第32話 始動
完全に陽が落ちたベルガの街中央広場で、俺たち十傑はそのお披露目会を開催していた。なお、移動中に目を覚ました俺とメニアはカノンから事の顛末を聞いた。こんなドラマチックな展開になるとは予想してなかったが、これはこれでよかったのだ。レガードの八つ当たりともいえる黒雷嫌いは無くなり、全員が1つになれる日も遠くはないだろう。唯一の気がかりは俺やカノンとメニアの関係だ。そのことについて話し合おうと思っていたが、その前に中央広場でのイベントが始まってしまったというわけだ。
中央広場にはなんだかんだでかなりの人数が集まっていた。こうして終わってみれば、他のギルドからの反発も無く、実に順調に進んだと言えるだろう。なんとかしなければいけないというのはベルガ全ギルドの共通認識だったというわけだ。
「諸君! ここにこれからのベルガの街を背負う、十人の豪傑たちが集まった。これからは彼の者たちに従い、協力し、時には意見を出して共にこの街を、そしてこの世界をよくしていってほしい。では、それぞれ一言ずつ挨拶をもらおう」
レガードの突然の振りに戸惑う俺たち。
「じゃぁ、トップバッター行きます。エレクセリア所属、サブマスターのリクだ。俺は元黒雷略奪隊として皆に迷惑をかけ続けてきた。これからはこの街をよくしていくことでその罪を償いたい。どうか俺たちについてきてほしい。よろしくお願いします」
歓声が上がる。元黒雷組を快く思ってない人々もまだ存在する。それでも目立った反発がないのはそれだけベルガの街が好きだということの証明なのだろう。
「サブマスにばっかいい恰好させてられないからな。エレクセリアのマスター、ザークだ。もう2度と黒雷のような悲劇を生まないために、俺たちは強くなる。この街は俺たちが守る。だから、みんなは少しずつでいい、何かに怯えることのない生活を取り戻していってほしい。これから一緒に頑張ろう」
「刀匠団、サブマスのシグレにござる。怪しげな者はこの刀で成敗してしんぜよう。皆の者、ザーク殿の言う通り治安維持は拙者共に任せて、経済の復興を進めてもらいたい。1国の幹部として精一杯やらせていただこう」
「カーヴィングのマスター、マリだよ。東部の山地で取れる木々を使った木工細工を生産してるよ。木を使った生産は得意だから、何かあったら言ってね。超特価で受け持つよ」
「マリよ、それでは宣伝じゃろう。避寒地のマスター、レイじゃ。主らも知っての通り、我は元サラマンダーの幹部じゃ。今はベルガの街に出向しておる。部外者であることは重々承知じゃ。対黒雷戦線の一員として、この世界に生きる者として、隣人としてこの場に出席させてもらっておるようなものじゃ。出過ぎたことは言わん。じゃが、この街を思うておるのはみなと同じなはずじゃ。その思いを胸に我は惜しみない助力を与える所存じゃ。これからよろしく頼むのじゃ」
「春風ギルドマスター、カノンですっ。あの、えっと、よろいくお願いしましゅっ」
「噛んでるぞ。お前らも笑ってやるなよ。まぁ、春風サブマスターの佐野祐樹だ。ユウキとでも呼んでくれ。俺はこの世界に来てまだ何か月もたっていない新参者だ。だが、それはある意味武器だと思う。この世界に長くいる者の常識は俺には非常識だ。皆とは違った視点から物事を見て、考えていこうと思う。これからよろしくな」
「秋雨ギルドマスターのメニアですヨ。強くなりたい人は私たちのところに来てほしいネ。全力で鍛えるヨ」
「ワールド・ハンター、マスターのレガードだ。俺はさっきまで元黒雷が大嫌いだった。だが、奴らは奴らで苦しみ、悩んでいることを知った。この場にもあいつらのことをよく思っていない者が大勢いると思う。今すぐとは言わない、ゆっくりでいいから心を開いてやってくれ。それが俺からの願いだ。よろしく頼む」
「十傑会議議長、カーニバルのマスター、アキネです。議長が元黒雷っておかしいかもしれないけど、レガードさんが言ったみたいに私たちも苦しんでいるんだ。それを言い訳にするつもりはない。けど、むやみやたらと蔑むようなことはしないでほしいな。ともかく、ほぼ名前だけとはいえ、議長として、ベルガの住人として、みんなの仲間として全力で頑張ります!みんな、よろしくっ」
全員のあいさつが終わると盛大な拍手に迎えられた。これから俺たちは新しいスタートを切るんだ。不安もあるが、期待も大きい。これからどうなるのかが楽しみだ。
次回はカノン回の予定です。
重めの内容になると思いますが。
逆に軽めの日常回が書けない(泣




