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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第1章 異世界体験入界
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第12話 対黒雷戦線:危機

再度、祐樹がいるときの地の文は祐樹視点で、いないときは天の声さんが担当しています

黒雷(ブラックサンダー)ホーム内のどこか


ザークとリクは走り回っていた。今回の決闘(ゲーム)のルールは戦闘参加人数の指定だ。逆に言えば戦闘に関与しなければホーム内にいても構わないのだ。

 レイの作戦2、『ルールの誤認』戦闘参加人数と表記することで戦闘を行わなければホームに残ることが可能とする屁理屈により成り立っている。グリンあたりは気づくかもしれないとの懸念もあるが、黒雷(ブラックサンダー)側の人間なのでどうにかなるだろうとレイが語っていた。行き当たりばったりで作戦と呼べるのかどうか怪しくはあるが、今のところ機能している。二人の仕事は2つ。ホーム内に仕掛けられているであろう罠の捜索と解除がその1つである。


「ったく、危険な仕事を押しつけやがって」

「仕方ないって。引き金を引いたのは俺たちなんだからよ」

「そうは言ってもなぁ」

「いいじゃないか。サラマンダ―からアイテムも貸してもらったし」

この任務に際し、レイはアイテムをいくつか貸し出していた。今使用中なのが『職業人形:罠師』である。周囲の罠を見つけて解除してくれるという優れものだ。しかし、職業人形シリーズは仕事として動いているのでお金を請求される。レイが前払いの定期契約で雇っているので今回は問題ない。

今のところ3つほどの簡単な罠を解除している。2人の仕事は黒雷(ブラックサンダー)に見つかりさえしなければ比較的簡単なのである。そして、もう一つが重要なのだ。


「ちっ、反応したぞ」

ザークは持っていたもう1つのアイテムを取り出す。

「じゃあここに……」

「やるしかねぇ」

取り出したのは『職業人形:解呪師』罠師同様周囲にある魔法に類するものに反応し、解除することができる。

『職業人形:解呪師』は一見何もないところに手をかざすと周囲が光だし、壁が現れた。そしてその魔法でできた壁を解呪していく。

中からは怒りに満ちたオーラがあふれ出していた。


★ 黒雷(ブラックサンダー)ホーム 中庭


レイと黒雷(ブラックサンダー)のマスター、ガズが対峙する。

「やっと見つけたわ。こうホームが広いと探すのにも一苦労じゃ。」

「《咆哮》ともあろうものがその程度で弱音か?」

「いやいや。それよりも、お主の大きさが恐ろしいわ。冗談じゃがの」

「ガキなんぞ一捻りできるわ」

「ふん、力量が測れていないの」

「試してみるか?『不良七ノ技壱:拳技(コブシギ)』」

「相変わらず謎の技名じゃの」

「余計なお世話だ」


『不良七ノ技壱:拳技(コブシギ)』はパンチが強力になる。それだけの技だが、地面に小さいクレーターを作るほどの威力を秘める。大人間本来のパワーと相まって危険な技となる。

それをレイは楽々と躱していく。迫り来る拳を右へ左へふらふらと躱し、時には宙を舞いながら躱す。


「ちょろちょろと躱すだけじゃ勝てねぇぞ?」

「わかっておる。ちぃと時間稼ぎ中じゃよ。」

「自分で教えるのかよ。バカじゃねぇか?」

「大丈夫じゃよ。お主の攻撃は当たらぬ。教えたところで防げはせん」

「なめんな」


一段とスピードが上がるガズ。さすがのレイも集中モードだ。それでも避け続けるレイだったが、なぜか避けたはずの拳に吹き飛ばされる。

「ぐぅ。意外とやりおるわ。衝撃波系のアビリティか」

「ご名答。『インパクト』っつう簡単なアビリティだがな。俺には相性抜群でよ」

「そのようじゃの。これは一本取られたわ。防御力には自信がなくての」

「それじゃあ、一気に終わらせてやる。『インパクト』連弾」

一見シャドウファイトをしているだけだが、かなりの威力の衝撃波が連続して襲ってくる。その範囲は広くとても躱しきれるものではない。


「なら、迎え撃てばいいだけじゃの。『ドラゴン・キャノン』発射じゃ」

『ドラゴン・キャノン』は高威力の熱線を放つアビリティだ。威力と範囲は事前に『ドラゴン・チャージャー』で溜めたエネルギーに依存する。『チャージャー』は静止状態ならもっともはやくエネルギーを溜められるが、戦闘中でも溜めることは可能だ。『チャージャー』発動中は体力を継続的に消費する。ただ、発動中は戦闘力が低下し、防御面はもっとも影響を受ける。ガズの攻撃は、レイにとって強がってはいるが、大きなダメージとなっていた。

戦闘開始からずっと溜めていたエネルギーはそれなりのものとなっていた。それを使って放つ『キャノン』は容易くガズの連撃を打ち破りガズに到達する。ガズは突然の反撃に避けることもできずに直撃をもらった。悲鳴を上げながらもだえるガズ。『インパクト』が盾となり一撃KOは免れたようだが、そのせいで苦しみが増したようだ。


「降参せい。主の負けじゃ」

「まだですよ」

現れたのはサブマス、グリンだった。グリンはガズを瞬時に回復する。


「おかしいの。お主はグランジュにやられているのだとばかり思っておったが。グランジュを倒すとはやりおるの」

「いえいえ。確かに私は負けましたよ《咆哮》のレイさん。ただし、分身ですが。ちなみに、あの分身は倒されると周囲にいる者を麻痺させる毒をまき散らします。効力は弱いですがそれでも30分はまともに動けないかと」

「厄介な手を使いよって。まあよい。我が主らをまとめて片付ければよいだけじゃ」

「できるもんならやってみな」

復活したガズが怒りに満ちた瞳で睨む。

「フルパワーで行くぜ『黒雷(ブラックサンダー)』」

アビリティ『黒雷(ブラックサンダー)』。ギルド名を冠したそのアビリティは自身に黒き雷を纏わせる。雷によって活性化された細胞は限界以上の情報伝達速度を発揮し、運動能力を極限まで引き上げる。また、雷としての特性も併せ持ち、受けた者は感電する。


「ほう、そう来るか。ならばこちらも対抗せねばな。『ドラゴン・アウト』」

アビリティ『ドラゴン・アウト』。レイが持つ『ドラゴン・チャージャー』を利用するもう1つのアビリティだ。溜めたエネルギーを爆発させ、自身の身体能力を引き上げる。エネルギーが多いほど効果は高いが、その分体への負担は大きくなる。

『ドラゴン・キャノン』発動からまだ十分な量のエネルギーを溜められていない。身体強化したガズとは五分がいいところである。グリンが補助に入れば勝ち目は薄いだろう。トミーか祐樹が助けに来るまで耐えなければならない。

「ちぃときついのぉ」

レイは苦笑いを浮かべながら口にした。


黒雷(ブラックサンダー)ホーム正面


「さて、そろそろ行くか」

俺は少しだが痛みの引いた体に鞭を打ち、レイの援護に動き出した。

「私はどうすればっ?」

「カノンはここで待っていてくれ。監視は怠るなよ」

「わかりましたっ。気を付けてくださいっ」

「ああ」


「行ってしまいましたっ……」

そしてカノンは気づく。とてつもないスピードで何かが近づいてくることに。

「えっ、なんですかこのスピードはっ!?」

逃げ切れない―――――そう覚悟した瞬間、激昂した《番長》ゲキがそこにいた。

「おいガキ、ちょっとストレス発散に付き合えや」

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