第26話 カレーと魔界からの伝令
魔界から帰った俺は、創造神、案内神、管理神へ魔界での出来事を話していた。
魔王が創造神を"まだ"許さない事、人間界の食材でカレーを作った事。
「そうか、やはり魔王は創造主様のした事に対してまだお怒りだったか。」
案内神は分かっていたかのように話す。
「だろうな」
管理神は静かに呟く。
「・・・」
創造神は分かりやすく落ち込んでいる。
「まぁこれからゆっくりだよ」
俺は創造神を励ましながら一つ提案をした。
「ねぇ、みんなでカレー作らない?」
「確か、人間界の料理だったな。急にどうした?」
管理神は少し驚いたように言った。
「だってまだ、神界でご飯食べた事ないし」
思い返せば、神界に来てから食べたものといえば、アンモナイトと恐竜の肉だけだった。
「色々あったからな」
案内神が苦労した記憶を辿り、頭を抑えた。
「色々あったねぇ」
「お前が原因だ!」
「そうだっけ?まぁいいじゃん!カレー作ろうよ!」
「創造神も手伝ってね!」
「私も参加していいの?」
創造神は魔王のことがあってから、酷く落ち込み、前ほどの活力が無くなっていた。
「みんなで作るから美味しいんだよ!さぁ、早く作ろう!」
「うん!」
こうして俺は、案内神に野菜の仕込み、管理神に肉の仕込み、創造神にお米を炊いてもらうように指示を出した。
「案内神って手際がいいね〜」
「これくらい当然だ」
案内神はあっという間に野菜を切り終え、炒め始めた。管理神も肉の仕込みを終え、暇そうだった。
「管理神も早いね」
「知識はあるからな、簡単だ」
創造神を見ると、米を洗い終え炊く準備に入っていた。
「ちょっと待って、米が少なくない?」
「洗ったらこうなったよ?」
創造神は当たり前のように言った。辺りを見ると米が散乱していた。
「あぁ、もったいない。もう少し丁寧にお願いしていいかな」
「わかった〜」
「創造主様、米は飛ばすものではなく、洗う物です」
「わかってるよ〜♪」
その後何度か米が飛び散ったが、なんとか炊くところまで辿り着いた。
「じゃあ、あとは煮込んで完成だね」
「楽しみ〜♪」
創造神は少し元気が戻っているようだった。
「魔王さんも人間界の料理を気に入ってたから、今度創造神が作った料理を持って行こう」
俺が提案すると創造神は少し俯いた。
「上手にできるかな・・・」
「大丈夫!俺も手伝うし、案内神も管理神も手伝うよ!」
後ろを見ると2神は『俺たちを巻き込まないでくれ』といった顔をしていた。
「頑張ってみる!」
そして、カレーが完成した。
「できた〜!」
少しトラブルはあったが、なんとか完成した。
「いい匂い〜♪」
創造神は早く食べたいと言わんばかりに鍋に頭を突っ込んでいた。
「創造主様、落ち着いてください。今お皿を用意しますから。」
相変わらず案内神は手際が良かった。
「いただきま〜す」
みんながカレーを一口、口へ運ぶ。
「おいし〜♪」
口を開いたのは創造神だった。
創造神は満面の笑みでカレーを頬張っていた。
「やっぱりみんなで作って、食べたらおいしいね〜」
「普通のカレーだ」
管理神が呟いた。
「思ってもそう言うこと言わないでよ〜」
和気あいあいとみんなでカレーを食べていた。
その時・・・
シュッ!
「伝令!魔界より好奇神様に伝令です!」
「・・・だれ?」
初めてみる神だった。
「伝令神だ。各世界からの連絡を受けて報告したり、繋いだりしてくれる。」
「へぇ〜、各世界から・・・ねぇ」
「それより、どうしたの?」
「魔王様より好奇神様へ直接お話がしたいとの事です。お繋ぎします。」
「好奇神か。」
頭の中で魔王の声が聞こえた。
「うぉすっげ、どうなってんのこれ」
「頭の中で会話すればいい。要件を話していいか?」
「いいよ〜、どうしたの?」
「先日貴様が魔界に来た時、学校で授業をしただろう?」
「先日?ついさっきの事じゃない?」
「そうか、貴様は知らないのか。魔界と神界は時間軸が多少ずれていてな、神界とは数日のズレがあるのだ。」
「そうなんだ〜、それで授業がどうしたの?」
「うむ、子供達が貴様の教えた遊びを大層気に入ったらしくてな、先生方もご教授願いたいそうだ」
「そんな大袈裟な、まぁいいや。カレー食べたら向かうね〜」
「またカレーとやらを食べてるのか?」
「みんなで作ったカレーだよ〜、みんなで作るとやっぱり美味しいね」
「相変わらずだな、では待っているぞ」
そう言うと魔王からの連絡は切れた。
「では、私はこれにて」
シュッ!
そう言うと伝令神は消えた。
「ちょっと魔界に行ってくるね」
「何があった?」
「なんか、もう一回授業してくれってさ〜」
「というか神界と魔界の時間軸がズレてるとか聞いてないんだけど?」
「仕事の説明の時に話したぞ」
「・・・」
俺は何も言えなかった。
カレーを食べ終え、食器を片付ける。
「とりあえず、行ってくるね」
シュッ!
俺は魔界へと向かった。
「あいつも忙しくなったな」
管理神が食べ終え呟いた。
「ただの好奇心からここまでなるとはな」
「もうあの子の神格、"好奇神"に決定でいいんじゃない?」
創造神は鍋を抱えながら言った。
「あいつは望まないだろうがな」
「そうだな。・・・創造主様、はしたないのでやめてください」
魔界ーー
シュッ!
「魔王さん、来たよ〜」
「来たか」
魔王、影宰、影刃のほかに校長先生、学校の先生方、それとなぜか店主までいた。
「なんでいるの?」
「しらねぇよ!"魔王様がお呼びだ"って言われたら来るしかねぇだろ!」
「店主よ、先日のカレーが美味だった。子供達にも食べさせてやりたいと思ってな。」
「そうでしたか!それなら任せてください!あれから研究して、より美味しく作れますよ!」
「それは楽しみだ」
『魔王は家族思いだなぁ』そう思っていると
「好奇神様、わざわざ御足労いただいて申し訳ありません」
校長先生と先生方が深々と頭を下げた。
「そんなそんな、全然いいですよ。俺も子供達と遊ぶのは楽しいですから」
「ありがとうございます」
「今回は我らも参加させてもらうぞ」
「・・・はい?」
魔王がそういうと影宰、影刃が立ち上がった。
「なんか親子参観みたいだな」
「じゃあみんなで行こっか〜」
こうして俺たちは魔界学校へと向かった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第27話 認められる
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