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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第2章 ベルガで生きること
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第36話 試練へ

決闘(ゲーム);英雄の遺跡を開始します』


遺跡の中は散々な雰囲気だった。すぐにでも外へ出て新鮮な空気を吸いたくなるほどにいやな空気が漂っていた。ピラミッド風の石造りの大して広くもない一本道と壁の蝋燭だけでも若干気味が悪い。そのうえ、壁面に掘られた無残な壁画は強烈だった。入口の石版の物語を基にして描かれたようで、入り口部分の絵は神々の争いに巻き込まれ、なすすべなく死んでいく人々の姿がこれでもかというくらい残酷に表現されていた。


「気味が悪いな。さっさと攻略してしまおう」

「駄目だよユウキ。それで冷静さを失ったら設計者の思う壺だよ。たぶん精神的なトラップがいっぱい仕掛けられているだろうからみんなも惑わされないようにね」

アキネ議長の掛け声もあったが、依然俺たちに漂う恐怖心はぬぐいきれなかった。


やがて、前方に大きな扉が現れた。儀式の間とでも呼べそうな円形広場の奥に全長10メートルほどの巨大な二枚扉がそびえたつ光景は神々しさと禍々しさが共存しているようで、さらに気味が悪くなる。


「駄目だな。俺の『岩窟』でもびくともしない。レイ、メニアどうにかできないか? 」

「できなくはないかもしれんが、かなり長い溜め時間が必要じゃの」

「こんなところであまり体力を消耗したくないですすヨ。どうしてもというのなら黒を使ってみますがネ」

「ちょっと待でござる。おそらくこの手の迷宮は必ず解決のヒントが隠されているはずでござる。力でどうにかなることはないはずでござる」

「俺もシグレに賛成だな。徒に体力を消耗するのは得策ではないと思う」

「シグレさんもザークくんも、言いたいことはわかるけど、そのヒントが見つからないから困ってるんだよ」

「いえ、見つけましたよっ」

「カノンちゃん? 何を見つけたの? 」

「アビリティの痕跡と思われる反応が3か所ありますっ。たぶん伝説にあった3組の3人組がそれぞれ分かれて英雄の道を開いたって部分だと思いますっ。今皆さんにも見えるようにしますねっ。『ソウル・キャスト』」

「さすがだなカノン。感知に関してはベルガ1だな」

「そんなことはないですよっ」

「そろそろ俺にもしゃべらせてほしいんだがよ、ここまで伝説通りならチーム分けを考えたほうがいいんじゃないか? 伝説では心、絆、力がキーワードだったろ。つまりこの先もそれに応じた試練が待ってると考えたほうがいい。」

久々に口を開いたリクの一言で場が沈黙する。カノンたちが反応のあった場所を調べると小さな石板があり、それぞれ魔女の洞窟、古の戦場、神の社と書かれていた。おそらく石板に触るとそれに関した試練所に飛ばされるのだろう。どれがどの試練かは伝説の通りだろう。あとはだれがどれを担当するかだ。


「まず、分けるのが簡単なのからやろうか。力にはレガードさん、レイさん、メニアさんが行ってください」

アキネがとうとう口を開いた。選択如何によっては最悪死者が出る恐れもあり、その責任を負うアキネは相当のプレッシャーだろう。実際、心なしか手が震えているように見える。だが、俺もこの選出には賛成だ。問題は心と絆だ。

「心にはユウキ、ザークくん、リクくんが行ってください。」

アキネには酷だが、慎重を期すため俺はあえて問う。

「選出の理由は? 」

「ユウキはメニアさんとの戦いで強い心を見せてくれたよね。ザークくんもあの延長戦で強い信念を通して、力を得ようとしていたのがわかった。リクくんは自分を変えようとした。そんなことは心が強くないとできないはずだよ」

「わかった」

「で、絆には私とカノンちゃん、シグレさんね」

「アキネは仲間思いだし、シグレは忠義心、カノンは俺との友情ってところか」

「私自身はそんなに特別だとは思ってないんだけど、大体そんな感じかな」

「そんなのはどうだっていいからとっとと行こうぜ。久しぶりに全力で戦えそうでよ、待ちきれねぇんだわ」

「レガードさんってそんな戦闘狂だったっけ? なんにしてもみんな、気を付けてね」

苦笑いを浮かべながらも数瞬後には決意のこもった表情になり、拳を突き出す。アキネこそそんなことをするキャラだったかと思いながら俺たちは拳を合わせる。


それぞれが石板に触れ、試練に向かっていく。俺もすぐに後を追う。何か得体のしれない不安を心に感じながら。

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