映画への情熱
翌日、部室に顔出すと吉田先輩と今川君が深刻な顔して話していた。
「なんだろ?恋愛問題かな?4年の岩田さんにどう諦めてもらうか?とか。」ユウが面白そうに小声で話す。
4年も居ないし3年も今日子さんしか居ない。
「4年はもう就活でほとんどサークルには顔出さないよ。3年は、卒論の準備やゼミの方が忙しいんだよ。単位が足りない子は先生と話し合いもしないといけないし。
今は就活が押してきてね〜実際部活楽しめるのは2年までだよ。
私も予算の話に来ただけでゼミ行かないと!じゃあ〜ね〜」と部屋を出て行った。
「う〜ん、先輩たちのロードムービーは男だけで車で寝泊まりしたりキャンプ場利用したりして安上がりだったんだよ。女の子達連れてホテル泊まったりすると
まず親御さんの許可取りとか廃墟だって、先輩達みたいに無断で入るのは、もう無理だよ。
ちゃんと許可どりしないと。
もう時代が違うと言うかあ〜」吉田さんが今日子さんが置いていった予算書見ながら今川くんに渋い顔してる。
「あっ、今日はマジメに映画製作の話だよ!」サキが舌を出す。
「僕らの時は、大学構内を使って人間に擬態してる鬼を探し出して時間内に殺せないと大学が占拠されるって話だったから安上がりだし許可も要らなかったけど、今廃墟ロードムービーは金掛かるし許可取り要るし大変だよ。
長谷川部長の許可取れても難しいよ。」吉田さんが今川くんを説得してるが、今川君はガンと譲る気は無いようだ。
「先輩、また動き出してみて無理だと思ったらすぐ変えますから、とにかくやらせてくれませんか?
コイツは、長谷川さんの映画見てこの大学入ろうと決めた奴なんですよ。」と田中君も必死で吉田さんに訴えている。
「僕だって、アレ見て映画研究会入ったから分かるよ。でも、現実自分には不可能だと思ったから学内で撮影出来るものにしたんだ。
気持ちは痛いくらい分かるよ。」今日は熱い映画への思いで激論してる。
昨日は中村さんと一緒にフワフワしてた吉田先輩は、今日は映画製作への熱い男って感じで、確かにこれは惚れるかも…と思う。
長谷川部長が1年の頃に作った映画がそんなに皆に影響力を持ってるのがスゴいなと思う。
それより会いたかったな…と思う。
消えてしまったトムが蘇ったような気がした。
そんな事はあり得ないのだが。
あの青い瞳がトムと同じ陰りを宿してるような気がしたのだ。
「あ、あの、もう3年生は映画作ったりしないんですか?」伽椰子が唐突に質問する。
「う〜ん、時間的には無理かな?でも、撮影したものを編集加工するのは手伝って貰えるかも?
長谷川さんは、ほとんど無意味に撮影した映像を声入れ効果音足して映画に仕上げる天才なんだよ。
ほとんど編集の妙だね、あの映画は。」と吉田さんが熱く語る。
今川くんが後ろでウンウンと頷いている。
「私達も見たいな。それ見ないと急に廃墟巡りして田中の運転なんかで旅するとか無理だから!」ユウが仁王立ちして話す。
「おい!聞き捨てならないな!俺はずっと昔から運転してるぞ!町中より地方の山道とか海岸沿いとかのオフロードの方が得意だぜ!」と胸を叩く。
「ダメじゃん!それ違法だよ!」サキが舌打ちする。




