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普通は異世界に落ちる  作者: fosel4
13/15

手段と方法

「君...無事だったのか」

「まあ、あたしのほうよりは、君のことが心配だったけど」

「...最後に、誰も信じるな、といった口がいうか」


僕の悩みの原因はほぼこいつのせいなのに


「それはあたしのわがままみたいなものだ、君がそうしないと、意味がない」

「だったら、なんでまた僕に近づいた?」


理恵は黙った


「...伝えることがあったから」

「伝えること...?」

「とにかく、ここは人目が多い、少し落ち着ける場所まで行こう」


そういい、理恵は僕の手をとった


「静かに話せる場所、わかる?」

「あ、ああ」

「じゃ、行こうか」


そういい、理恵は僕を引っ張った


「ちなみに、僕に選択権は...?」

「あんまりお勧めはしないな、大事なことだから」

「...わかった、だったら...」


そうやって、アスカが歌っていた場所まで来た


「静かに話せる場所...と言ったような気がするけど」

「すまん、知っているところがここしかなかった」


理恵はため息を出して、料理を注文した


「で、早速だが本題に入ろう」

「なに、その大事な情報というのは」

「...その前に、一つ頼んでもいいかな」

「もう、なんだよ一体」


静かな場所まで来て、また何か頼むなんて


「冷静になって話を聞け、これだけだ」

「...どういう意味? それ」

「そのままの意味だよ」

「僕はいつも極めて冷静だけどね」

「...」


理恵があきれた顔で僕を見る

まあ、最初の出会いがあれだったし


「...わかったわかった、約束する、どんな内容なのかも知らんけど...」

「...君がわたしの家に来て、その次の日のことだ」


だったら、僕が盗賊のギルドに入って、寝ている時くらいだな


「ひいろさんに会った」

「...」


表情が、固まった


「その森であった事件は、公式に報告するものではない」

「...で、それがどうした」

「だから、その事件の結果は、世間に公開されない、という意味だ」


...つまり、その事件自体が、『なかったもの』として扱われるということだ


「だが、ひいろのやつは生きて戻った...」

「...」


理恵は黙った

そのまま、何も話すことは無く

わかっていた

だけど、無視した


「それが、どうした」

「...わかっているだろう?」

「...」

「...大丈夫か?」

「ああ...いや、違う、大丈夫じゃない...」

「...すまない」


理恵の声も、歌声も、何もかもがうるさくなった


「後悔、している?」

「わからない」

「...」

「理恵、少し、質問、いいかな」


頭に血が昇って、痛い

でも、耐えている理由は多分、このような状況になれたからかもしれない

それとも...


「ひいろは、全部、やっつけたと言った?」

「いや」


よし

だったら、まだ生きているかもしれない

まだ、希望は残っているということだ


「一人を逃して、全員始末、だと言った」

「...」


壊れた

僕が、何とか耐えるために

笑っているために、見ないようにしていた事実


「...すまん」

「...」


僕は、ただ、黙っていた

その後は、覚えていない


「わたしはこれから冒険者として活動するつもりだ、何か、手伝うことがあったら、言ってくれ」

「...ああ」


そういって、僕は戻った

もう太陽は見えなくなって、真っくらになっていた

何もかもが、いやだ


「おう、戻った...か...」

「...はい」

「...なんか、あったかい?」

「いえ、何も」


そう適当に会話を終わらせて、僕は地下に行った

地下の大きいグラウンドで、僕はぼーっとしていた

歯をくいしばって、ただ立っていた


「...勇者の居場所...」


そこに行かないと

だとすると、ここから出ないとだめだ

でも、僕は出れない

それは、名目上なのか、それとも本当なのかは知らんけど

僕の体を心配してくれているから


「だったら」


証明したらいい

ここから出る

出て、勇者の居場所まで行く


「そして...そして...」


そして、何をする?


「...」


今は、いい

それを考えると、自分が壊れる

だから、耐える

壊れそうになったら、死んだ時を思い出す


『持っている手段を全部使って、最後まで生き残る、それが、盗賊』


...そう、手段、方法だ

どんな手段、方法を使っても...


