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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第2章 ベルガで生きること
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第21話 予選進行中

レイとコードの二人はステージに現れたリングを挟んで向かい合う。レイが赤コーナーでコードは青コーナー。それぞれの左側には対応した色のグリップのようなものがついている。コードは確かに黒スーツが似合いそうだ。できるサラリーマンという表現が一番しっくりきそうだ。


「なあアキネ、レイを目の前にして表情を崩してないけど、あいつもしかして相当できるのか?」

「全然。カノンちゃんにも負けるんじゃない?」

「いやいや。カノンは幼い少女だぞ?」

「幼いとは失礼ですっ。私これでも成人してますよっ」

「「え?」」

カノンは20歳を超えていたのか。衝撃の新事実にコードの話題どこかへ飛んでいてしまった。合法ロリ……いや、なんでもない。


「では両者位置について。レディー、ファイッ」

「負けぬぞコードとやら」

「私もか弱い少女には負けてられませんよ」

実力は拮抗していた。真ん中から腕がほとんど動かないのだ。レイはアビリティを使っていなければ基本的にただの幼女だし、力はさほどないのだろう。種族値補正も見たところない。普通に考えて、幼女が大人の男に勝てるはずもない。一方のコードもいかにも冷静そうで、顔には一切出ていない。ポーカーフェイスの達人なのだろうか。アキネが言うにはアビリティも事務用で戦闘には向かないらしい。この点で見れば、事務員が戦闘員に勝てるはずがない。互いに勝てる要素1。差し引きで0。かなりレベルが低い。しかも、「お主やるではないか」「あなたこそ」等と言い合っているのだ。いたたまれなくなってくる。


「そろそろしまいじゃの」

「降参ですか?」

「ぬかせ。『ドラゴン・アウト』」

勝負は一瞬で決まった。当然レイの勝利だ。開始と同時に『ドラゴン・チャージャー』でエネルギーを溜めていたらしい。


「おい、グランジュ。あれ卑怯じゃないか?」

「そんなことはない。アビリティを使ってはいけないとはだれも言っていないしな。持ってるものは最大限利用してかまわない。無駄に相手を傷つけるのだけはさすがに禁止するが」

それはそうか。この世界ではアビリティは基本的に使用自由。個人の力なのだから制限されるいわれはない。なので今回のような戦闘を伴わない決闘(ゲーム)でも使うかどうかは自分次第となる。決闘(ゲーム)のルールで明確に禁止されていなければ問題はないはずなのだ。この情報は、俺の次からの戦いにかなり有利に働くこととなる。


第3戦、4戦は運と力で、目立ったことはなかった。

「第5試合1人目は……カーニバル・アキネ、二人目は……秋雨・メニア」

「おっ、私か。行ってくるね」

「ああ、頑張れよ」

「秋雨ですか……。復活したんですかねっ」

「知ってるのか?」

「はいっ。秋雨は旧春風の友好ギルドだったんですよっ。メニアさんはそのマスターですっ。最近はめっきり姿を見なかったので心配していたのですが、こうして無事でいてよかったですっ」


アキネが引いたくじは知の勝負。内容はクイズだ。

「ねえねえグランジュさん、いくらなんでも直球過ぎない?」

「これも時間短縮のためだ。勝負は1回勝負。ジャンルは俺が独断で決める」

「そんことよりも早く始めましょうヨ」

「メニアさんもせっかちだねぇ」

「では行くぞ。1の56894乗+5845468の0乗=?」

「2だね」

即答だった。


「商人ギルド相手に計算問題は分が悪いですヨ」

「計算問題というよりか、中学生のイタズラクイズみたいな感じだけどね。まぁ、とりあえず1勝かな」

「では、次だ。第6試合1人目は……エレフセリア・ザーク」

ザークは元黒雷(ブラックサンダー)所属者が多く集まるギルドのギルドマスターをしている。ちなみに、リクがサブマスだ。リクも選抜戦に出場している。

「そして、2人目は……ワールド・ハンター・レガード」


因縁の対決か。レガードが来てくれているとは思わなかった。アキネの話が効いたか。

「俺はどんな事情であれ黒雷(ブラックサンダー)を認めない」

「そうか。そういった奴もいるのは当然だろう。謝って済むことではないかもしれないが、謝らせてほしい。本当にすまなかった」

「そんなものは必要ない」

レガードは出てきてくれただけで、元黒雷(ブラックサンダー)所属者に対しての見方はあまり変わってないらしい。俺は黒雷(ブラックサンダー)時代を体験していないのでここで出しゃばりすぎてはいけないと思う。ザークやアキネ達と平和に解決してほしいものだ。


ザークの引いたくじによって力の決闘(ゲーム)に決定した。腕相撲だ。この決闘(ゲーム)はザークにとって有利だろう。ザークのアビリティ『火掌』は拳から火を出すことができる。手を握らざるを得ない腕相撲では勝負は見えている。そう思っていた。


「『火掌』」

「『岩窟』」

火に包まれたザークの右手を岩に包まれたレガードの右手が掴む。そのままドワーフの力によってねじ伏せられたのはザークだった。


「腕相撲でザークに勝つとはな」

「アビリティの相性もあるからね。ドワーフってこともあるし、単純な実力差で勝負がついたわけではないとは思うよ」

俺はアキネの言葉にうなずいてから続く試合を観戦していた。

そして1週目終盤の第10試合目はリクの試合だった。相手は生産系ギルド、カーヴィングのマスター、マリだった。力の勝負でリクに勝てるはずもなく、あっさり決まった。

それ以降も目立ったことはなく、ワールド・ハンターのサブマス・ピカールが運で負け、カーニバルのサブマス・エルブルは知で勝った。

そしてそのまま、勝負は2週目に突入する。

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