第30話 珍味
厨房ではオーナーがアノマロカリスを捌くのに苦労していた。
「なぜアノマロカリスまで取ってきたんだ」
案内神が尋ねた。
「アンモナイトだけでも良かったんだけど、それだけじゃインパクトに欠けると思って」
「確かにインパクトはあったが・・・」
管理神は呟く。
「でも美味しいかもしれないよ?エビみたいだし」
「そこはオーナーの腕次第だな」
しばらくすると、オーナーがアンモナイトの調理が終わったのか、料理を運んできた。
「一応人間界のものですので、人間界の料理を作ってみました」
イカ焼きならぬアンモナイト焼き、アンモナイトの殻を使った壺焼き、シンプルなゲソの唐揚げ。
どれも見た目は美味しそうだった。
「おいしそ〜♪」
創造神が料理に手を伸ばしていた。
「落ち着いてください、創造主様」
案内神が創造神を抑えている。
「おい好奇神、お前から食べろ」
「なんで?」
「毒見だ。お前が始めた事だからな」
「毒見って・・・、もう少し言い方なかったの?」
俺はそうぼやきながら一口、料理を口に運んだ。
「・・・」
「いかがでしょうか?」
「・・・美味いね」
「本当ですか!?」
「やっぱり調理した方が、アンモナイトは美味くなるね〜」
そういうと他の3人も料理を口に運んだ。
「おいし〜♪」
「悪くない」
「こういう調理法もあるのか」
皆それぞれに感想を述べていた。俺はアンモナイト焼きを食べながら思い出していた。生前、妻と娘と行った祭りの屋台。イカ焼きが好きでよく食べていた。あの味と同じ。俺は少し涙を浮かべていた。
案内神は、それを見て何か言いかけたようだが、何も言わずに料理を食べていた。
「なんで泣いてるの〜?美味しかったから?」
創造神がぶっ込んできた。
「そうだね・・・」
俺は、全ては答えなかった。
全員が食べ終わる頃、オーナーがアノマロカリス料理を運んできた。
「こちらも人間界のエビに見立てて料理してみました」
「これも俺が先なんでしょ?」
「当然だ。お前が持ってきた食材だからな」
料理を口に運んだ。見た目からは想像できないほど身がプリッとしており、捕食者の頂点だったからなのか、旨みが凄かった。
「これも美味いねぇ」
「私も〜♪」
創造神が食べ始めると、案内神、管理神も食べ始めた。みんながアノマロカリスを食べながら『これはこのままで・・・』、『この料理の味付けが・・・』と話しているのをオーナーは真面目に聞いていた。
そして、アンモナイトとアノマロカリスを食べ終えた俺たちに、オーナーは言った。
「今日はありがとうございました。使い切れていない部分もあるので、自分なりに考えて調理してみます」
「オーナーなら大丈夫!全部美味しかったよ!」
「楽しみにしてるね!」
俺は、あの思い出に帰る為、定期的に通おうと思った。
「もし必要だったら、材料は俺と創造神で獲ってくるからいつでも言ってね!」
「ありがとうございます!」
こうして、俺たちは店を後にした。
その後、珍しい食材が食べられる店として繁盛し、オーナーはうれしい悲鳴を上げているが、それはまた別の話。
「この後はどうする。今日はあと一箇所くらいしか回れんぞ」
案内神が尋ねた。
「どうしようね」
俺は何も考えていなかった。
「狭間に行くか」
管理神が呟いた。
「なんで?」
「今、他の神が対応にあたっている。仕事を見学するのもいいだろう」
「そうだな、好奇神も判決をする側になったんだ。見ていて損はないだろう」
「あそこつまんないからやだ〜」
「創造主様、今日一日まともに案内してないのですから、一箇所くらい真面目にしますよ!」
「え〜」
俺たちは創造神の文句を聞きながら狭間へ向かった。
生と死の狭間ーー
「相変わらず何もないねぇ」
「判決を下す場所だからな」
死んだ後、俺が最初に来た場所。まさかまた来ることになるとは思ってなかった。
「貴様の判決は・・・」
ちょうど神が死者に対し判決を行っているところだった。
「冥界行きだ!」
死者は判決を受け、冥界へ飛ばされた。
「・・・冥界?」
案内神と管理神は『あっ・・・』といった表情になっていた。
「冥界もあるの?」
案内神は嫌々説明を始めた。
「貴様も神だからな、知っておいた方がいいだろう。本来、死者はここで判決を受ける。基本的に転生か冥界かの2択だ。転生は生前、悪行をほとんどしなかった者、冥界は悪行を行った者が行く場所だ」
「なんか閻魔様みたいだね」
「少し違う。我々は判決しかしない。転生と判決された者は閻魔の元へ送られる。人間界でいう地獄だな。そこで閻魔に転生先を決められる」
「そういう仕組みだったんだ〜」
「そうだ。そして冥界へ送られた者は、冥王の管理のもと、更生のため様々な仕事を行う。といっても普通に生活はできる。まぁ、更生施設のようなものだ」
「へぇ〜・・・、それって神も冥界へ行けるの?」
「・・・お前、行く気か?」
「まぁ、あるなら行くよね、気になるし」
「やはりそうなるのか」
「行く時は誘ってね♪」
「創造主様も乗らないでください」
「でもまだ行かないかな。神界でも魔界でもまだまだやりたいことはあるし」
「お前の好奇心は終わりがあるのか?」
管理神が静かに聞いてきた。
「終わりなんてないよ」
「だろうな」
管理神は静かに笑い、案内神はため息をつき、創
読んでいただきありがとうございました!
次回 第31話 祝われる神、巻き込まれる店主
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