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第33話 一人にならない一人旅

祝賀会から数日、俺はどこかの屋根で横になって空を見ていた。『この先どうやって仲を取り持とうかなぁ』そう考えていた。

一歩前へ進んだが、話し合いによってはどう転ぶかわからなかった。

考えていると創造神が顔を覗かせた。

「何してるの〜?」

「ちょっと考え事をね」

そういうと、俺は起き上がり創造神に聞いた。

「創造神はどうやって魔王と仲直りするか考えてる?」

創造神はしばらく考えていたが、答えは出なかったようだ。

「まぁ、今度、魔王と話してからだよね」

「うん♪」

「でもね、好奇神が一緒ならなんとかなりそうな気がするよ♪」

「俺は特に何もしてないんだけどなぁ」

「そんなことないよ♪」

そういうと創造神は屋根から飛び降りた。

そこに案内神が来て、俺に言った。

「暇そうだな」

「考え事してたんだよ。管理神は?」

「仕事だ。お前も仕事してきたらどうだ?」

「今はそんな気分じゃないかな」

「・・・気分で仕事を決めるな」

案内神は呆れていた。

ここ最近は誰かと一緒に色々なところへ行っていた。久しぶりに一人旅するのもいいかもしれない。

「よし!決めた!」

「仕事か?」

案内神は"ようやく仕事をする気になったか"といった表情をしていた。

「違うよ?」

「は?」

「久しぶりに一人旅してこようかなって」

「おい待て!仕事はどうする!?」

「帰ってからする〜!」

シュッ!

そういうと俺はどこかへ向かって行った。

「いってらっしゃ〜い♪」

「・・・だから仕事をしろと言っているんだ」

案内神の声は好奇神には届かなかった。

時の狭間ーー

「さて、どこに行こうかな」

俺は行き先を考えていなかった。太古の海も恐竜もまだまだ見てない事はあった。だが、ピンとは来なかった。そして・・・

「よし!魔界に行こう!」

シュッ!

俺は魔界に向かった。

魔界ーー

魔界の入り口に着いた俺は呟いた。

「今日は一人旅だから誰にも見つからないようにしよう」

そう呟いた矢先。

「あれ?好奇神様じゃないですか!」

「早かったなぁ・・・」

さっそく見つかってしまった。

「今日は何用ですか?」

「今日は一人旅だから、俺を見たことは誰にも言わないでね?」

「わかりました!」

そういうと、魔族は離れて行った。

俺は気を取り直して、魔界の森の方へ歩いて行った。

魔界の森ーー

人間界にある森とは随分と違い、さまざまな動植物がそこにはあった。

「見たことの無い物ばかりだなぁ」

そう呟きながら森を散策していると後ろから声をかけられた。

「あれ!?好奇神じゃん!何してんだこんなとこで!」

振り返ると店主がいた。

「なんでこう、人に会うかなぁ・・・」

「なんだって!?」

「なんでも無いよ、ただ散策してただけ。店主さんは?」

「食材の調達だ!」

「へぇ〜、頑張ってね」

「なんだぁ?素っ気ないな!」

「今日は一人旅だからね。俺を見かけたことは誰にも言わないでよ?」

「わかったわかった!」

そういうと店主と別れた。

その後、森を散策して海へ向かった。

魔界の海ーー

ここも人間界の海とは違い、赤い海だった。なぜ赤いかは知らない。とりあえず潜ってみた。

「やっぱりここも全然違うなぁ」

魚介類から藻類に至るまで全く違った。

「さっき店主さんに何が食べられるか聞いとくんだったなぁ」

とりあえず食べれそうな物に目星をつけ、海から上がった。

「あ!好奇神先生!こんにちは〜!」

声をかけてきたのは魔界学校の生徒たちだった。

「・・・こんにちは〜」

「何してるの〜?」

「今日は一人旅だよ〜。だから俺を見たことは内緒だよ?」

「は〜い!」

相変わらず、元気な子供たちだった。

『なんでいく先々で、こうも人に出会うんだ?』

そう思いながら次の場所へ向かった。

魔界の山ーー

魔界の山は人間界とあまり変わらなかった。さまざまな地形をしており、所々洞穴があった。

俺はその洞穴の一つに入った。

「暗いなぁ、こういう時神の力で照らせないかな?」

俺は、指先に光をイメージした。すると指先が光り始めた。

「おぉ〜、やってみるもんだなぁ」

奥へ進む。見たことのない鉱石が埋まってたり、転がったりしていた。

結構奥に進むと、何やら音が聞こえた。

シュッ!シュッ!

何かを振っているように聞こえる。音の方へ進むと何かがいた。

「・・・何してるの、影刃」

そこには素振りをしている影刃がいた。

「・・・鍛錬」

「貴様こそ何をしている」

「一人旅・・・のはずなんだけどなぁ」

「・・・そうか」

そういうと影刃は素振りを再開した。

俺は邪魔しちゃ悪いと思い、その場を後にした。

魔界ーー

一人旅のはずが、色々な人に出会い、色々と疲れた俺は、魔界の平野を歩いていた。

「貴様、好奇神か」

顔を上げると魔王がいた。

「お前もか、魔王さん・・・」

「どういう意味だ?」

「なんでもないよ、魔王さんは何をしてるの?」

「うむ、この区画の整備がまだ終わっていなくてな。影宰と下見に来ておったのだ」

「好奇神様、こんにちは」

「お前もか、影宰・・・」

「どういう意味でしょうか?」

「・・・」

「ところで影刃を知らないか?先刻から姿が見えんのだ」

「あの山の洞穴で素振りしてたよ・・・」

「そうか!影刃のやつ、鍛錬しておったか!」

「好奇神様、何やらお元気がないように見えますが?」

「あ〜、うん。そうだね」

「何があったのだ?」

「・・・一人旅のはずが、行くところに知り合いがいて、一人旅じゃなかった」

「・・・」

魔王も影宰も何も言えなかった。

「また出直すよ・・・」

シュッ!

そういうと俺は神界に戻った。

神界ーー

「ただいま・・・」

「帰ったか。一人旅はどうだった」

「・・・じゃなかった」

「なんだって?」

「全然一人旅じゃなかったよ!」

「行くところ行くところ知り合いばかり!どうなってんだよ!」

「・・・」

案内神は俺を見て何も言えなかった。

「それも"好奇心"の力だよ〜♪」

創造神が笑いながら言ってきた。

「マジかよ・・・」

「人々を巻き込む力は、意識しなくても引き寄せるんだよ。だから誰かに必ず会うんだ〜」

『一人旅くらい、させてくれよ・・・』

初めてこの力が恨めしいと思った。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第34話 検証


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