「やってやる...」


手も、足も震えていた

一回、倒されたとき、もう起きたくないと思った

二回目、これは夢じゃないかなとおもった


「でも、これが現実だ」


倒されるとき、真っくらになることが嫌いだ

死ぬときの感覚と似ていたから

むしろ、痛みの方がいい

まだ、生きているから

その痛みも切れたら、真っくらになって、何もかもが消える


「生きたくない」


そういいばいいのに

それができない


「もう、いいんだよ」


楽になれる

絶対に、今の気持ちより楽になれるのに


「何を...考えているんだよ...」


否定的な考えを何とか脳から消す


「やってやる...やってみせる...」


あの3人が、命を捨ててまで救ってくれた

僕がやっていたことは、単に現実から逃げ出しただけ

このファンタジー世界で、僕みたいな極普通な人ができることは、何もなかった


「見せてやる...!」


手段と方法を選ばない人の強さというやつをな...!

だとすると、僕が何ができるかを考えないとだめだ


「僕が知っていること...」


心の中で、インベントリーを開く想像をする

位置は僕の後ろ側

そして、手を後ろに延ばしてカバンを出す


「押すだけでもでる」


ここに来て、わかった事実だ

インベントリーのなかの荷物は、タッチして、出すを選択する

そうしなくても、荷物を出すことはできる


「そして、僕は魔力というものがないと言っていた」


それは、どういう意味なんだろう


「気配がない、かもしれない」


元の世界でもたまに言われたような

いや、それほどでもないか


「一撃は全部、腹に食らったような...」

「あら、悩み事かな?」


考えていると、後ろから先輩が声をかけてきた


「...はい、少し」

「ふうん」

「...聞かないんですか?」

「言いたいと思っていたら、言うでしょう?」


そうなのかな、わからない


「それで、今日も訓練するけど、やるよね?」

「...はい」

「...あら、目が変わったね」


手と足が震えている


「先輩、前に言いましたよね、どんな方法でもいいから、傷つけたらいいって」

「ええ、そうね」

「...」


でも、さすがに

抵抗感があった


「...あら、まさか、今まで気を使ってくれてたのかな」

「ええ、ま、少しは」


反応するタイミングもなかったことも事実だ

でも、僕の場合、この人を傷つけるためには、武器を使わなくてはならない

そして、それはー


「お気遣いありがとう、後輩君、君は優しいね」

「...」


思ってもみなかった返事だった


「あら、もしや私が『逃げるな、馬鹿なの?』でもいうと思ったの?」

「...え、と」

「後輩君」

「...まあ、はい」


先輩は微笑んでいた


「君は...なんていうか、変人だね...」

「はあ」

「...じゃ、そんなかわいい...可愛い?

