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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第2章 ベルガで生きること
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第27話 誓い

「1回戦第2試合、到着順5位・メニア対6位カノン」

この試合の勝者がアキネと戦うことになる。謎のアビリティを持つメニアとカノンだが、はっきり言ってカノンに勝ち目はないだろう。俺以上に運動神経がないカノンが、自己強化できるメニアに勝てるとは思えない。怪我をしない内に降参してほしいところだ。


「ユウキさんっ、心配はいりませんよっ。私だって十傑ですからっ。女の子だからって気にしなくていいんですっ」

「……そうだな。すまない」

「いいんですっ」


「カノンちゃん、久しぶりだネ。元気してたカ?」

「元気ですよっ」

「ならよかったヨ。久しぶりだからってわざと負けたりはしないからネ」

「もちろんですっ」

「では、両者位置について。始め!」

「『色眼鏡・青』」

目の周りが青く染まる。同時にメニアのスピードが上がる。『電光石火』と同格以上の速度が出ているようだ。秋雨が生き残れた理由の1つはメニアの実力にあるのかもしれない。

対するカノンも『ソウル・サーチャー』による感覚強化で多少の先読みが可能となっている。その力を使い、どうにか初撃を受け止める。攻撃力はそこまで無いようで、大きなダメージを負った様子はない。


「強くなったネ。黒雷ブラックサンダーとの戦いで成長したのかナ。あの時は守られてばっかだったのにネ」

「あの時ってなんなんですっ?」

「おっと、なんでもないヨ。いずれわかるだろうしサ」

「どういうことですかっ」

「じゃぁ、行きますヨ」

メニアの猛攻によってカノンの追及は遮られた。かなりのスピードで繰り出されるインファイトにカノンは長く耐えることができなかった。ガードをはじかれ、右頬に一発が入る。

「一本!」


元の位置に戻った2人。カノンの頬が赤くなっている。それでもカノンは諦めようとしない。

「先ほど強くなったねって言いましたけど、そんなことはないんですっ。もっと強くならなきゃいけないんですっ」

「どうしてなのかナ?」

「もう、守られるだけは嫌だからっ」

カノンは大地を蹴る。決意のあるその走りはメニアを驚かせた。だが、それは隙を作るには至らなかった。カノンが全力で放つ一撃は容易く躱され、カウンターを左頬に入れられた。

「2本目!」


「カノンちゃんの言うこともよくわかるヨ。君はあの時も、今も、守られ続けているんだからネ。どうしても戦いたいのならカノルノの力を使えばいいでしょうヨ」

「カノルノって誰ですかっ?」

「もう1人のカノンちゃんって言えばわかるかナ。今は、だけどネ」

「あの力はもう使いませんっ」

「傷つけるのが怖いのかナ?そんなことじゃ仲間どころか自分すらも守れないヨ」

「でもっ」

「いい加減にしろよメニア。これ以上続けるようなら容赦はしないぞ?」

俺は耐えきれずに睨みつける。

「おっと、きつい言い方になったのは謝りますヨ。でも、これはカノンちゃんが受け入れ、乗り越えなければいけない壁なんですヨ」

「それくらいにしておけ3人とも。今は決闘ゲーム中だぞ」

グランジュが止めに入り、続行を促す。俺はもちろん、カノンも何か言いたそうにしていたが、黙って戦闘態勢に戻る。


「今度は今まで通りにはいかないヨ。『色眼鏡・赤』」

目の周りが赤くなる。予選でも使った技だ。

「お察しの通り、赤は力を高めるヨ。これまでの戦い方だと確実に怪我をするヨ」

「それでも、あの力は使いませんっ」

「それはカノンちゃんの自由だヨ」

メニアはカノンに近づく。一歩ずつ確実に。メニアの意図は理解できる。カノンに強くなってほしいのだろう。そのために恐怖を与えて、他人を大きく傷つけるほど強力な攻撃系の技を使うきっかけを与えるために。自分の意志で使えるようになったのかはわからないがおそらく『ソウル・キャノン』だ。だが、俺はその方法を認めたくはない。確かに有効かもしれないが、許すことはできない。


そして、メニアが射程内に入る。そして、無慈悲に拳を振るう。カノンは先ほどより遅いそれを躱す。反撃の機会を探っているのだろうが、メニアはそれを許さない。何十回と繰り返すうちに、カノンは恐怖に少しずつ慣れていったように見える。当然、メニアがそれを良しとはしない。

「ここまでやってもまだ使わないのネ。どうなっても知らないヨ。『色眼鏡・紫』」

紫は青と赤を混ぜた色だ。それぞれの特徴は弱まるものの、両方の特性が存在する。アビリティでもそれは変わらないらしい。青のスピードと赤のパワーが合わさっている。最初によけきれなかったように、今回もよけることはできなかった。だが、最初よりは遅いので、腕で防ぐことで対処が可能だった。が、カノンはガードもろとも吹き飛ばされ、後方の木に背中を強く打ち付けた。木には大きなクレーターができた。


「キャァァァァァァァァァ」

カノンは痛みのあまり叫び声を上げる。木の下の地面で悶え、苦しんでいる。

「し、勝負あり!」

グランジュは今のを1本と判断し、メニアの勝利が決まった。

「カノンっ」

俺は『電光石火』で駆け寄る。大した距離ではないが、少しでも時間が惜しい。

「大丈夫か、カノン?」

服をめくり、背中を確認する。内出血で真っ青になっており、ところどころに木が刺さって出血もしている。精霊でも実体を持つカノンはにはあまりにも大きなダメージだった。


「メニア!いくらなんでもやりすぎだろうが!」

怒りのあまり殴りかかろうとしたが、メニアはすでにそこにいて

「『色眼鏡・緑』」

緑色の目に変わったかと思えば、カノンの背中に手をかざし、その手から緑色の光を放った。すると、青痣は引いていき、木が抜け、出血も収まった。痛みが無くなったカノンはそのまま気を失った。


「カノンちゃんは選ばれてしまったのですヨ。来たる決戦に備えて強くならなければいけないのですヨ」

「その話は後だ。ここまでのことをして俺が許すと思うなよ」

「許されるとは思ってないのですヨ。ただ、カノンちゃんだけはどんな方法を使っても強くしまス。私はそうカノルノやジュンたちに誓ったのでス」

「それなりの理由があるようだが、俺には関係ない。もし、カノンが何かに巻き込まれて、戦わなくちゃいけなくなった時は俺が共に戦う。そして、命を懸けてカノンを守る。それが俺の誓いだ」

こうして、2試合目の激闘が終わった。だが、この後に黒雷ブラックサンダー戦を彷彿とさせるほどの戦いが待っていることを俺はまだ知らない。

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