第34話 検証
俺は考えていた。"好奇心"の力は必ず誰かを引き寄せる。となれば、色々と試したくなった。
「ちょっと試したいことあるから、行ってくるね」
「どこへ行く」
「人間界」
シュッ!
そういうと俺は人間界へ向かった。
人間界ーー
俺は人間界にある市場に来ていた。
『俺の予想が正しければいるはずだ』
そう思いながら市場を回る。そして、見つけた。
「オーナー、何してるの?」
「好奇神様じゃないですか!?」
「ちょっ!人間界でその呼び方はやめて?」
俺はオーナーに小さく言った。
「すいません」
「それで、何してるの?」
「以前頂いた食材が人間界の物だったので、気になって見に来ました。ですが、アンモナイトとアノマロカリスがどこにも売ってないんですよ」
「そりゃそうだよ〜。太古の生物だからね」
「そうでしたか。それでも気になる食材は沢山あるのでいくつか買って帰り、試作してみます」
「楽しみにしてるね〜」
そういうと俺はその場を離れた。
『ここにオーナーがいるということは、神界に今オーナーはいないはず』
シュッ!
俺は急いで神界に戻った。
神界ーー
神界に戻った俺は、オーナーの店に向かった。
店の扉を開けて中に入る。
「好奇神様、まだ試作してないですよ」
「・・・なんでだぁぁぁぁぁ!!」
人間界にいたはずのオーナーがそこにはいた。
『意味がわからない!ついさっきまで人間界にいたよな!?なんでここにいるんだ!?』
そう思いながらそっと扉を閉めた。
「・・・」
『落ち着け、絶対見間違いだ』
もう一度扉を開ける。
「いらっしゃいませ、好奇神様」
俺は扉を閉めた。
『まぁ、たまたまってこともあるよね』
俺はそう思うようにした。
次の検証はどうするか考えていると、創造神がやってきた。
「何してるの〜♪」
「検証」
「なんの?」
「創造神が言っていた"好奇心"の力の」
「あぁ〜、意識しなくても誰でも引き寄せるやつか〜」
「個有の力ってすごい強いからね〜、どこに行っても必ず誰かいるよ♪」
「それをどう振り切ろうか検証しているんだよ」
「無理だと思うなぁ〜」
「やってみなきゃわからないよ。それにちょっと面白くなってきてるんだ」
「面白いの?」
「必ず誰かに会うなら、誰がいるんだろうってワクワクするのと、それをどう振り切るか考えるのも楽しい」
「面白そうだけど私が参加したら意味ないからね〜」
「意味がない?どういうこと?」
「だって私が一緒にいたら、私がもう巻き込まれてるってことになるから力は発動しないよ?」
「あ〜、なるほど」
この力は一人で行動している時に発動するらしい。最初から複数でいれば、その人たちが巻き込まれている判定になるから力は発動しない。
「じゃあもし、俺と創造神が一緒に行くと仮定したとして、ギリギリ視認できる範囲まで離れたらどうなるのかな?」
「う〜ん、個有の力はその神だけの力だからどうなるかは、わからないかなぁ」
「試す価値はありそうだね。創造神、ちょっと付いてきて」
「は〜い♪」
シュッシュッ!
俺たち2人は検証のため、太古の海へ向かった。
太古の海ーー
着いた俺たちは、創造神をギリギリの範囲まで離れさせ、歩いていた。
「誰にも会わないな。一定の距離を離しても力は発動してるってことなのか、創造神が俺を認識してるから巻き込んでいる判定になるのか・・・」
「う〜ん、わからんなぁ」
「・・・試してみるか」
シュッ!
俺は創造神に何も言わずに移動した。時間を超えず、ただ場所を移動しただけ。
「さて、どうなる」
しばらく歩いていると、人影があった。
管理神だった。
「こんなところで何をしている」
管理神は俺を見つけ、近づいてきた。
「個有の力の検証」
「ほう、また面白いことを始めたな」
「自分の力のことは知っておきたいじゃん?」
管理神は笑った。
「それで、どうだった」
「わかったのは、距離が離れていても、相手が俺を認識していれば巻き込んでる判定になる。
認識から外れれば、違う誰かを引き寄せる。ってことかなぁ」
「その"認識"が鍵になりそうだな」
管理神は真面目な顔で考えていた。
「それで?今回の検証の被害者は誰だ?」
管理神は真面目な顔から悪戯っぽく笑う。
「被害者って・・・、せめて協力者って言ってよ」
「創造神だよ」
「・・・お前、創造主様になんてことさせてんだ」
「考えてたところに来たから、丁度いいやって」
「・・・」
管理神は呆れた顔をしていた。
「・・・そのうち創造主様に怒られるぞ」
「大丈夫だよ〜」
その時、遠くから声が聞こえた。
「いた〜!!」
創造神だった。
「もう!急にいなくなるなんて酷いよ!」
「ごめんごめん!でもわかったことはあるよ」
「何がわかったの?」
俺は創造神に説明した。
「へぇ〜、そうなんだぁ」
「じゃあ目を閉じたり、壁越しの場合はどうなるの?」
「多分、"そこに居る"って認識がある場合は、力は発動しないと思う。逆に、今回のように急に消えたら、認識が外れて力が発動する。だから管理神に会ったんだと思うよ」
創造神はほぇ〜という顔で聞いていた。
「そろそろ帰ろうか」
そういうと3人は神界へ戻った。
神界ーー
神界に戻ると案内神がいた。
「どこへ行っていた」
案内神は真面目な顔で聞いてきた。
「個有の力の検証」
「ほう」
案内神は興味がありそうな顔をしていた。
そして俺は説明した。
案内神は『やはりな』という顔をしていた。
「あのさ・・・、みんなはこの力のこと知ってるでしょ?」
「何故そう思う」
「前に"神と人間の絶対的な違い"について話してくれた時に案内神は俺の個有の力の"一部"を話してくれたじゃん?」
「・・・」
3人は黙っていた。
「一部を知ってるってことは全部知ってるでしょ?」
3人は顔を見合わせた。
そして案内神が静かに口を開く。
「知っている」
「じゃあなんで全部教えてくれないの?」
「それはお前の個有の力だ。他者の干渉で開花させるわけにはいかない。お前自身の力で開花させ、作っていく力だ」
俺は黙った。別に意地悪だと思っているわけではない。
俺の力は、俺が育て、花咲かせる。
妙に納得していた。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第35話 第1回好奇神主催!魔族と行く人間界ツアー
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