...とにかく、後輩君のために、教えてあげる」


そういい、先輩は、短剣を出した


「持ってみて、後輩君」

「...」


ぎゅっと、短剣を持つ


「そう、そして、私の手に、精一杯、力を込めて、刺してみて」

「...」


手が、震えて

息が、苦しい


「後輩君、君は、弱い」

「わかっていますよ、そんなこと」

「でも、慣れないとだめ」

「...いやですね、それ...」


人に剣とか、刺したくない

できれば、傷つけたくない

当然なことだ


「でも、大丈夫、後輩君」

「何がですか」


涙が出て、前がうまく見えない

自分を殺したい

さっき、決めたくせに

結局、逃げているだけだった

どれだけ情けないやつなんだろう、僕は


「誰も傷つけたくない、それは不可能なことだよ

でもね、まあ、だれも殺さないで行くことはできる」

「...」

「人を殺すことができるように、とは言わないよ? そんなに残酷な人たちじゃないからね」


先輩の優しい言葉が、痛い


「...さっきも言ったでしょ?君は弱いよ、後輩君」

「...」


弱いことは罪だ

せめて、この世界では

僕がもっと強かったら


「...でも、その強さは必要あるのかな?」

「...はい?」

「私も弱いよ、後輩君」

「でも、先輩は...」

「ええ、23、強いと思っているのかしら?」


言われてみると、あんまり強くない

むしろ、今まで見てきた人の中では、一番弱いかもしれない


「でも、こんなわたしでも、勝てる」

「...」

「レベルは経験、戦闘能力そのものだよ、絶対的なもの」

「...だったら、どうやって勝つんですか」


絶対的なものだったら、勝てない


「...それを戦略、戦術、手段、方法、何でもいいから、使う、それが、盗賊だよ」

「それは、レベルとは関係ないものですか?」

「レベルは、1対1で、同じ職業だったら、絶対的ということ」

「...はあ」


よくわからない


「でも、それ以外だったら、違う、ねえ、後輩君」

「...はい」

「私を信じて、刺して」

「ふうううう...」


結局、やらないとだめか


「ふう、わかりましたよ、頑張ります...」


そういい、僕は短剣を両手で持った

そして、全力で、先輩の手に、刺した

...はずだった


「そう、君はこれくらい弱いんだよ」

「...はあ」


刺したと思っていた短剣は、見事に先輩の手にあたり、止まっていた

力を入れても、動かずに、止まっていた

まるで、鉄に鉄がぶつかったような


「どれくらい自分が弱いか、わかってくれた?」

「...はい」

「でもね、傷つけることができない、ということではないよ?」

「あの、もう全力で押していますけど」


なのに、無理だった

ぷっ


「じゃ、今はどう?」


急に、短剣が先輩の手に入っていって

先輩の手から、血が落ちていた


「うっ...!」

「宿題だよ、後輩君」


しゅっ

先輩の手を刺した短剣が、地面におちた


「さて、と」


そういい、先輩は手に包帯を巻いた


「1週間、時間をあげる、その間にわたしを傷つけられるようになって」

「...ちなみに、できなかったらどうなりますか?」

「あら、当然のことじゃない?」


そういい、先輩は、意地悪な顔をして笑った


「1年かかる修行に変更する」

「うわ...」

「多分、それだけかかっても無理だったら時間の無駄だからね」


つまり、実践向けの修行じゃなくて、基礎的な訓練からやるということ


「厳しすぎじゃないですか? 先輩」

「あら、大事なヒントもあげたから、頑張ってくれないと困るよ?」


それは...そうなのかな


「もちろん、1日1回だけ、まあ、それ以上やったら後輩君が死んでしまうかもしれないし」


...つまり、これから7回


「頑張ってね、後輩君、応援しているから」


そういって、先輩は手を振りながら戻った


「...ポニーテールっていいな」

「何言っているの」


ツッコミされた

まあ、少し現実を否定したけど


「...いい目になったな」

「うわっ、びっくりした」


後ろには、いつ来たのかわからない禿の...


「禿のおっさんじゃなくて井田だよ」

「あ、はい」


井田さんか、うん

なんか、日本の名前が多いような


「まあ、さすがに1週間は厳しいとは思うけどな」

「やるしかないですけど」

「ほう」


できればもっと早くしたい


「でも、持っていることが少ないので」

「例えば?」

「武器です」


僕はさっき先輩を刺した短剣を拾った


「ほう、それだと足りないのか?」

「...わかりませんけど、たくさん用意して、損することはないかな、と思って」


rpgゲームをやりすぎたのかもしれない


「でも、やりすぎて一つも使わずにやられるかもしれないじゃないか?」

「...まあ、一つも使わずに死ぬかもしれないので」


僕、弱いからな


「じゃ、売ってあげようか」

「...売る?」

「ああ、ここは盗賊のギルドだ、騎士団の武器よりは質が低めだが」

「見せてください」


方法、手段

それを増やすためには、物,つまり武器が必要だ

僕の体だと、手段も方法もないから


「じゃ、期待せずに待っていろよ、今いろいろ持ってくるからさ」

「ありがとうございます、井田さん」

「...まあ、禿のおっさんよりはいいな」


そういって、井田さんはどこへ行ってしまった


「...」


弱いんだよ、君は


「...知っている、うん」


胸が、ちくちくと痛い

一人になると、またおかしくなりそう


「冷静に...落ち着いて...」


...理恵には、ありがとうも言えずに来たな

この言葉が無かったら、冷静さを失って、騎士団まで走ったかもしれない

...なわけないだろう?


