

「部屋はここだよ〜。荷物だけ置いてご飯を食べてから部屋割り決めようね」

みんなは一部屋に荷物を置いて、レストランへ向かった。

ホテル内レストランーー

「ひろ〜い♪」

100人は収容できるほどに大きい会場、ビュッフェ形式で、様々な料理が並んでいる。他の利用客も多く、俺はみんなに少し注意した。

「他のお客さんもいるから、なるべく迷惑をかけないようにね。」

「あれ?店主さんは?」

「あそこだ」

魔王に指を指された方向を見ると、既に店主がビュッフェの列に並んでいた。

「はやっ!まぁ、店主は料理に関しては真面目だから問題は起こさないか」

俺たちは席につき、俺はビュッフェ形式に着いて説明をした。

「じゃあ俺はここで待ってるから、みんな取りに行っていいよ〜」

そういうとみんなが料理を取りに行った。

しばらくして、店主が戻ってきた。

ドンッ!

「店主さん・・・。こんなに食べられるの?」

「見たことのない料理ばかりだったからな!つい取りすぎちまったぜ!」

『これは俺、少なめにしておこう・・・』そう思いながらみんなが戻ってくるのを待っていた。

魔王が帰ってきた。店主に負けず劣らずの量。

「魔王さん、全部食べれる?」

「余裕だ」

影宰と影刃、校長は他の利用客の事を考え、普通の量だった。

創造神が戻ってこなかった。

「ちょっと見てくるから待ってて」

俺は創造神を探しに行く。スイーツビュッフェのところで創造神を見つけた。

創造神はスイーツを自分の皿に乗せ、それを食べるという奇行を繰り返していた。

「創造神!」

ビクッとなって振り向いた。

「料理取って戻るよ!」

「・・・はい」

戻るついでに、俺も料理を取った。

席に戻り、みんなで合掌。それぞれが食べ始める。

みんなが人間界の料理に興味津々。

『これはなんだ』とみんなから聞かれるので、俺は落ち着いてから食べることにした。

突然、店主が叫んだ。

「シェフを呼べぇぇぇぇ!」

その声に、会場にいる全ての人が反応した。

「ちょっと店主さん!大きい声出さないで!」

「シェフゥゥゥゥ!」

その奇行を見た会場スタッフがシェフを呼んでくれていた。

「お客様!いかがなさいました!」

シェフは"何か問題があったのか?"と言った表情をしていた。

「この料理を作ったのはお前か?」

「はい!私と厨房のスタッフで作らせていただいてます。何か問題がありましたか?」

「問題・・・だと?」

店主は少し黙った。そして。

「美味すぎて問題だらけだぁぁぁぁ!」

「おいシェフ!この料理の味はどうやって出しているんだ!?この料理の火加減は!?この料理の調理法は!?全部教えてくれ!」

「・・・」

その場にいる全員がぽか〜んとした表情をしていた。

「えっと・・・ありがとうございます?」

店主は止まらなかった。

「厨房を見せてくれ!」

「申し訳ありません。それはできかねます」

俺たちは『あぁ、いつもの店主だな』と思い、食事を続けた。

その後も、店主からシェフへの質問は止まらず、答えられるところだけを答えていた。

「魔王様!これで魔界の料理をもっと美味しくできますよ!」

俺は慌てて店主の口を塞いだ。

「え・・・魔王?魔界?」

シェフは驚いたような顔をしていた。

「すいません!この人酔っ払っているみたいです!気にしないでください!」

「そう・・・ですか」

そういうとシェフはお辞儀をして戻っていった。

「店主さん、他のお客さんに迷惑をかけないでって注意したよ?」

「はぁ!?俺は聞いてねぇぞ!?」

そうだった、その時には既に列に並んでいたんだった。

「とにかく、他のお客さんに迷惑はかけないでね」

「わかったよ!」

こうして、人間界での食事会一回目が終わった。

俺たちは部屋に戻り部屋割りを決めていた。

「この部屋以外にも部屋は3つ取ってるよ。誰がどの部屋になるか決めよう」

「好奇神よ、お前は創造神と一緒で決まりだろ?」

「え?なんで!?」

「制御役だからですよ」

影宰がクスッと笑いながら言った。

「創造神はそれでいいの?」

「いいよ〜」

「決まりだな」

俺と創造神の部屋が決まった。

「残りの部屋割りはどうするの」

魔界組が相談している。

「我は1人部屋でも構わんが・・・」

「万が一、魔王様の身に何か起きたら大変ですので、魔王様は2人部屋です」

「そうか・・・」

魔王も決定権はなかった。

「影刃よ、貴様はどうする」

「・・・魔王様」

「影刃が一緒なら安心ですね」

魔王と影刃の部屋が決まった。

「残るは、影宰、校長、店主さんか」

「店主さんは1人でいいんじゃない?なんか今日食べた料理の研究でうるさそうだし」

「そうですね、私も買った本を少し読みたいと思っていたので」

「私も、子供たちのために今日学んだことをまとめたいですね」

「決まりだな」

「・・・俺の意見は!?」

店主の1人部屋が決まった。

そして影刃、影宰、店主にカードキーを渡した。

「これが部屋の鍵ね。このカードを通すと鍵が開くから無くさないでね」

「こんな薄い板が鍵なのか」

「人間界の文明は進んでますね」

魔界組はカードキーを何度も眺めていた。

俺はそんな反応を見て思わず笑ってしまった。

そしてそれぞれの部屋に入り、各々過ごしている。

魔王と影刃は人間界の酒を静かに飲みながら夜の街を眺め、影宰と校長は本を読み、学んだ事をまとめ上げ、店主は奇声を上げながら料理の復習をしている。

俺と創造神は話していた。

「人間界はどうだった?」

創造神はぬいぐるみを抱えながら答える。

「楽しかったよ〜♪」

「まさか魔族の人たちと旅行に来れるとは思わなかったし♪」

「好奇神のおかげだね♪ありがとう♪」

「俺は何もしてないよ。気になったから動いただけ」

「何が気になったの?」

「魔王さんや他のみんなが、俺のいた世界をどう感じるのか」

窓の外を見る。俺は今日を思い返していた。

魔王も他のみんなも、楽しんでくれている。創造神も"楽しかった"と言ってくれた。俺はこの旅を計画してよかったと思っていた。

「ふぁ〜ぁ・・・」

創造神があくびをしていた。

「疲れた?」

「ちょっと・・・ね〜」

そういうと、創造神は眠ってしまった。

創造神をベッドに運び、俺も眠りについた。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第38話 それぞれの興味


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