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第22話 魔界の始まり、授業の始まり

魔王城ーー

俺と影宰は魔王城に着いた。黒く、大きな城。禍々しさがあるが、それがかっこよかった。

「おぉ〜、デケェ!かっこいい!」

「お前はいつもそんな反応だな。」

「そうかなぁ?でも本当にかっこいいよ!」

俺の反応を見た影宰はどこか嬉しそうで、楽しそうだった。

魔王城へ入ると魔族兵が沢山いた。コソコソと話す者、睨む者、今にも襲いかかってきそうな者。

「このお方は魔王様の客人だ!手出しは許されん!」

影宰が大きく言い放った。

途端に魔族兵たちは並び始め、道を作った。

「マジか・・・」

「すまんな、魔王様はああ言ったが、信用していない者も居るのだ、許せ」

「いや、気にしてないけどさ。あの一言だけでここまで統率が取れるのはすごいね。」

「当たり前のことだ。」

魔族兵に作られた道を歩いて行くと、大きな扉があった。

「この先に魔王様が居られる。」

「わかった。」

扉が開く。中には魔族兵が整列し、敬礼している。その中央に魔王が座っていた。

「魔王さん、来たよ〜・・・」

「あれ?なんか小さくない?」

目の前にいた魔王は少し背の高い人間の様な見た目だった。

その時。

魔王の後ろから1人の魔族がこちらに向かって襲いかかってきた。

「うぉ!」

「止まれ、影刃」

魔王の一言で影刃は止まり、武器を納め、魔王の後ろへ下がって行った。

「すまんな、こいつは忠誠心が高いが故、敵と見做した物は全て倒そうとするのだ。」

「貴様が最初に見た我の姿は、本来の姿だ。」

「なるほどねぇ。」

「魔王さん、あの時は助けてくれてありがとう!お陰で美味しい物いっぱい食べれたよ!」

「我は何もしていない。貴様が害のない神族だと感じたから解放しただけだ。」

「俺、何かしたっけ?」

後ろで影宰がクスッと笑ってる。

「まぁいいや、魔王さんに聞きたい事あるんだけどいい?」

「なんだ?」

「この魔界が創造神の気まぐれで作られたって聞いたけど、魔王さんも作られたの?」

「あぁ、創造神は魔界と我を作り、『あとはよろしく♪』などと言い、帰って行った。」

「マジか・・・」

その後、1から魔界を発展させた事、魔族や城下町の暮らしや、魔界の生物、環境など魔界のあらゆる事を側近と管理している事を話してくれた。

「魔王さん大変だったんだね。でも、だからこそ魔界はこんなにも綺麗なんだね。」

「魔界が綺麗だと?」

「だってこの魔界って魔王さんの努力、側近や魔族たちの努力で作られたんでしょ?」

「いわば魔界って魔族たちの努力の結晶じゃん。綺麗以外の言葉がないよ。」

魔界が綺麗だと言われた事があっただろうか。創造神に作られてから幾千年、我はひたすらに発展の為に行動してきた。創造神に対し怒りが込み上げることもあった。その度側近や魔族たちが支えてくれた。今の魔界は魔界全体で作り上げた物だ。それを綺麗と言う神族がいるとは・・・