「...うるせぇ」


自分の心の声をあえて無視する

握っている拳が痛い


「うん、大丈夫、うん」


全然大丈夫じゃないけどな


「おい、持ってきたぞ」

「あ、はい」

「とりあえず、いろいろ持ってきたが...」


そういい、井田さんは箱を開けた


「...すごくいろいろありますね」


箱には、いろいろなものが入っていた


「まあ、とりあえず、君が使えそうなやつだけ持ってきた」

「へえ」


まあ、いきなりハルバードとか持ってきても、僕は使えないし

適当に区分けしてくれたのか


「ありがとうございます」

「...やっぱ男のやつに感謝されてもあんまりうれしくないな」

「...」


無視して、箱の中をみる


「短剣、手裏剣...なにこれ、緑色の水...?」

「毒だな、武器に塗るやつだ」


怖いやつだ

「...なんだよ、その『だったら全部脱いでいたら?』と言いたい目は」

「うわ、どうやって分かったんですか本当」


まあ、ゲームではよくあったことだからね

...ていうか、異世界っていうことより、この世界は

ゲームに近いような気もする


「...大体、似ているもんだけどね」


そう言いながら、僕はまた箱に目を通した


「...縄は何に使う物ですか」

「暗殺」

「あ、はい」


盗賊こわい


「それと、この球はなんですか」

「あ、煙玉だ、地面に投げると、爆発して煙が出て、姿を消すことができる」


忍者じゃねぇか


「まあ、でも、魔力があるから、普通にばれるけどな」

「じゃ、だれが使う物ですか...」

「不意打ちとか、魔力がないやつらが使っているよ」


...僕だ


「...僕以外に魔力なしの人がいますか?」

「ああ、まあ、レアだけどな」

「なるほど」


魔力も才能なのかな


「でも、気配はある」

「...なにが違いますか」

「ううん、よく説明できないけど」


井田さんは困ったな、という顔だった


「まあ、魔力が探知できない人は気配で探知する...それしか言えないな」

「いや、わかりませんよ」


同じものじゃないのかな


「気配は、周りの雰囲気でわかるものだ」

「はあ...」


雰囲気、ねえ


「周りの空気の流れ、足元から感じられる振動...とか」


つまり、人が立っているときと、何にもなかったとき

それに違和感を感じるというわけかな


「魔力は、それができない、魔力がない人がいたら、同じものとしてみてしまう」

「...え、と、人がいても、いないように感じてしまうということですか?」

「ああ、そうなるな」


だから、あの時、セイが魔力がないからびっくりしたと言ったのかな


「大丈夫か? 顔が白いぞ」

「...はい、なんとか」


それ以外にもいろいろあったけど、僕が使えそうな奴はなかった


「そういや、聞きたいことがあるんですけど」

「なんだい」

「僕の手、確かに折れましたけど、痛みがなくて」


違和感もなく、まるで壊れる前に戻ったような


「赤いポーションだけ飲ませたけど」

「...それだけ?」

「ああ、普通だったら、もっと上のランクにある橙色とか使ったけどな、君はレベル1だし...」


...僕の体力が少なすぎて、赤いポーションだけでも良かったのか


「ちなみに、赤いポーションは40金だな」

「僕の命、結構安いですね」


今4000金あるから、100個も買えるし


「橙色のポーションは2000金」

「価格が全然違いますけど」

「まあ、効果は5倍だけど」


なんでやねん


「君とは違って、僕らは赤いポーションでは体力が回復した気分もしないからな」

「はあ」

「一回で回復ということも大事だし、薬じゃなくて、飲み物みたいなもんだ」

「ええと、僕は何個飲みましたか」


さすがに、レベル1でも何個かは飲むかな


「1個だ」

「うわ、安い、僕」


2個は使うだろうと少しは期待したのに

「...で、他には必要なものあるか」

「いえ、これだけあったら、なんかできるんじゃないかと」


たぶん、1個もまともに使えず倒れると思うけど


「よし、煙玉10個、手裏剣5個、短剣3個、縄2mのやつ1個だな、3500金だ」

「ただじゃなかったのかい!」

「当然だろう」


当然なのか!

いや、当然だけど!


