第27話 認められる
魔界学校ーー
魔界学校へ到着した好奇神ご一行。
校長先生の案内で校庭へ向かった。そこには全校生徒、1028人全員がスタンバイしていた。
「好奇神先生!こんにちわ〜!」
子供たちは元気な声で挨拶をしてくれた。こちらも負けじと挨拶を返した。
「こんにちわ〜!今日は呼んでくれてありがとね〜!」
校長先生、先生方、そして魔王と側近2人に遊び方の説明をした。
「何故、我らも説明を受けねばならんのだ?」
「俺1人で1028人を相手にできないよ〜。だから、道連れね♪」
「ちょっと待て!参加するとは言ったが見学という意味で・・・」
「知らないよ〜♪魔王さん、参加ね♪」
「・・・」
「魔王様、いい機会です。子供たちと触れ合いましょう。子供たちもきっと喜びます」
影宰が優しく魔王を説得していた。
「・・・仕方ない」
「おい!俺は参加しなくていいよな!?」
店主は『俺も参加なの!?』と言った顔でこちらを見ていた。
「店主さんは仕込みをお願いね。期待してるよ〜♪」
「店主よ、子供たちのために美味しい料理を頼むぞ」
「任せてください!今度は子供たちにも喜んでもらえるカレーを作ってみせます!」
そういうと、先生の1人が店主を連れて行った。
そして、全員参加の特別授業が始まる。
最初は"だるまさんが転んだ"を子供たちと遊ぶ。流石に全員では無理なのでグループ分けを行い、数回行った。
鬼役は好奇神。
「だるまさんが〜転んだ!」
子供たちは全員止まっている。
だが、魔王だけが一歩動いた。
「魔王さん、アウト〜♪」
「しまった・・・」
子供たちが大笑いしている。
「次を頼む!」
いつの間にか魔王も楽しんでいる様子だった。
次に"鬼ごっこ"。
先ほどの失態を取り戻そうと、魔王が鬼役に志願した。
「我が鬼だ!」
一瞬で全員を捕まえてしまった。
「魔王さん、それじゃあ遊びにならないよ〜」
「我は手加減を知らぬのでな」
魔王は使い物にならないので、影宰と影刃に鬼役をしてもらった。
2人とも手加減をしてるのか、子供たちも楽しそうに逃げ回っている。
ただ、時折見せる影刃の俊敏さは凄かった。
最後は"尻尾取り"。
尻尾をつけるのは校長先生、先生方、魔王、影宰、影刃、そして好奇神。
子供たちみんなで尻尾を取ってもらうようにした。
子供たちはみんな元気に走り回り、尻尾を取ろうと頑張っていた。そんな中、何人かが誰かを囲んでいた。魔王だ。魔王が子供たちにボコボコにされていた。
それを見ていたら子供たちに尻尾を取られてしまった。
「魔王さん、弱すぎでしょ〜」
「子供たちに花を持たせてやらんとな」
「まぁ、子供たちが楽しいなら何よりだよ」
「そうだな」
魔王と2人で残っている人たちを見ていた。
影宰は笑いながらひらりとかわしていく。影刃は無表情だが、無数の手から逃げている。
校長先生や先生方は頑張っていたが、取られてしまった。
「いや〜、子供たちは元気ですね〜」
そう言いながら、校長先生が2人の元へやってきた。
「好奇神様、改めてありがとうございます。」
「そんな改まらなくて良いですよ。子供たちの元気な姿が見れただけで十分です。ね!魔王さん!」
「うむ、そうだな」
魔王は続けて言った。
「この経験が、子供たちの成長に繋がるなら我はいつでも手を貸す。好奇神もな。」
「俺も?まいったなぁ。じゃあもっと遊びを探してこなきゃ」
「遊びだけでは無い、神族と触れ合う事が大事なのだ」
そう言われて俺は、少し嬉しく、照れ臭かった。
「というか影宰と影刃すごいね、1028人相手にずっと逃げ切ってるよ」
「当然だ。我の側近だからな」
結局、影宰と影刃は最後まで誰にも尻尾を取られる事は無かった。
