第26話 店主!絶体絶命!
魔界ーー
魔王城前に着いた俺は、さっきの創造神の事を魔王たちにどう謝ろうか考えていた。そこへ魔族兵が声を掛けてきた。
「あれ?好奇神様?」
「違うよ〜、なに?」
「どうしたのですか?中に入ったらどうですか?」
「いや〜、さっきの創造神の事、なんて謝ろうか考えててさ。」
「普通に謝ったらどうですか?好奇神様の事なら魔王様もお許しになるかと。」
「う〜ん、ちょっと違うんだよね。」
「?」
俺だけ許されても意味は無い。創造神の事も許してもらえるように話をしなきゃこの先ずっと仲違いしたままになる。
「まぁ、追々でいいか。一緒に行く?」
「いえ、私は見回りがありますので。」
「そっか、頑張ってね。」
「はい!」
そういうと魔族兵は見回りに戻っていった。
「さて、行くか。」
俺は魔王城の門を開けた。
魔王の間ーー
「魔王さん、来たよ〜。」
「好奇神か、何用だ?」
魔王は椅子に鎮座していた。横には影宰、後ろには影刃もいる。
「さっきは創造神が急に来てごめんね。魔界の事話したら飛んでっちゃった。」
「そんな事だろうとは思っていた。貴様は争いを好まぬからな。わざわざ創造神を仕向けるとは思えん。」
「ありがとう。でもこのまま仲違いは嫌だから、創造神をなんとか許してもらえない?」
「それは無理な話だ。やつがしてきた事を考えればわかるだろう。」
「そっかぁ。わかった。」
今はまだ無理だが、ゆっくり時間をかけて許してもらえるように動いていこう。そう思った。
「それより、その荷物はなんだ?」
魔王が俺の背負ってるパンパンな荷物を見て言った。
「これ?人間界の食材!」
「前来た時、店主さんと約束してさ!」
影宰が笑いながら呟いた。
「あの時のことか。本当に持ってくるとはな。」
魔王も影刃も、何の事かわからない様子だった。
「この食材で、店主さんにご飯作ってもらおうかと思って。魔王さんも一緒にどう?」
「人間界の食事か。気になるな。」
「私も後学の為に行っていいか?」
影宰が聞いてきた。
「もちろんだよ!影刃も来るでしょ?」
「・・・魔王様が行かれるなら。」
「よし!決まり!早速店主さんのところへ行こう!」
こうして俺たちは店主のところへ向かった。
店主が絶体絶命のピンチになる事を知らずに・・・
城下町ーー
俺と魔王、側近2人が町を歩いていると住人たちは騒ぎ始めた。驚いているからでは無かった。皆家族の様に魔王や側近2人に話しかけていた。
「いい人たちだねぇ。」
「当然だ。皆、家族だからな」
俺はそれを聞いて嬉しくなった。
しばらくして店主の店に着いた。
「店主さん!来たよ〜!」
「おう!来たか!」
次いで魔王も店に入る。
「邪魔するぞ。」
「ままま魔王様!よくいらっしゃいました!」
次に影宰
「影宰さん!?」
影刃も入る。
「影刃さんまで!?」
店主は驚きを隠せなかった。
それを見て俺は聞いた。
「何でそんなに驚いてるの?」
「ばかやろう!普段は城で食事をされているんだ!店に来る事なんて滅多に無いんだぞ!」
「ふぅん、そうなんだ。あ!これ!人間界の食材!」
「ほう〜、これが人間界の食材か!」
「見た事ないものばかりだな!」
「これで何か作って!」
「は?」
「試食はこの4人がするよ!」
「・・・え?」
「魔王様も食べられるので?」
「期待しているぞ、店主よ」
「影宰さんも影刃さんも?」
「後学の為にな」
「・・・不味かったら殺す」
店主の顔が青ざめていった。
「おい!俺は人間界の食材なんて見た事も、触る事も初めてなんだ!せめてレシピくらい教えてくれ!」
「しょうがないなぁ」
そう言うと俺は厨房の中で店主にレシピを教えていた。
「じゃあ頑張ってね〜」
『あの野郎、人の気も知らないで・・・』
料理ができる間、魔王と会話をしていた。
「ねぇ魔王さん、俺が魔界を見て感動したように、魔王さんにも人間界に来て、色々見て欲しいと思ってるんだけど、どうかな?」
「人間界か・・・確かに興味はあるが、我も忙しい身でな」
「そうだよねぇ」
「やっぱり難しいかぁ」
そこに影宰から提案があった。
「魔王様、A地区の改装とB8地区の整備をズラせば数日は予定が空けれるかと」
「しかし、それでは皆が困ってしまうのではないか?」
「皆、魔王様の魔界への御尽力は知っております。反対するものは居ないかと」
「うむ、一度皆に話をして決めるとしよう」
「好奇心よ、人間界の話、少し待ってくれ」
「全然いいよ!」
そうしてる間に店主が呼んだ。
「おい!好奇心!ちょっと来てくれ!」
「なに〜?」
そう言うと俺は厨房へ向かった。
「お前これ、合ってるのか?なんか汚い色だぞ?」
「合ってる合ってる。匂いも人間界の料理と同じだよ!大丈夫!」
そう言うと俺はそそくさと戻った。
「本当に大丈夫かよ!?もし不味かったら俺死ぬかもしれないんだぞ!」
店主は初めて作る料理を魔王や側近に振る舞う事が恐怖でしかなかった。しかし、魔王を待たせるわけにはいかず、覚悟を決めて料理を出した。
全員に料理が行き渡ると
「なんか色が汚くないか?」
魔王が言う。店主が怯える。
「匂いは良いですね。」
影宰が言う。店主は少しホッとする。
「・・・」
影刃は黙る。店主は再び怯える。
「大丈夫だよ!レシピは教えたし、店主さんは腕がいいから!」
そういうと全員が料理を口に運ぶ。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
全員が黙った。
『おい!なんでみんな黙ってんだよ!?なんとか言ってくれ!このままじゃ生きた心地しねぇよ!』
「うまぁ!」
「確かに、見た目からは想像できないほど美味だな」
「少し辛い気がしますが、これはなかなか」
「・・・美味い」
「・・・よかったぁぁぁぁぁ!」
店主は大袈裟にガッツポーズしていた。
「好奇心よ、これはなんで料理だ?」
「これはカレーっていう料理だよ。複数のスパイスと野菜、それとお肉を煮込んだもの。本当はご飯にかけて食べる料理なんだけど、そのままでも十分美味しいよ!」
「ちなみにこのカレーは1番シンプルなカレーだよ。人間界には数百から数千種類あると言われているんだ!」
「数千!?それはすごいですね。もし人間界に行く日が来たら是非、他のカレーも食べてみたいものです。」
「・・・」
影刃が無言で店主に空の皿を渡す。
「おかわりですか!?今お持ちします!」
「影刃、カレー気に入った?」
「・・・美味い」
「よかった♪」
その後、店主も食事に加わり、他の人間界の料理の事を話した。
「いや〜、久しぶりに食べたけどうまかったぁ。」
「店主よ、また食べに来ても良いか?」
「もちろんです!是非お越しください!」
「うむ」
店を出て、俺は魔王に言った。
「じゃあ、人間界の話の返事待ってるね〜」
こうして俺は神界へと戻ったのだった。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第26話 カレーと魔界からの伝令
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