ロケ
今川くんが運転してる設定なので途中でロザリオ付けて運転してる風なシーンとワゴンの後から着てるチェックシャツがはみ出すラストカットを最初に途中の海沿いで撮る。
まず神奈川静岡方面から攻める。撮影はシナリオのエンドから入り結構バラバラだ。
今川くんとサキで絵コンテ作りそれを分解して撮影手順書を作り直してる。
シナリオ書くより大変な作業だと伽椰子は感心した。
まず静岡の廃ホテルで田中くんの森の中のアクションシーンを取る。
複雑なのは背景だけ撮影しておいて、後でワイヤーアクションの専門店で、撮影する。
廃ホテルの2階に居る田中くんを皆で目撃するシーンを現場で撮影する。
「足、大丈夫?」ユウが田中の足を心配する。
ワイヤーで吊るしたが木から降りるスピード速すぎて
足首を痛めたのだ。5人だけなのでワイヤーの調整は田中本人がした。
「自業自得だよ〜ゆっくり降りれるスピードに調整習ったのにいい加減しちゃったよ〜先生に怒られるわ〜」足をさすりながら廃ホテルに入った。
もう伽椰子、サキ、ユウ個々にスタンガンを持たせている。
「絶対1人で動かないようにしないとね!」やはり昼間でも廃墟は恐い。特に森を抜けた雑木林の中なので昼間でも暗い。
「いきなりクライマックスシーンから撮影だもんね。
皆、怪我しないように気を付けてね!」サキが伽椰子の手を引きながら皆に声を掛ける。
廃ホテルはとにかく物が散乱してガラス片も多い。
サキとユウはジーパンでスニーカーだが、伽椰子はゴスロリなのでヒールなのだ。
「田中!私にもたれな!」ユウが階段で田中に肩を貸す。身長同じくらいなので貸せるのだ。
「ええっ、悪いよ。」田中は臆したが、ユウが「足痛いんだから!無理すんな!」と2人が並んで登るのを伽椰子はニヤニヤ見送る。
「ほら、自分の足元気をつけて!」とサキに叱られたが、
「あの2人、良い感じだよね〜ヘヘッ」と伽椰子がニヤつくと「今度シナリオ書く時はロマンス物書きなよ。やっぱり好きそう。」と笑われた。
先に着いていた今川くんがカメラのセッテングを終えてた。閉じてた窓を開けると風が部屋のカビ臭い匂いをマシにしてくれた。
窓から振り返り偽田中が襲ってくるシーンと皆が逃げ惑うシーンを先に撮る。
1番しっかりしてそうな階段でもみ合い田中を抑える事に成功して正位置の十字架を身体に当てると偽田中が苦しみ出すシーンまで撮れた。
ついでに1階の昔のロビーのソファでグッタリしてる田中を助け起こすシーンも撮った。
その後、二手に別れて田中とサキは2階の窓の部屋に戻り、伽椰子とユウと今川くんが外に出た。
2階で首が360°回る廃ホテル冒頭シーンを撮るためだ。
しかし、待てど暮らせど田中が窓に現れない。
携帯を掛けたが、場所のせいか繋がらない。
「面倒だが見に行ってくるよ。2人はココに居て。」と今川くんが廃ホテルの中に入っていった。
「なんか嫌な雰囲気だよね。」2人で身を寄せ合ってポケットの中のスタンガンを握る。
吉田先輩が心配したのが、ヒシヒシと分かってきた。
こんな人気のない森の中で5人だけで廃墟うろつくのは本当に危険だ。
「このシーン撮れたら、他は皆がバラバラに動くシーンないから、かなり安心なんだけどね〜
田中が足痛めてるし心配だよね。」ユウがなぜかガシッと伽椰子を抱きながら話す。
確かに大変だけど、こうやって皆で冒険できるのは、すごく楽しい。
まだ知り合って1月しか経たないのに、もうずっと昔からの友達みたいだ。
「ゴメンゴメン〜遅くなって〜!」とやっと窓から田中が手を振った。
下から今川くんも出てきた。
「メイク手こずってたみたい。炭を車に忘れたらみたいで目の周りを黒ずますのにマスカラを化粧水で引き伸ばして塗ったみたい。首の切り口も口紅に変更したみたい。」今川君が息を切らしながら帰ってきた。
「さあ、撮るぞ!」とすぐカメラを窓に向けた。
「田中!演じてくれ!」と大声を出す。
田中君が真顔になり、ユックリと手を振る。そして目を見開いて口元だけで笑う。
メイクのおかげでかなり恐い!
「あれ?サキが後ろに居るのかな?もっと映らない場所に移動して欲しいなぁ〜でも、田中がせっかく演技してるし後で加工で消すか!」と文句を言いながら撮影は終わった。
廃ホテルから出てきたサキに今川くんが文句を言った。
「なんで田中のすぐ後ろに立ってたんだよ〜カメラに映つちゃったよ。」と話し掛けると田中もサキも顔色がサッと変わる。
「サキちゃんはカメラに映らないように俺の横の壁際に居たよ…絶対カメラに入らないよ!」と田中が言う。
「私、窓のある壁際にメイク道具持って立ってたよ。田中くんの後ろに人なんか居なかったよ!」サキも訴える。
皆でもうかなり遠くなった廃ホテルのその窓を見ると
白い人ようなモノがうごめいている。
「田中、窓閉めてきたか?」今川くんが聞く。
「いや、閉めてない…ゴメン。」田中くんが答える。
「って事は、あの白いモノは窓の反射じゃないのかな?」伽椰子が震える声で言う。
「とにかく車まで早く戻ろう!」と皆でダッシュで走った。
田中は足を痛めてるのに先頭を走っていた。
10cmのヒール履いてたはずの伽椰子も逃げ足は速かった。18歳はまだまだ無限の力があるのだ。




