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第112話 海の霊獣

刃鮫神に咥えられたまま遊泳をしている創造神を待っている間、俺は霊牙神に話していた。

「霊獣って妖怪から神格化してってのを聞いたんだけど、刃鮫神はどんな経緯で神になったの?」

「元々鮫ってのは、漁師たちから豊漁をもたらす存在として信仰されてきたんだ。その経緯から創造神が神にしたんだよ」

「へぇ〜、じゃあ別に妖怪とかではなかったんだ」

「まぁ漁師以外の人間からは恐れられてたから似たようなもんじゃない?」

「確かに〜」

ザハァーン!

霊牙神と話してる時、刃鮫神と創造神が帰ってきた。

「おかえり〜」

「ただいま♪」

「ふぅ・・・流石に二人を連続で咥えて泳ぐのは疲れるねぇ」

「お疲れ様〜」

そして人型になる刃鮫神。

「おぉ!イケメン!」

そこには青髪の切れ目、海や青を基調とした神衣を着た青年の姿があった。

「やっぱりこの姿は落ち着かないなぁ」

「そうなの?」

「俺は元々鮫だからね。鮫の姿の方が楽なんだ」

「なるほどね〜、鮫だったら強いよね?」

「どうかなぁ?海の秩序を乱す人間には容赦なく噛み付くけど、強さを測ったことないからわからないなぁ」

好『今度動物神同士の決闘を見てみたいな』

独『面白そうだな!』

吾『でもみんな参加してくれるかなぁ?』

好『そこはなにかしらの景品で釣るとか?』

独『なにを景品にするんよ?』

好『それぞれが欲しいものとかやりたいこととか?』

吾『でも動物によって得意不得意があるから難しくない?』

好『難しいかぁ』

「また変なこと考えてるね?」

霊牙神が俺の顔を見ながら呟いた。

「よくわかったね」

「そりゃあね〜、最高神様って結構顔に出るよ?」

「マジ?」

創造神も頷いていた。

「それで?どんなことを考えてたんだい?」

霊牙神がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「動物神同士の決闘を開催したら誰が勝つんだろうなって」

「面白そう!」

創造神が真っ先に反応した。

「でも参加してくれるかわからないからなぁ」

「そこは最高神の権限でなんとかなるんじゃない?」

「こんなことに権限使っていいの?」

「さぁ?多分大丈夫!」

全く信用ならない創造神の『大丈夫』。

「まぁたまには体を動かしたい動物神もいるから何人かは集まってくるんじゃないかな?」

霊牙神は少しやる気の様子で喋っていた。

「じゃあ帰ったら募集でもしてみようかなぁ」

「でも仕事は終わらせてからね?」

「・・・はい」

とりあえず動物神決闘大会の開催が決まった。

刃鮫神と別れ、そのまま他の海の霊獣がいるとのことで霊牙神に案内してもらうが、ふと気になった。

「創造神はどういう基準で神にしてきたの?」

「う〜んとね、面白そうだからっていうのと今後何かで使えるかもって思ったら神にするかなぁ。最近は増やしすぎたから抑えてるよ?」

「やっぱり面白そうが1番に来るんだ・・・」

「好奇神'sもそうでしょ?」

『「否定はしない」』

「そこは否定しようよ・・・」

霊牙神が呆れていた。

そして霊牙神に連れてこられたのは何もない海の上。

「ここ?」

「ここから潜るよ〜」

霊牙神の案内で海に潜る。そこは生前行きたかった人間界で最も深い海溝の場所だった。

「まさかこんな形で来ることになるとはなぁ」

「やりたかったことがまた一つ叶ったね♪」

どんどん潜り、海の底に着く。真っ暗で光の届かない海の底には、独自の進化を遂げた生物が生きていた。

霊牙神が僅かに指先を光らせる。

「お〜!図鑑で見たことあるやつがいっぱいだ!」

海溝に潜っているというだけでテンションが上がる俺は動き回っていた。

「お〜い!行くよ〜?」

霊牙神に言われ、付いていく。

少し開けた場所に着くとそこには沈没船が何隻か横たわっていた。

「深海、沈没船・・・ということはクラーケンかぁ!?」

「呼んだ〜?」

声のする方を見るとなんか髪がうねうねしてる神がいた。

「彼女も霊獣から神になった海淵神(かいえんしん)だよ」

「よろしくね〜」

海淵神が髪を伸ばして来たので、俺は握手のつもりで髪を握った。

「よろしく〜、いきなりで申し訳ないけど触腕って出せる?」

「出せるよ〜」

海淵神は八本の触腕を背中辺りから出してきた。

「よし!その触腕で俺を捕まえて思いっきり海底に突き刺して欲しい!」

『え?なにこの神?』といった目で創造神と霊牙神を見る海淵神、そして『どうぞどうぞ』というポーズをしてる二人。

「じゃあ遠慮なくやるね〜」

俺は八本の触腕に捕まれ、物凄い勢いで持ち上げられる。

「お〜!」

独『上へ参りま〜す♪』

そして一気に振り下ろされる。

吾『下へ参りま〜す♪』

「勢いすっ」

ドゴォーン!

見事に海底に突き刺さった俺の周りには砂煙が舞い、周りの生物が逃げていった。

「というか霊牙神がここに来るの珍しいね。創造主様も久しぶりだし」

「そこに突き刺さってる神に霊獣を紹介して欲しいって頼まれてね〜」

「久しぶりだね〜♪私はそこに突き刺さった神について来たの♪」

「へぇ〜、この神って何者なの?ずっと深海にいるから最近の神界のことわからないんだよね〜」

「「最高神」」

霊牙神と創造神は満面の笑みで答える。

海淵神は慌てて、俺を引き抜く。

「わわっ!ごめんなさい!最高神様にこんなことしちゃって・・・なんか気持ち悪いことになってる・・・」

引っこ抜かれた俺はケルベロス状態で、三人の表情は満面の笑みだった。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第113話 動物神決闘大会


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