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第32話 一歩前へ

魔界で俺の祝賀会が開かれている。参加してるのは俺と創造神。

『この一件で魔王と創造神の仲がちょっとでも縮まるといいな』

そんな中、創造神が動きたそうにソワソワしていた。

「どうしたの?」

「あっちの料理食べたい!」

「取りに行っていいよ〜」

「は〜い♪」

創造神は料理を取りに小走りで向かった。言いつけを素直に守っている。

「信じられんな、あの創造神を制御できる者がいるとは」

魔王は驚いた様子だった。

「思っていた以上に、すごい神かもしれませんね。好奇神様は」

影宰は俺と創造神のやりとりを見てクスッと笑っていた。

そこに、店主が調理したアノマロカリスを持ってきた。

「お待ち!」

持ってきた料理は、神界とは違い、魔界の食材も使われた料理となっていた。

「おぉ〜、うまそう!さすが、店主さんだね!」

「当たり前だ!神界の料理人には負けんぞ!」

「私も食べたい!」

「ちょっと待ってね〜」

アノマロカリスが全員に行き渡る。そして、それぞれが口へ運んだ。

「・・・」

全員が無言になる。店主がそれぞれの顔を見て、表情を変えていた。

先に声を出したのは影刃だった。

「・・・うまいな」

その一言から、それぞれが感想を述べ出した。

「おいし〜♪」

「うまぁ!さすが店主さん♪」

「人間界にはこんなうまい食材があるのか」

「美味しいですね」

その感想を聞いて、店主の顔が明るくなっていく。

「俺だって魔王様に認められた料理人だからな!」

周りの魔族にも好評だった。俺は、『オーナーと料理対決させても面白そうだなぁ』と思っていたが口には出さなかった。

「店主よ、見事だ」

「ありがとうございます!」

「店主さんならできると思っていたよ!」

「お前、絶対面白がってあの食材渡してきただろ!」

「バレた?でも、美味しかったからいいじゃん♪」

「ったくよぉ・・・」

店主は文句を言いながらも嬉しそうだった。

その後、俺は魔王や影宰、影刃と今の魔界の事などを話しながら、飲んで食べて騒いでいた。創造神は時折、勝手に行動しそうになるが、俺の一言で席に座り、大人しくしていた。魔王との話を、創造神は真面目に聞いており、自分にできることを探しているように見えた。

宴もたけなわの頃、影宰が魔王に確認をとった。

「魔王様、そろそろ」

「うむ」

魔王は会場にいる全員に向かって話し始めた。

「皆、よくやってくれた。影宰、影刃よ、祝賀会の準備と管理、ご苦労だった。店主よ、未知の食材の調理、見事であった。好奇神よ、創造神の制御、ご苦労であった。貴様の今後の活躍を期待している」

魔王は今回の祝賀会に参加した者を労っていた。

「そして、創造神よ」

魔王が創造神に話しかけていた。

「我は貴様を許さん。魔界や我を作ってからの仕打ちを忘れておらん。だが、今回の事で考えを改めた。また神界と魔界について話そう」

俺は魔王の言葉を聞いて嬉しくなった。

隣では創造神が泣きそうになっていた。

「好奇神同伴だがな」

「やっぱり俺も参加なんだ・・・」

「当然だ、制御できる者がいなければ暴走するだろう」

会場全員が頷いた。

そして、俺たちは祝賀会を開いてくれた事、創造神を参加させてくれた事、全てにお礼を言い、神界へ戻った。

「じゃあ、またね♪」

「またね〜♪」

シュシュッ!

神界ーー

シュシュッ!

「ただいま〜」

「ただいま〜♪」

俺たちが神界へ戻ると、案内神と管理神が待っていた。

「戻ったか、祝賀会はどうだった」

案内神が心配しながら聞いてきた。

「楽しかったよ♪」

「約束は守ったのか?」

「ちゃんと守れてたよ〜。ね、創造神♪」

「守ったよ〜♪」

「・・・信じられん」

案内神は頭を抱えていた。

「本当に何も問題を起こさなかったのか?」

「店主さんは巻き込んだよ?」

「それはいつものことだな」

管理神が静かに頷いた。

「しかし、本当に約束を守れるとは思わなかった」

「も〜!私だってできるよ!私のことなんだと思ってるの!?」

「・・・暴走機関車?」

管理神の言葉に俺と案内神は腹を抱えて笑っていた。

「でもね、創造神がちゃんと守ってくれたおかげで一歩前進したよ」

「今度、魔王が創造神と話をするんだ。俺同伴だけどね」

案内神も管理神も驚いた顔をしていた。

「あの魔王が創造主様と話だと?」

「驚いたな」

「私だって魔王と仲良くなりたいもん!」

「ちょっとずつ、仲直りしていこうね」

「うん!」

祝賀会で創造神は成長した。本気で魔界との仲を戻そうと思っている。まだまだ俺が同伴だが、いつの日か魔王と創造神が笑って話せる関係になる事を俺は信じてる。

「次は何を持っていこうか?」

「は?」

「やっぱり、手土産は必要だよね?」

「ちょっと待て!」

「恐竜の肉は?モササウルスとか面白そうじゃない!?」

「また始まったか」

管理神は静かに呟き、案内神は頭を抑えた。


読んでいただきありがとうございました!


次回 第33話 1人にならない1人旅


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