表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/101

第15話 初めての観光

俺は神になった。

……らしい。

「はぁ……」

頭を掻きながら、俺はため息をついた。

まさかあんなにあっさり神になるとは思わなかった。

創造神が「神にしちゃった♪」って指を鳴らした瞬間、光に包まれて……それで終わり。

儀式も試練も何もなかった。

「まぁ……いっか」

少し考えて、俺はすぐに結論を出した。

なってしまったものは仕方ない。

考えても元には戻らないし。

だったら——

「行こう」

俺は笑った。

ずっと、ずっと行きたかった場所がある。

世界管理庫で見た世界を、今度は自分の目と体で確かめたい。

景色が一瞬で変わった。

目の前に広がっていたのは、果てしなく青い海だった。

「おぉ……」

本物の海。

世界管理庫の映像とは全く違う。

冷たい海水が体を包み、波の揺れ、光の差し込み、全部がリアルだった。

「すげぇ……これだよ。これが見たかったんだ」

俺は嬉しくて思わず笑った。

その時、海底を小さな生き物がゆっくり歩いているのが見えた。

「あっ!」

三葉虫だった。

砂の上を小さな足で這う姿、触角の動き、全部が生きている。

俺は近づいて、じっと観察した。

「こんにちは」

もちろん返事はない。

でも、それだけで十分だった。

「まぁそうだよな」

俺は小さく笑った。

さらに少し先へ進むと、大きな影が横切った。

「来た!」

アノマロカリスだ。

思ったより大きくて、思ったより速い。

「待てー!」

俺は本気で泳ぎ出した。

アノマロカリスが逃げる。

俺が追いかける。

追いかけっこをしているうちに、気づいたら一緒に泳いでいた。

「すげぇ!」

世界管理庫で見た時から、ずっと夢見ていた光景だった。

本物のアノマロカリスと一緒に海を泳ぐ——

その夢が、今、現実になっていた。

「最高!」

俺は心の底から笑った。

満足した後、俺は次の時代へ移動した。

今度は少し浅い海。

見覚えのある渦巻き型の殻がたくさん転がっている。

「あった!」

アンモナイトだ。

俺は近づいて、じっくり観察した。

思っていたより普通の貝だった。

「……食べてみるか」

少し悩んだけど、ここまで来たらやるしかない。

俺は一匹捕まえて、口に運んだ。

…………。

「……美味しくない」

生臭くて、硬くて、想像していた味とは全然違った。

「やっぱ焼けば良かったかな……」

少し後悔したけど、それでも笑えてしまった。

三葉虫、アノマロカリス、アンモナイト。

全部、本物だった。

映像でも記録でもなく、本当にそこにあった。

「神になって……良かったかも」

ほんの少しだけ、そう思った。

満足して神界に戻ると、案内神が驚いた顔で振り向いた。

「ただいま」

「……何か、変わったか?」

「神にされちゃった」

「…………は?」

俺はあっさり説明した。

「創造神が『えいっ』って指鳴らして、パチンって。

それで神になっちゃった」

案内神は固まった。

管理神は静かに目を閉じ、深いため息をついた。

数秒後、案内神が天を仰いで叫んだ。

「創造主様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

神界中に、悲痛な叫び声が響き渡った。

(第十五章 終)

読んでいただきありがとうございました!


次回 第16話 初めての縄文


感想・誤字報告などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