第31話 祝われる神、巻き込まれる店主
神界観光が終わる頃、伝令神が現れた。
「伝令!魔界より好奇神様に文を預かっております!」
伝令神はそういうと、俺に文を渡した。
「では、私はこれにて」
シュッ!
「相変わらずあっという間に帰っちゃうなぁ」
「伝令神も忙しいからな」
「それよりなになに〜?なんて書いてあるの?」
創造神が面白そうといった表情で聞いてきた。
「えっとねぇ・・・」
『好奇神就任祝いを行う。明晩、魔界へ来られたし』
「俺の就任祝い?なんで?」
「お前は魔界で認められてたからな」
「それだけで?・・・ちょっと話をしてくる」
シュッ!
俺は魔界へ向かった。
「あいつも忙しいやつだな」
「少しずつ神らしくなってきたじゃないか」
案内神と管理神は笑っていた。
魔界ーー
「魔王さ〜ん」
「来たか」
俺は魔界へ行き、魔王と話した。
「なんで祝賀会?」
「貴様が正式に就任したと聞いたのでな」
「そうじゃなくて、なんで俺の?」
「貴様は魔界を変えた。子供達にもいい影響を与えた。それだけで祝う理由は十分だ」
「俺は何もしてないけどなぁ」
「あなたの行動が、みんなを巻き込み、魔界にとっていい方向に動いたんです」
影宰が微笑みながら伝えた。
「う〜ん・・・」
俺は考えていた。
『これも個有の力ってやつなんかな』
「まぁいいや、祝賀会には参加させてもらうね」
「それと一つ相談なんだけど・・・」
「なんだ?」
「創造神も参加させてもらえないかな?」
「創造神・・・だと?」
魔王の表情が険しくなる。それにつれて側近の顔も変わった。
「うん、俺が"好奇神"になったのも彼女のおかげでもあるしね」
「でも創造神の参加には条件を付けるよ」
「言ってみろ」
「まず一つ目、魔王さんには関わらない。
二つ目、勝手な行動はしない。
三つ目、俺の言うことは必ず聞く。
この三つの条件を守らせる」
「どうかな?」
「・・・」
魔王が側近2人と小声で話し合っている。
「どう思う」
「・・・危険」
「しかし、好奇神様がここまで条件を付けるのは珍しいですね」
「・・・本気なのか?」
魔王がこちらに向かって問い出した。
「本当に創造神を制御できるのだな?」
「大丈夫。約束は守るよ。」
「・・・」
「いいだろう」
「本当に!?」
「だが、条件を破れば祝賀会は終わり、即帰ってもらう」
「わかった」
こうして創造神の参加が決定した。
神界ーー
神界に帰った俺は、創造神に、祝賀会の参加が決まったこと、条件があることを伝えた。
「約束守れる?」
「守れる〜♪」
「信用できんな」
「俺もそう思う」
2人とも絶対に何かやらかすといった表情をしていた。
「じゃあ頑張って守ってね。俺はオーナーに手土産でもお願いしてから、ちょっと過去に行ってくるね」
そういうと俺は3人の目の前から消えた。
「オーナーのところはわかるが、何故過去なんだ」
「嫌な予感しかしないな」
案内神はため息をついた。
祝賀会当日ーー
俺と創造神は祝賀会の準備をしていた。といっても、創造神に条件の確認をしてるだけだが。
「ちゃんと守ってね?」
「大丈夫だよ〜♪」
普段は気にならないが、今はこの"大丈夫"という言葉がものすごく不安だった。
「創造主様、くれぐれも粗相のないように。」
「・・・無事に帰ってこい」
2人とも心配はしているようだが、その心配は好奇神と創造神に向けたものではなく、神界と魔界に対しての心配だった。
「じゃあ、行ってくるね」
「楽しんでくる♪」
そういうと2人で魔界へ向かった。
シュシュ!
魔界ーー
「ついた〜♪」
「ストップ創造神。城に入る前にもう一度確認だよ」
「大丈夫だよ。約束はちゃんと守るから」
おちゃらけた表情から真面目な表情に変わった。
俺はそれを見て少し驚いた。
「よし!」
そういうと城の門を開け、入って行った。
城の中はいつもと違い、お祝いの飾り付けが施され、いつもと違う雰囲気だった。
「わ〜、かわいい♪」
創造神はすでに楽しそうだった。
「魔王さん、きたよ〜」
「よく来たな。好奇神、そして創造神よ」
「今宵は祝いだ。好きに飲み食いしていけ」
「ありがとう。でもその前に・・・」
俺は創造神を見て言った。
「創造神、条件を言って」
「魔王には話しかけない。勝手に行動はしない。好奇神の言うことを聞く。」
「よし。じゃあ楽しもうか♪」
「うん♪」
それを見ていた魔王は呟いた。
「ほう・・・」
「本当に言うことを聞いてますね」
影宰が驚いたように言った。
「あっ、神界の土産持ってきたよ。神界のオーナーが作ったアンモナイト料理♪」
「すまんな」
城にいる給仕に土産を渡した。
そして。
「あと、店主さんいる〜?」
俺は、店主を呼んだ。
「こっちは店主さんにお土産ね♪」
そういうと俺は巨大なアノマロカリスを店主に投げた。
「おおぅ!!なんだこれ!」
「人間界の食材だよ♪」
「これをどうしろと!?」
「これで何か作って♪」
「はぁ!?こんな初見のものなんて調理できるわけねぇだろ!」
「ふ〜ん、神界のオーナーは初めてでも美味しく調理してくれたけどなぁ」
「は?」
店主はその一言にカチンときたようだ。
「やってやらぁぁぁぁ!」
そういうと、店主は何人かの魔族と共にアノマロカリスを奥へ運んで行った。
「お前・・・祝われに来たのだよな?」
「そうだよ?」
「もう店主を巻き込みましたね」
「・・・楽しみだ」
魔王たちは『相変わらずなやつだ』という表情をしていた。
「じゃあ創造神、ここに座って」
「は〜い♪」
創造神は素直に、椅子に座った。
「魔王様」
影宰が魔王に確認をとった。
そして。
「これより、好奇神就任、祝賀会を始めます」
「皆、今日は無礼講、好きに飲み食いし楽しむがいい!」
こうして祝賀会が始まった。
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次回 第32話 一歩前へ
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