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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第1章 異世界体験入界
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第11話 対黒雷戦線:陰謀

祐樹がいない場面は語り部さんが情景を語ってます。

ここまで来て一人称視点にすべきではなかったと後悔してます。(涙

「おい、カノン……?」

「……はい?あれ、私なんかしませんでしたっ?というか、ユウキさん、そんなにボロボロになっちゃって。大変だったんですね。周囲に反応はありませんししばらく休みましょうよっ」

「覚えてないのか?」

「何のことです?」

今までのシリアスモードとは完全に別物のようだ。今までは妙にシリアスなだけだったが、今度のは謎のアビリティまで発現して、記憶もなくなっている。多重人格なのだろうか。何者かの攻撃の可能性もある。今は様子を見るべきだろう。「いや、なんでもない」と返事をして、休憩することにした。俺が負ければそれまでなのだ。俺たちはすべてを失う。今回黒雷(ブラックサンダー)の解散とメンバーの解放、幹部以上の60日間のギルド再編成、加入禁止という重い条件の代わりに賭けたこちらのチップは全てだ。俺、カノン、レイ、トミー、グランジュの存在おのものが黒雷(ブラックサンダー)の所有となる。所有者から放棄されるまで命令を聞き続ける人形と化すのだ。レイとグランジュの幹部権限はサラマンダ―のマスターが回収できるが、カノンが囚われれば春風は吸収される。行方不明メンバーの帰る場所、俺たちの帰る場所、短くともカノンと過ごしたあの場所が奪われる。ハイリスク・ハイリターンの決闘(ゲーム)だ。


★ 黒雷(ブラックサンダー)ホーム裏手


トミーは《眼力》サージュカと対峙していた。

サージュカはスケバンと言うに相応しい。特攻服を着、ケバい化粧をしている。

「僕としてはこんな美女を相手にしたくはないのですがねぇ」

「そうかい。アタシは構わず行くけどね」


そして世界が揺れる。サージュカのアビリティ『不良七技ノ伍:雌雲血技(メンチギ)』が発動した。トミーの体が硬直する。

「はっ、美女とか言っておきながらこの程度の威圧で動けなくなりやがるのかよ」

「……」

トミーは答えなかった。そこからの展開は一方的だった。いくら女子といえどもノーガードで攻撃を食らえばかなりのダメージとなる。加えて、固そうなグローブを装備しているのである。トミーはなすすべもなく転送された。


と、サージュカは夢見ている。

トミーのアビリティは『理想の夢眼』。目を見た相手を相手の理想の夢のなかへ送り込む。その間当然相手の体は動かない。しかし、強力すぎるアビリティには制限がある物だ。この場合、自分と仲間が対象に危害を加えることができなくなる。また、効果時間も10分ほどだ。相手が明らかに格上の場合は発動しない。相手の味方が相手に触れれば解ける。一度解除された相手には同じ決闘(ゲーム)中再使用できない。さらには、戦闘不能状態として認識されない。使いどころがかなり限られてしまう。今回のように目を見て発動するタイプのアビリティとは相性がよく、たいていの場合技を受ける前に相手を夢のなかへいざなうことができる。


「ねぇトミー。この後どうするつもり?」

どこからか入り込んでいたあの少年が話しかける。

「簡単なことです。あなたもわかっているでしょ」

「そうだね。でも、そうまでする必要ある?」

「今回は私の所有権がかかっていますからね。私が奪われればあなたにしても不都合でしょうに」

「ふふふ。そうだよね。さて、今回はどんな終わり方をするのかな。じゃ、頑張ってね」

というや否や少年は姿を消す。

「では、終わらせますか。アイテム召喚、『シャクティの槍』」

どこからとなく現れたその槍は、無抵抗なサージュカの胸を貫いた。


★ 黒雷(ブラックサンダー)ホーム 西側


そこにいたのは《龍鱗》グランジュと黒雷(ブラックサンダー)サブマス、グリンだ。

「初めまして。私は黒雷(ブラックサンダー)でサブマスターを務めさせていただいているグリンと申します。以後お見知りおきを」

「グランジュ。サラマンダ―の幹部《龍鱗》の席にいる」

「では、グランジュさん。さっそくですがご退場願います」

グリン持つ魔道書が光を放つ。その光は矢となりグランジュに襲い掛かる

「その程度か?『ドラゴン・スケール』」

その矢はいともたやすくはじかれる。グランジュのアビリティで《龍鱗》の由来でもある『ドラゴン・スケール』は自分の周囲1mの範囲内に障壁を張ることができる。その障壁は龍の鱗の如くどんな衝撃にも耐え、高熱をも跳ね返す。

「サブマスが、期待外れだな。」

強固な鱗は武器にもなる。自分の体に密着させるように発動した『ドラゴン・スケール』は本物の鱗のように体の一部となる。その強靭な鱗は非力なハーフ・エルフを紙屑のように吹き飛ばす。グリンはあっけなく光に包まれて転送される。

「何か、嫌な予感がする。とてつもなく大きな何かが動いている」

グランジュはそう感じていた。

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