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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第2章 ベルガで生きること
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第33話 悪魔

あいさつの後はサラマンダーや避寒地、カーニバルなどが料理を提供し、宴が開催された。どうもこの世界の住人はお祭り好きらしい。一方、俺とカノンはメニアの呼び出され人通りのない、中央広場近くの路地にいた。

「突然呼び出してすいませんネ」

「それは構わないが、何の用だ? 」

「もちろん先の決闘ゲームの件ですヨ。改めまして、カノンちゃん、ユウキさん。今回はやりすぎましたヨ。ごめんなさい」

「そんな、別に謝ってもらわなくても大丈夫ですっ。悪気があったわけじゃないですしっ」

「俺も、もう怒っているわけじゃない。ただの悪党ならともかく、カノンを思ってのことだったしな。こうして決闘ゲームの結果としてだけではなく、心のこもった謝罪もあった。俺も言い過ぎたと思っている。すまなかった。この件はもうこれで終わりだ。で、メニア。お前が知ってること教えてもらいたい」

「わかってますヨ。そのつもりで来ましたしネ」


メニアはたっぷりと間を取り、恐ろしいものを思い出すようにして話し始めた。

「3年前、5人の悪魔がこの地に現れましたヨ。奴らは当時キトスに勝るとも劣らないベルガを壊滅させましたネ」

「初耳だな。そんなことがあればカノンや他の人からも聞いているはずだが」

「私も知りませんよっ」

「そうでしょうネ。春風と秋雨連合は奴らにかなりの深手を負わせることに成功しましたヨ。しかし、最後の抵抗としてとてつもないことをやらかしてくれたのですネ」

「とてつもないこと? 」

オウム返しに尋ねる。

決闘ゲームの改造ですヨ。奴らの中にそんなことができる者が居たのですヨ。そのせいで今でも決闘ゲームは終わっていないのですヨ。」

「じゃぁ、メニアやカノンは今でもその決闘ゲームから抜け出せていないのか」

「そうですネ。新たな決闘ゲームの内容は、次の通りですヨ。1、ジュン、カノルノ、メニア、エルド、ジェイドの5人を封印する。2、その封印は春風か秋雨に属する者にしか解くことはできない。3、封印を解くためには5人が属するギルドを壊滅させる必要がある。4、全員の封印を解いた上で5人の悪魔を倒せば連合の勝利。それができず連合が壊滅すれば悪魔の勝利となる。5、この決闘ゲームに関する記憶は悪魔と封印された者以外保持しないものとする」

「そんな不利な決闘ゲームがあってたまるかよ。というか、お前はどうしてここにいるんだ? 封印されているはずだろう 」

「あなた方はギルドを1つ壊滅させたはずですヨ」

黒雷ブラックサンダーですかっ? 」

「そうですヨ」

「ガズが悪魔の1人だって言うのか? 」

「グリンですヨ。グリンがガズを催眠にかけて作らせたギルドが黒雷ブラックサンダーなのですヨ」

「ガズさんは悪くないってことですかっ? 」

「破壊衝動は元々あったはずですヨ。そうでなければ催眠にもかかることはなかったはずですからネ。でも、本来は表面化するようなものではなかったはずですヨ」

「そう考えると、ガズも被害者なんだな」

黒雷ブラックサンダーを倒す前は秋雨の話を全く聞かなかったが、マスターが封印されていて活動どころでは無かったというわけだろう。


「そうかもしれませんネ。そしてカノンちゃん、あなたは選ばれたのですヨ」

「それはどういう意味ですかっ? 試合中も言ってましたけど」

「春風と秋雨は悪魔によって全滅したヨ。5人は封印されたけど、他のメンバーは皆殺しにされましたネ。カノンちゃんを除いてネ」

「なんで私だけっ」

「カノルノが守ったのですヨ。彼女はカノンちゃんと近い存在だからネ。力の一部を瀕死のカノンちゃんに移してどうにか救ったのですヨ。決闘ゲームのルールと、深すぎた傷で必要以上の記憶を奪い取られてしまったのでしょうネ。実際、カノンちゃんは殆ど春風の記憶を持っていないはずですネ」

「……確かに、記憶が足りないって思ったことはありました。メニアさんからカノルノって名前を聞いた時も何か忘れているって気がしましたしっ。それは納得できました。でも、私を守る必要はなかったと思いますっ。もっと強い人はいたはずですよっ」

「その通りだヨ。強い人はいたネ。でも、カノルノはカノンちゃんをあえて選んだのだヨ。なぜなら、カノルノはカノンちゃんの母親だからネ」

「お母さんですか……? 」

前言撤回だ。秋雨はメニアしかいなかった。だから活動などできるはずがない。言われてみれば、メニア以外の秋雨を見たことがない。そして、衝撃の事実を突き付けられたカノンは固まってしまった。


「私は黒雷ブラックサンダーのゲキに襲われたときにカノルノさんと話していますっ。でも、そんなこと一言も言っていませんでしたよっ。それに、種族も違いましたしっ」

「言えないでしょうヨ。大変な激闘中に突然母親を名乗るもう1人の自分が現れたら誰だって混乱するでしょうヨ。それに、父親は人間であるジュンさんですヨ。カノンちゃんは人間とペトロのハーフですネ。そもそもこの世界に純血は少ないのですヨ。隔世遺伝など様々な要因で種族が変わることはそう珍しくありませんネ。ペトロとラダはほとんど同じようなものですしネ。どちらもロアと呼ばれる精霊族ですネ。例えるなら犬という種族にチワワとかドーベルマンがいるようなものですヨ」

「ゲキに襲われたとかいう話は初耳だし、それは後で聞こうか。でだ、カノンの出生については大体分かったし、あの謎の人格についてもカノルノが力を分けた時にできたものだというのも分かった。あとは決闘ゲームの終わらせ方だ。あと何人の悪魔がどこで、どういうギルドを作っているのかを聞きたい」

「実は顔も名前も分からないのですヨ。ただ、気配を感じることはできるのですネ。封印された者だけだと思うのですがネ。それで、この街に1人いたのですヨ。選定選中に気配を感じていたのですが、上手く逃げられてしまったようですヨ」

「こんな近くにいるとはな。次に近づいてきたら即刻捕まえてやろう。事情を話せば十傑のみんなだって手伝ってくるだろう」

「そうですよねっ。殺されてしまったみんなの敵を取りましょうっ」

「ユウキさんは本当に協力してくれるのですネ」

「当たり前だろ。カノンを放っておけるか」

「ありがとうですヨ。カノンちゃんが黒雷ブラックサンダーを倒せたのはやはりあなたのおかげでもありますヨ。あなたがいなかったら永遠に私たちは解放されなかったでしょうしネ」

「乗りかかった船ってやつだろ。気にするな」

ベルガ全員でかかれば絶対に倒せる。そう確信する俺は改めてカノンを守ると誓った。

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