第20話 勘違いで好奇神
俺は魔界へと向かった。
ハズだった。
シュッ!
「ねぇねぇ、魔界ってどうやって行けばいいの?」
魔界への行き方がわからず、神界へ戻っていた。
案内神は大きくため息をついた。
「おい管理神、なんか戻ってきたぞ。」
「・・・そのようだな。」
創造神が笑顔で出迎えた。
「おかえり〜♪早かったね?もしかして私も連れて行ってくれることにしたの♪?」
ガシッ!
案内神が創造神の頭を掴んだ。
「創造主様〜?」
その顔は笑顔だったが、冷ややかだった。
「あなたは今回は留守番です!」
「はい・・・」
創造神が怯えた顔で返事していた。
「俺が連れて行ってやろう。」
管理神は立ち上がり、俺の方へ歩いてきた。
「どうやったら行けるの?」
「魔界へ行く方法は2つある。」
「1つは正規の方法、つまり神界と魔界を繋いでいる門を通るルートだ。」
「2つ目は・・・あまりお勧めはできないが、魔界や魔王を思い浮かべて移動する方法だ。」
「お前は魔界や魔王を見たことが無いから、まずは正規の方法で行く事になる。」
「わかった。じゃあ門まで連れて行って。」
「あぁ」
俺は管理神の案内で、魔界へと繋がる門へと向かった。
「そういえば門ってどこにあるの?」
「実在はしない。」
「どゆこと?」
「神であれば、誰でも門を出現させられる。だが、あそこには創造主様がいたからな。」
「?」
「ふっ、まぁ見てろ」
そう言うと管理神は何か呪文を唱え始めた。
途端に管理神の前が光り、門が形成された。
「・・・すっげ」
俺は興奮と驚愕の表情で呟いた。
「こんなこともできるの!?」
「お前、案内神から仕事の説明受けてただろ」
「あまり覚えてない」
「・・・」
管理神は呆れた顔をしていた。
「俺はここから先へは行けない。神族は歓迎されないからな。」
「わかった。じゃあ行ってくるね。」
そう言うと俺は魔界への門をくぐった。
「・・・無事に帰ってこい」
神界と魔界の狭間ーー
そこは道という道は無く、明かりもほとんどない、不気味な空間だった。
「なんだここ?床が無いのに立ててるし、暗いし。」
方向もわからないが、ひたすらに歩いていた。
そして・・・
「なんかちょっとだけ明るさが違うな」
遠くに微かに光る物が見えていた。
俺はその光に向かって歩き出した。
光の目の前に来た。周りの空間とは違い、禍々しい雰囲気の光だった。
「この先が魔界なのかな?」
俺は少しだけ緊張していた。神様が知らない世界がこの先にあるからだ。だが、やはり好奇心が勝る。
「せっかく来たんだ。行かなきゃ勿体無いな。」
俺は禍々しい光をくぐった。
魔界ーー
ついに魔界へ足を踏み入れた。赤黒い空に稲妻が走る。草原のようにも見えるが、一面に黒が広がっていた。
「ここが・・・魔界?」
「神界とは全く違うなぁ」
空気も匂いも、感じたことの無い物だった。
「さて、何しようかな。」
「これと言って何をするか決めて来たわけじゃないしなぁ」
そう言いながらとりあえず歩いていた。
そこへ・・・
「おい貴様!何者だ!」
兵士のような格好をした魔族に囲まれていた。
「うおぉ!?なんだぁ!?」
「何しに来た!?」
「何しにって・・・好奇心で観光に来た?」
「好奇神だと!?やはり神族のものか!」
「違う!」
「魔王様へ報告だ!」
「待って!」
「貴様!いよいよ魔族と争いに来たのか!」
「・・・話聞いて?」
魔王城ーー
「魔王様!好奇神と名乗る神族が攻めて来ました!」
「好奇神だと?聞いた事のない神だ。」
「いかがなさいますか?」
「我が直接話に行こう」
その頃ーー
「だから、攻めに来たんじゃ無くて、観光しに来ただけなんだってば〜」
俺は魔界兵に囲まれながら、必死に説明していた。
そこへ・・・
「好奇神というのは貴様か?」
声が聞こえたと同時に目の前に現れた。
自分よりも遥かに大きい存在。一目で魔王だとわかった。
「好奇神じゃ無くて好奇心で観光に来たの!」
「そもそも俺元々人間だよ?神族との争いなんか知らないって!」
「確かに、神族の者と着ている物は違うが・・・」
「でしょ〜!俺はただ魔界がどんなとこなのか知りたいから来ただけなの!」
「・・・何が知りたい。」
「全部!魔界がどんなところなのか、何を食べているのか、どんな暮らしをしているのか、とにかく全部が知りたい!」
魔王は感じた。こいつは本当に敵意や悪意は無く、単純に見たい、知りたいだけのやつだと。
「変わった神だな」
「だから違うって!」
その後、魔王から魔界全体にこの神だけは害のない神だと言うことが告げられた。
「好きに見て回るがいい。何かあれば我からの許可を得ていると言えばいい。」
「ありがとう!魔王さん!」
「貴様!魔王様に向かってなんだその呼び方は!」
「良い、好きに呼べ。」
そして俺は解放された。
神界ーー
伝令神が慌てていた。
「何事だ!」
案内神は驚いた様子だった。
「魔王から伝令です!お繋ぎします。」
「あいつ・・・まさか」
管理神が息を呑む。
「案内神よ・・・好奇神と言う変な神を送り込んだな?」
「好奇神?誰だそれは?」
「本人が好奇神と言っていたぞ?」
「あ〜、本人はそんなつもりで言ってはいないと思うが。」
「そうか、まぁいい。好奇神はしばらく魔界に居るそうだ。」
「わかった。」
そこで連絡は途切れた。
「あいつ、どうなった?」
管理神は心配そうに聞く。
「とりあえずは無事だ。しばらく魔界に居るらしい。」
「そうか・・・よかった。」
「あいつ、魔界で好奇神という神に間違われてるらしい。」
「好奇神?はっ、良いじゃないか。あいつの神格が決まったな。」
「本人は絶対そんなつもりはないぞ。」
「だからこそ、あいつらしい神格だ。」
「・・・そうだな。」
俺の知らないところで好奇神と言う名前が付けられていた。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第21話 魔界は観光地
感想・誤字報告などいただけると励みになります!