尻尾取りが終了して、2人が戻ってきた。
「いや〜、良い汗かきました」
影宰がやり切ったような顔をしている。
「・・・」
影刃は相変わらず無表情だがどこか満足気だった。
すると、どこからか良い匂いがしてきた。
「終わったか!?ご飯出来たぞ!」
そういうと店主が大鍋を持ってきた。
「皆さん、今日の給食は店主さんの特別メニューです」
子供たちは『わ〜、楽しみ〜!』、『なんだろう!?』と言った声をあげている。
店主が大鍋の蓋を開ける。
「今日は俺特製のカレーだ!」
「人間界で子供たちに大人気の料理なんだよ〜」
子供たちは、初めて見る料理に大はしゃぎ。
「慌てなくてもちゃんとあるから良い子で待ってな!」
そういうと店主は、カレーを盛り始める。
校長先生や先生方も手伝いに入る。
そして、全員に行き渡り、大合掌。
「いただきま〜す!」
子供たちの大きな声が響き渡る。
『おいし〜』、『ちょっと辛いけどおいしいね〜』、子供たちは夢中になって食べていた。
「・・・」
そんな中、影刃は一口食べると無言で立ち上がり、鍋の方へ向かって行った。
『おい、なんだ!?失敗したのか!?』
「影刃さん!どこか悪かったでしょうか!?」
「・・・足りない、・・・もっと作れ」
『そっちかぁぁぁぁぁ!』
「すぐに追加を作ってきます!好奇神!盛り付け任せた!」
「俺まだ食べてるんだけど・・・」
言い切る前に店主は厨房へと走って行った。
「しょうがないなぁ」
俺は鍋の前に立った。目の前には影刃が皿を持って待っていた。
「影刃、食べるの早くない?」
「・・・うまい」
「うまいのはわかるけど、子供たちを待ってあげようよ〜」
「・・・」
影刃は小さく頷き、自分の席へ戻って行った。
店主が追加を作って持ってくると、おかわりの列は大行列。それを見た店主は嬉しい悲鳴をあげた。
「店主さんの料理は大人気だねぇ〜♪」
「嬉しいけど、忙しいわ!」
忙しいと言っていたが、顔は笑っていた。
「ごちそうさまでした〜!」
給食も終わり、店主は疲れ切っていた。
「流石にこの人数分を作ると疲れるな・・・」
「店主さん、おつかれ〜」
そこで魔王が店主に向かって言った。
「店主よ、子供たちも満足している。今後子供たちの為に、月に一度給食を作ってくれないか?」
「魔王様!是非、作らせていただきます!」
「頼むぞ」
「はい!」
「おい!好奇神!他にも人間界の料理を教えろ!」
「いいよ〜、まだまだ美味しい料理はたくさんあるからね♪」
こうして、店主は給食のおじさんも兼任する事になった。
「好奇神様、今日はありがとうございました。お陰で、子供たちも良い経験が出来ました。」
「大丈夫ですよ。また何かあったらいつでも呼んでください。」
「好奇神先生!ありがとうございました!」
子供たちの大きな声でのお礼。俺は堪らなく嬉しかった。
その後、学校を出て城へ戻った。店主と別れ、魔王と話す。
「いい子たちだねぇ」
「我の家族だからな」
「守っていかなきゃね。出来ることは少ないかもしれないけど、俺も頑張るよ〜」
「貴様はそのままでいい。その奔放さが子供たちにいい刺激となり、経験になる。」
「子供たちが大きくなる頃には、神界との蟠りがなくなる事を我も望んでいる。」
「じゃあ・・・」
言いかけた事を魔王は阻んだ。
「今はまだ創造神は許せん。まだ、な」
「・・・そっか♪」
魔王も考えてくれている。創造神も頑張っている。
近いうちに魔王の望みが叶うと、俺は確信している。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第28話 好奇神
感想・誤字報告などいただけると励みになります!