「好奇神よ・・・」

「だから好奇神じゃないってば。」

「大体好奇神ってなんなのさ?」

「初めに貴様が名乗ったのだろう?」

「俺が言ったのは好奇心!」

「好奇神で合ってるではないか。」

「ちがぁぁぁう!」

影宰は静かに笑い、影刃は呆れたように目を閉じた。

「とにかくだ、魔界を綺麗と言った貴様を我は歓迎する。」

「今後いつでも好きなように魔界を訪れるが良い。」

「だが、しばらくは監視をつけさせてもらう。影宰よ、こいつの案内を頼むぞ。」

「御意。」

影宰は一礼をした。

「全然いいよ!影宰!次はどこを案内してくれるの!?」

「・・・監視なんだがなぁ」

影宰は小さく呟いた。だが男の輝いた目を見て思った。

『こいつ、俺を案内役だと思っていないか?』

「次はどこへ行きたい?」

「そうだなぁ、どんなところがある?」

「市場、学校、牧場、農場などいろいろある。」

「なんか人間と変わらないね。」

「人間界にも同じような場所があるのか?」

「あるよ〜。行ってみる?」

「・・・気が向いたらな。それで、どこへ行くんだ?」

「学校かなぁ。魔界の子供達と思いっきり遊びたい。」

「お前・・・それだけじゃないだろ?何を考えている?」

やつの表情は子供と遊びたいという理由だけにしては、輝きすぎてたからだ。

「なんでわかるの?」

「顔を見たらわかる。それで何を考えていた?」

「・・・子供の授業に神族の参考資料として参加したい。」

「・・・は?」

「だって、神族が来ることは滅多にないんでしょ?だったら今の子供達に神族を見せるチャンスじゃん!」

「いかがなさいますか?魔王様。」

「ふむ、確かに魔族からすれば神族は珍しい物だ。

子供の頃から神族と触れ合う事は、魔界の為にも良いかもしれん。」

「それでは魔界学校へ連絡し次第出発いたします。」

「頼む。」

「おぉ〜。魔界の授業に出れるんだ!楽しみだなぁ。」

魔王、影宰は静かに笑い、影刃は『こいつ、こればかりだな』といった表情だった。


魔界学校ーー

影宰に案内され、魔界の学校へ着いた。

「デッッッッカ!!」

校舎は魔王城に引けを取らない大きさ、校庭は人間界の牧場並みに広かった。

驚いていると校舎から1人の魔族が出てきた。

「よくいらっしゃいました。影宰殿。」

「この度は無理を言って申し訳ありません。学校長。」

「え?この人が校長先生?」

その男は校長と言うにはあまりにも若く見えた。

「このお方かな?例の神族というのは?」

「本人は否定しておりますが、好奇神と呼ばれております。」

「だから、違うって。」

「好奇神?確かに妙な神格ですな。」

「・・・」

「格好も神族の物とは全く違う物ですし。」

「あ!変えたほうがいい?多分神族っぽい格好にできると思うけど。」

「いやいや、そのままで結構です。」

「このような神族も居るのだと、子供達は勉強になり、成長に繋がりますから。」

その言葉を聞いて、ワクワクが止まらなかった。

「それでは授業に参りますか。」

そういうと校長は校舎の中へ案内してくれた。

教室前ーー

「では、まず私が、生徒たちに説明してまいりますので、ここで少々お待ちください。」

そういうと校長先生は教室へ入って行った。

「皆さん、今日は特別授業になります。」

生徒たちがざわつき始めた。

「これから皆さんには、普段決して会うことのできない特別な客人と交流してもらいます。」

「先入観を持たず、皆さん自身の目で見て、聞いて、感じてください。」

「それではお入り下さい。」

まず影宰が教室へ入る。子供達は大騒ぎ。『魔王様の側近だ』、『すげ〜、カッコいい〜』などの声がいくつも聞こえる。

そして俺の出番。

教室に入る。

「みんな!よろしく〜!」

生徒たちは静まり返る。

『誰あれ?』、『知らな〜い』などの声が聞こえてきた。影宰の時とは違い、明らかにテンションが違った。

「・・・あれ?」

「このお方は好奇神様。神族の者だ。」

影宰が神族だと告げると、再び子供達は大騒ぎ。

『初めて見た〜』、『羽が生えてないよ?』、『変な格好』、さまざまな声が教室に響き渡る。

そして気づいた。

「なんか・・・生徒の数多くない?」

校長が答える。

「各先生方に話をしたら、全校生徒に神族との交流をと言われまして。」

「全・校・生・徒!?」

「一体何人いるんだ!?」

「1028名います。」

「1028!?」

「多い多い!俺この人数相手に授業するの!?」

「よろしくお願いします。」

「影宰!!」

「・・・がんばれ」

「・・・」

こうして俺VS全校生徒との授業が始まった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第23話 いつの間にか、実績解除


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