第29話 諦めないアンモナイト
案内神の話を聞いて俺は少し考えていた。
俺の力は"様々な事柄の面白い側面を抽出し、周囲を巻き込む"それが俺の力の一部。一部という事は他にもあるのだろうが、いくら考えても答えは出なかった。
「次どこ行く〜?」
創造神は相変わらずだった。
「神として、知っておかないといけない場所ってある?」
案内神が答える。
「中央会議場、世界管理庫、生と死の狭間くらいか。急にどうした」
「さっき対等って言ってくれたからさ」
「神としての自覚が出てきたか?」
「そうなのかなぁ」
「でも見たいものは見たいし、行きたいところや体験したいことはまだまだたくさんあるよ」
「変わらんな」
案内神は静かに笑った。
「早く行こうよ〜!」
「そうだね、じゃあ行く場所は創造神に任せようかな!」
「!?」
「おい!好奇神!なんて事を!」
「だって、俺って創造神と同じタイプだし♪」
案内神と管理神は顔を見合わせ、ため息をついた。一方で、創造神は満面の笑みだった。
魔界ーー
「魔王様、神界にて正式に"好奇神"として神格が決定されたようです」
「そうか」
影宰が魔王へ報告をしていた。
「いかがなさいますか?」
「あいつには世話になっているからな。祝いでも開いてやろう」
「かしこまりました。日程を調整します」
「それと・・・」
「何か?」
「店主を呼べ」
「わかりました」
俺の知らない所で話が進んでいた。
神界ーー
俺は創造神の案内で会議場、世界管理庫と回っていた。
場所の説明は案内神が行なっていた。
「じゃあ、次〜♪」
案内神が創造神を止めた。
「お待ちください。創造主様」
「なに〜?」
「少し休憩を挟みましょう、神界の案内はまだまだ続きます」
「そうだね、賛成〜♪」
「好奇神よ、何か食べたいものはあるか?」
「そうだねぇ・・・」
俺は少し考えた。そして。
「アンモナイト食べに行く?」
「・・・」
全員が黙った。
「何故そうなる」
「前に食べたけどあまり美味しくなかったから、調理すれば美味しくなるかなって」
「そういう意味では無い、何故、神界観光の休憩でアンモナイトなのだ?」
「・・・なんとなく?」
案内神と管理神はため息をついた。
「行きた〜い♪」
創造神だけが返事をしてくれた。
「2人ともアンモナイト食べたことあるの?」
「そもそも、そういう発想にならない」
管理神は静かに答えた。
「え、なんで?おかしくない?」
「おかしいのはお前の頭だ」
案内神が呆れながら呟いた。
「ひどいなぁ、面白いのにね〜創造神♪」
「ねぇ〜♪」
案内神は深くため息をついた。『やはりこの2人は天災だ』そう改めて確信したのだった。
結局、案内神と管理神に止められ、神界のレストランに行くことになった。
「最初からこうすればいいのだ」
案内神は頷きながら放った。
「アンモナイト・・・諦めてないからね」
「・・・」
2人は呆れ、創造神だけが乗り気だった。
神界の料理は、人間界と似通った料理だった。見たことがありそうでない、そんな料理ばかりだった。
「普通に美味しいね」
「でしょ〜♪」
会話しながら食べていると、この店のオーナーという神が話しかけてきた。
「あの、お食事中すいません」
「なんだ」
案内神は食事を邪魔されたのが気に入らなかったのか、少し苛立たしげに言った。
「申し訳ありません。ご相談なのですが、見ての通りこの店はあまり人気というわけではありません。ここ最近は、お客の入りも悪く、どうしたらいいのかわからず、困ってまして」
「そんな事は知らん。自分でなんとかしろ」
「まぁまぁ、案内神落ち着いて」
俺は案内神を宥めつつ、案を考えていた。
「創造神に任せてみたら?」
「即閉店だな」
管理神が言い切った。
「ひどい!」
「じゃあ、他の店には無い新メニューを提供するとか」
「まぁ、その辺が妥当だろうな」
新メニュー、料理をあまりしない俺たちにとっては難問だった。
「あ!アンモナイト出そうよ!」
案内神は『またか』といった表情で頭を抱えた。
「アンモナイト・・・ですか?」
「そうそう!多分他の店は出してないと思うし、珍しいからお客さん来てくれるんじゃない?」
「しかし、私はアンモナイトを調理したことが無いですよ?」
「俺も無いよ?生で一度だけ食べたことあるけど、あまり美味しくなかったし」
「ならなんでアンモナイトなんですか?」
「俺は料理人じゃない、あなたはプロの料理人だ。アンモナイトでも美味しく調理できると思って」
「はぁ・・・」
オーナーは訳がわからないといった表情でこちらを見ていた。
「とりあえずやってみようよ。創造神!一緒に捕まえに行くよ!」
「やったぁ!」
そう言い放ち俺たちは古代の海へ向かった。
「いいんですか?」
「あいつらは一度言ったら止まらん」
「間違いないな」
管理神は静かに笑った。
古代の海ーー
俺たちは古代の海に着いた。
「さて、アンモナイト探そうか」
「お〜♪」
俺たちは海を探索しながらアンモナイトを探した。
「ねぇねぇ、あそこに大きな横穴があるよ!面白そうじゃない!?」
創造神が海の底付近にある、穴を見つけ指差した。
「行ってみようか!」
俺たちは穴の中を進んで行った。
すると奥から何か大きな生物が出てきた。
モササウルスだった。
「モササウルスだ!!!」
「逃げろ〜♪」
モササウルスは俺たちを食べようとして追いかけてくる。俺は『なんか前にも似たようなことあったな』と思い出しながら逃げていた。
「いや〜、焦ったぁ」
俺たちはモササウルスから逃げ切った。
「楽しかったぁ♪」
創造神は相変わらずだった。
「さっさとアンモナイトを捕獲して帰ろう」
そう言うと創造神が話しかけてきた。
「あのね・・・」
「いいねそれ!」
「でしょ〜♪」
俺たちはアンモナイトの他に別の生物を捕まえて帰ることにした。
神界ーー
「ただいま〜」
「ただいま♪」
俺たちは神界に帰り、先ほどのレストランに戻った。
「獲ってきたよ〜」
そういうと何匹かのアンモナイトをオーナーに渡した。
「じゃあとりあえず調理してみます」
厨房へ戻ろうとしたオーナーを引き止める。
「ちょっと待って、もう一つ食材を取ってきたんだ!」
そういうと俺はみんなを外に案内した。
そこにはアノマロカリスの姿があった。
「・・・アホかお前らぁぁぁぁぁ!!」
案内神は声を荒げた。
管理神はもうなにも言わなかった。
「大きいですね。ちょっと苦労しそうですが頑張って調理してみます」
そういうとオーナーは厨房へ戻った。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第30話 珍味
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