第23話 いつの間にか、実績解除
1028人の生徒の前で、俺は慌てていた。
「影宰・・・どうしよう。俺てっきり40人くらいだと思ってた。」
「はぁ・・・、仕方ないな」
「誰かこの神族に聞きたい事がある者は居るか!?」
「おまっ!」
影宰が子供達に向かって言った。
途端に大騒ぎ、1028人分の言葉の嵐が俺を襲う。
「待って待って、俺いっぺんに聞けないから1人ずつでお願い!」
教室が静寂に包まれた。
影宰は小さく呟いた。『狙い通り』と。
「まずは1番前にいる君から!」
俺は1人の生徒を指差して指名した。
「神様ってどんな仕事してるの?」
「・・・仕事?」
『神になってから好き勝手やってて仕事してないなんて言えない、かと言って適当に言うのも違うし。』
「俺はまだ神になって間もないから仕事は割り当てられてないんだ。ごめんね。」
「そうなんだ〜」
子供の純粋さに助けられた気がした。
「じゃあ次は窓際の君!」
「神様ってみんなそんな格好なの?」
「違うよ〜。他の神様はみんなちゃんとした格好してるよ。これは俺が人間の時に着てた服なんだ〜」
この一言で再び子供達が騒ぎ出す。『人間!?』、『人間が神になるなんてことあるの!?』みんな興味津々だった。次々に質問が来る。
「どうやって神になったの?」
「創造神が勝手に神にしたんだ〜」
「創造神ってどんな人?」
「ん〜・・・ポンコツ?」
「人間の時は何をしてたの?」
「人を治す仕事をしてたよ〜」
「人間界ってどんなところ?」
「綺麗で優しいところだよ。」
「俺たちも人間界や神界に行けるかな?」
「今は難しいかもしれないけど、将来は行けるようになると思うよ。
その後も質問の嵐は止まらなかった。だが不思議と嫌ではなかった。
その時、子供の声とは違う声がした。
「好奇神先生〜。」
「だから違うって・・・影宰?何してんの?」
その声の主は影宰だった。影宰は続けて言った。
「神にされて良かったか?」
「・・・」
俺は黙った。まさかそんな事を聞かれるとは思わなかった。神にされて良かった?確かにやりたい事は色々できたし、色々見に行けた。
「・・・良かったよ。人間の時からの願望も叶えつつあるし、今この時、魔界でみんなと触れ合えてる。神にされなかったら経験できなかったから、神にされて良かったと思ってる。」
「・・・そうか」
影宰は満足したように笑みを浮かべた。
「さぁ、質問はもういいかな?この後みんなで遊ぶぞ〜!」
そういうと俺は、魔族の子供達の先頭で引き連れていた。
「元気ですなぁ。あのお方も。子供達も。」
「あの神は自分が楽しむ事に全力です。だから子供達と遊ぶのも全力で楽しみます。」
「変わった神も居たもんですな。」
「全くです。」
俺は子供達と遊んだ。魔界の遊びを教えてもらったり、人間の遊びを教えたり、みんな真剣に遊びに取り組んで俺は嬉しかった。
そしてーー
「それでは、特別授業はこれでおしまいです。」
「皆さん、好奇神先生にお礼を言いましょう。」
「ちょっ!待っ!」
「好奇神先生!ありがとうございました!」
「・・・。まぁいっか。」
「じゃあみんな、またね♪」
影宰と帰ろうとした時、わずかに聞こえた。『お腹すいた〜』、『今日の給食なんだろうね〜』
「影宰!!」
「なんだ、急に」
「給食食べて帰っていい!?」
「・・・」
影宰は呆れて言葉も出なかった。
給食後ーー
「まさか生徒の1人に入れられるとは思わなかった。」
給食を食べたいと言った後、校長に話すとあっさりと許可が得られた。しかし、教室で生徒の1人として、配膳を手伝い、みんなで合掌。小学生に戻った気分だった。
「でも美味かった!また来たい!」
影宰は何も言わなかった。
魔王城へ帰るまでの道中、影宰はほとんど喋らなかった。何かを真剣に考えているようにも見えた。
魔王城ーー
「学校は楽しめたか?好奇神よ」
魔王の部屋で、話をしていた。
「楽しかったよ!子供達も可愛かったし、人間界の遊びにも真剣に取り組んでくれた。いい子達ばかりだね!」
「そうか」
そこへ影宰が割って入る。
「魔王様。」
「なんだ影宰よ」
「この者は学校にて純粋に子供達と接していました。この者の原動力はやはり見たい、やりたいの好奇心かと思われます。」
「うむ、好奇神の話と校長からの話で我も確信している。」
「なんの話?」
「貴様の監視を解く。これからは好きに動け。」
「監視が解かれるような事したっけ?」
魔王と影宰は口を揃えて言った。
「それだ。」
そして魔王は
「貴様は魔界に対して、負の感情を抱いておらん。魔族の子供に対しても差別なく平等に接していた。それだけで十分だ。」
そういうと魔王は俺の腕に紋様を施した。
「それは我が認めた証。その腕を見せれば、魔界の者は貴様を我が客人として扱う。」
「マジで?やったぁ!」
喜んでいると影宰、影刃が来た。
「良かったな」
「・・・魔王様が認められたのなら仕方ない」
初めて影刃が喋ってくれた。
「やっと話せたぁ!」
「ずっと話したいと思ってたんだぁ。よろしくね、影刃♪」
「ふんっ」
そう言いながら影刃はそっぽを向いて魔王の後ろへ消えていった。
「まだ心開いてくれてないのかな?」
「あいつは大体あんなもんだ。」
「そのうち心を開いてくれるといいなぁ」
いつか影刃とも観光したいと思っていた。
そしてーー
「次はどこに行くんだ?」
魔王が口を開いた。
「一旦神界に帰るよ。」
「そろそろ創造神が拗ねそうだしね。」
「そうか。いつでも来い。貴様なら歓迎するぞ。」
「ありがとう。影宰も付き合ってくれてありがとうね。」
「俺は魔王様の命に従っただけだ」
そう言いながらも表情は少し笑っていた。
「ははっ。じゃあ、バイバイ。」
そういうと俺は神界へと向かった。
シュッ!
読んでいただきありがとうございました!
次回 第24話 魔界担当
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