第23話 予選終了
「どうしたんだカノン?そんな顔して」
「な、なんでもないですよっ」
「なんでもないように見えないぞ」
「まあまあ。そんなに問い詰めたらカノンちゃんがかわいそうでしょ。誰にだって言いたくないことの1つや2つくらいあるって」
「……そうだな。悪かったカノン」
「ユウキさんは悪くないですっ。決心がついたら話しますからっ」
「第8試合、1人目、エレフセリア・ザーク 2人目エレフセリア・リク」
また同じギルド同士の戦いだ。ザークは1週目で負けているので、どうなるかが心配だが。リクがわざと負けるという戦法も取れなくはない。
「最初に言っておくぞリク。絶対に手加減するな」
「そう言うと思った。俺が何か考えて行動するなんてガラじゃないしな。気ままにふるまって盛り上げるのが俺の役目だ」
「そうだな。グランジュ、くじを」
ザークが引いたのは力だ。
「レディー・ファイッ」
「『強化術・自己強化』」
「『火掌』」
力はリクの方が上だが、ザークの火で本来の力を出し切れていない
「負けないぞリク。十傑に入るためにもな」
「こっちこそ!」
1分以上にも及ぶ攻防の末、勝利したのはザークだった。
「楽しかったよ、ザーク」
「こっちこそ、リク」
リクの右手はやけどで痛々しいが、2人の顔は晴れやかだった。黒雷に捕まる前も同じギルドの仲間だった2人が本気で戦ったことはなかったのだろう。黒雷から解放されてから、今までザークの後ろにくっついていたリクも変わり始めていた。
「第9試合、1人目……カーニバル・エルブル、2人目……カーヴィング・マリ」
エルブルはカーニバルのサブマスだ。グランジュより少し劣るが、それでもいい肉体の持ち主だ。アキネが言うには、カーニバルの戦闘担当らしい。対するマリは生産ギルド・カーヴィングのマスターだ。華奢な短い茶髪の女の子である。カーヴィングは主に木工関係のアイテムを作成しているらしい。
「私には後がないからね、勝てるやつを頼むよ、エルちん」
「エルちんってなんだよ。まぁいいや」
エルブルが引いたのは運だった。
「いやー、ありがたやー。私運はいいからねぇ」
「俺は運がないからなぁ。ギルドでも運が絡むことには連れて行ってもらえないくらいには。まぁいいや」
「では、いくぞ。じゃーん・ケーン・ぽい」
宣言通りマリの勝利だ。これで両者1勝1敗。決着は3週目に持ち越しだ。
「第10試合、1人目……秋雨・メニア、2人目……刀匠団・ナツミ」
女性と侮るのはまずい。ナツミは刀匠団の幹部《剣閃》なのだ。試し切りも彼女の担当で、刀のスピードは空を切り裂く。年齢は30歳くらいで、胸がなかなかあるのだ。一部にはファンも多いとか。無口で孤高な雰囲気がその人気を押し上げている。1週目では知で負けている。
「よろしくですヨ」
「こちらこそ」
メニアが引いたのは力だ。
「レディー・ファイッ」
実力は互角のようだ。ナツミはかなりの力を持っていそうだが、それに劣らないメニアは何者なのだろうか。見た目的には真っ白な顔と目の周りの黒い部分がさながらパンダを連想させるが、見た目に惑わされてはけない。
「やりますネ。ならアビリティ行きますかネ。『色眼鏡・赤』ですヨ」
目の周りが赤く染まる。それ以外には変化がないようだが。
「……っ」
ナツミの顔色が明らかに変わった。互角の勝負だったのが突然メニア優勢に変わる。そして、そのまま勝負が決まった。メニアの勝ちだ。同時に、ナツミの敗退が確定した。
「なぁ、カノン」
「なんですかっ?」
「メニアって何者なんだ?」
「メニアさんは謎が多いんですよ。以前の春風のマスターとは仲が良かったみたいなんですけど。どこから来たのかもわからないんですよっ。でも、ああ見えていい人なんですよねっ」
いい人なのは間違いないだろう。元黒雷ギルドであるエレフセリアなどに戦闘訓練を行っているらしい。秋雨の実力は相当なものであるらしい。正体はわからないが、ベルガの街に溶け込み、重要なメンバーとなっているのは間違いない。
2週目はなんやかんやで終わりを告げた。
やぁ、僕は少年だよ。ちょっと語り部を交代するね。予選をこれ以上お送りしても、みんな飽きちゃうかもしれないから結果だけ発表するね。
祐樹は『電光石火』で危なげなく知を勝利。
カノンも運で勝利。
レイ・ザーク・リクも勝利し、決勝進出。
アキネは勝利し、全勝で予選突破を決めたけど、エルブルが負けて予選敗退。
レガードが全勝したけど、ピカールは全敗。
マリは勝って決勝へ。ラクーンも勝ったよ。
コードやナツミも勝ったけど、成績的に予選敗退だ。
メニアも勝ったよ。
これで本戦進出者が決まったわけだね。もちろん、これで全員じゃないけど、それは後でのお楽しみだよ。いきなり全部見せてもつまらないだろうしね。では、十傑選定戦本戦開始だ。




