表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/102

第10話 縄文の暮らし

恐竜たちの時代が終わり、時が流れる。

巨大な生物たちが姿を消し、世界が変わっていく。

その様子を俺はずっと見ていた。時間の感覚がわからなくなるほどに。

「ねえ管理神」

「なんだ」

「次は?」

管理神は少し笑った。

「次か」

「何が見たい」

「縄文時代」

俺は即答した。いつか行きたかった時代。叶わなかった時代。

管理神は頷く。

「縄文時代か」

そういうと管理神は、光へ手を伸ばした。

景色が変わる。現れたのは深い森だった。どこまでも続く緑。山や川、風に揺れる木々。

森の中に小さな集落があった。

木で組まれた住居、焚き火を囲む人々、行き交う人々。

「・・・いた」

俺は一歩前へ出て映像を見ていた。

本物の縄文人がそこにはいた。男たちは獲物を運び、女性たちは編み物をし、子供たちが走り回り、その後ろを犬が追いかける。

「なんか・・・普通だね」

「普通?」

管理神が聞く。

「うん」

俺は頷く。

「なんかこう・・・」

「昔の人って感じかと思ってた」

「昔の人だ」

案内神が呆れたように言った。

「そうなんだけどさ」

俺は集落を見る。

笑っている人、怒っている人、怒られている子供、仲間と話している男たち。

どれも見覚えがあった。

「俺らと変わらない」

「同じ人間だからな」

管理神は静かに呟いた。

何千年も前の人たち。だが、不思議と身近に感じた。もしかしたら、この中の誰かが俺の先祖だったのかもしれない。そう思うと少し面白かった。

その時、縄文人たちが木の実を集め始めた。

「あ!どんぐりだ!」

俺の目が輝きだした。

「そうだな」

「俺も子供の頃に食べたことあるけど、あまり美味しくなかったな」

「食べたことあるのか」

案内神は驚いていた。管理神は笑っていた。

縄文人たちは木の実をそのまま食べているわけではなかった。

砕く、洗う、煮る。思った以上に手間がかかっていた。

「大変そうだな」

管理神は頷き、答えた。

「だからこそ生きられた」

俺は集落を見つめる。

スーパーもコンビニも電気もない。

だが、みんな普通に暮らしていた。

「すげぇな」

自然とその言葉が出た。

そのたき、一人の女性が土をこね始める。

「あ!」

「今度はなんだ」

「縄文土器だ!」

「そうだ」

管理神が頷く。

俺は夢中になって見つめた。

土をこね、形を整え、模様を付ける。

そして焼く。

図鑑や教科書で何度も見た。だが、作っているところは初めてだった。

「ああやって作っていたのかぁ」

「すごいなぁ」

機械じゃない。全て手作業で作っていた。

一つ一つ丁寧に、時間をかけて作っている。

「楽しそうだね」

管理神が聞いてきた。

「作りたいのか?」

「作りたいよ」

俺は即答した。

案内神は天を仰いだ。

やはりそうなる

「見るだけではダメか?」

俺は少し考え、首を横に振った。

「ダメだね」

「何故だ」

「だって・・・」

俺は縄文土器を見つめながら答えた。

「本物を作ったことないし」

案内神がため息をつき、管理神は少し笑う。

しばらくして、俺は縄文の景色を見つめたまま呟いた。

「ねぇ」

「なんだ」

「これ・・・ただの映像なんだよね?」

「何が言いたい」

管理神が真面目な顔をして答えた。

俺は集落を見つめる。焚き火の煙、森を吹く風、川辺で子供達が笑っている。

みんな生きていた。だが、俺はその中に入れない。ただ、見ているだけだった。

「行きたい」

「却下だ」

「早いよ・・・」

「当然だ」

案内神も頷く。

「過去への干渉は許されない」

俺は不満そうに唇を尖らせた。

「少しだけでも?」

「ダメだ」

「見るだけ」

「ダメだ」

「触らない」

「ダメだ」

「話さない」

「ダメだ」

「なんで!?」

案内人は頭を抱えながら答えた。

「お前が見ているだけで終わるとは思えない」

俺は心当たりがあった。だから代わりに笑った。

「バレた?」

俺はもう一度縄文の景色を見る。気になる。風はどんな匂いなんだろう。縄文人は何を考えているのだろう。見るだけでは足りない。そんな思いが少しずつ大きくなっていった。

世界の記録は終わりが近づいていた。だが、俺の好奇心はますます大きくなっていた。

読んでいただきありがとうございました!


次回 第11話 創造神


感想・誤字報告などいただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