「...後で返しますということは、ダメでしょうね」

「まあ、君は盗賊ギルドに所属してないから」

「じゃ、さっきもらった4000金は?」

「ただの気まぐれだ」


そうなのか


「じゃ、その4000金で会計してもいいっすね?」

「...お前、全然使わずに戻ってきたのか?」

「まあ、いろいろあって」


そう言いながら、さっきもらった札を戻した


「さ、残りの500金だ...で、どうやって戦うのかは決めたか?」

「そうですね」


正面から戦ったら、負ける

逃げることも、できない


「...まだ、何も」

「そうか、僕はそろそろ行くぞ、頑張れよ」

「ありがとうございました、井田さん」

「...まあ、禿のおっさんよりはいいか」


そういい、井田さんは消えた


「さて、と」


うまく誤魔化すことができたかな

どうやって戦うのかは決めてないけど、少しやることは決まった


「負けた時のための保険...と」


絶対に負けないための準備を整えておこう

言葉が全然あってない気がするけど


「じゃ、また出るか」


力があるとき、動く

休んでいたら、暗くなるだけだ


「うん、まだ、まだだ」


自分が壊れていくこと

それをあえて無視する言葉を自分にいって

笑って、自分の心もだまして

痛みを後回しする

...絶対に、何倍も痛くなって、また来るだろう


外は、暗かった


「手伝ってくれる人が必要だな」


先輩はさすがにだめだったので、2時間で戻りますから、と言って出たのはいいけど


「理恵には...」


胸が、痛い


「...じゃ、一人しかないか」

「だれかが超絶美少女を呼んだ気がして登場!」

「井田さんに頼むしか...」

「こんなにかわいい美少女を無視するな!」


できれば知らない相手だったらよかった


「いやっす、宇宙級の美少女アスカだよ」

「君、会うたびいつもテンション上がるな」

「君と出会えるから」


どきっ


「あ、ドキドキしたね、いま」

「...してない」

「いやーアスカちゃんは吟遊詩人だからね、わかっちゃうよね」

「関係あるの?」


ダメだ、こいつと一緒にいると、こいつのテンションに巻き込まれちゃう


「にゃはは、それで、何か困っている?」

「まあ、時間...大丈夫?」

「忙しいけど、相手はできるよ!」

「おう、ありがとう」

「お礼のセリフがたりない!」

「感謝しますスーパー美少女アスカ様」

「にゃははは、ださいね」


うっせぇよ


「何を手伝って欲しいの?」

「雑貨屋で買い物をすこし」

「...にゃははは、私が言うこともなんだけど、冗談だよね?」


かなり本気だった


「うんうん...手伝ってくれないと、どうなるの?」

「僕が」

「...」

「子供みたいにここに座ってわんわん泣く姿を見ることになる」

「...にゃはっ、じゃ仕方ないね」


そういって、アスカは消えた

うん、ダメだな


「あの、さっきのは冗談だと思って、また機会くれませんか?」

「うん、そうして」

「...後でご飯おごることでどう?」

「にゃはは、最初からそう言ったらいいのに」


まあ、これもだめだったら泣くつもりだったけどね


「それでだけど、いい雑貨屋しっている?」

「いい雑貨屋と言っても、何を買うのかわからないから無理なんだよね...」

「安いところで」


僕はあんまり金は持っていない、500金だったら、多分ポーション12個くらいだろう


「いい返事いい返事、その方が簡単に探せるかな」

「え...できればポーション全般、武器は扱わなくてもいい」

「で、店長はおっぱい大きな人だね、わかった」

「違う!」


どんな目で僕を見ているのこいつは!


「え、いやなの?」

「...」

「...」

「だと思った」


男は悲しい生き物であった


「よ! 元気だった?」

「アスカ、お久しぶり!」

「へえ、ここが...」


先に中で人と話すアスカを無視して、僕は店を見ていた

...うん、品物の下に、価格が書いてあるからいいけど


「でも、まだ文字はわからんな」


覚える時間もなかったし

漢字とかまた最初から学びたくないよ


「赤いポーションは...うん...」


不気味なものがいっぱいで、何かわからん

本当、異世界だな

...今更だけどね


「なんだ、この紙は...?」

「ああ、それは魔法のスクロールです」

「あ、ありがとう...ござい...」


後ろを見ると、さっきまでアスカと話していた人がいた


「ええ、と」

「ああ、まひるです、真昼 あや」

「...じゃ、改めて、ありがとうございます、真昼さん」


もう話は終わったのかな

アスカの性格だと、多分これから1時間は使うと思ったけど


「まあ、アスカちゃんが呼んで来たお客様ですから、事情はわかっています」

「...はあ」


話が早くて助かる


「アスカちゃんだったらロリコンに入らないので、心配なさらないでください」


話がずれていた


「...そんな関係じゃないですからね」

「ふふ、冗談ですよ、で、何を探していますか?」


質が悪い冗談だ


「で、この魔法のスクロールたちはなんですか、僕、恥ずかしいけど字が読めなくて」

「へえ、なるほど、じゃ探しているものはありますか?」

「赤いポーションを少し」

「赤いポーションですね、かしこまりました、こちらです」


そういい、まひるさんは案内してくれた


「ちなみに、アスカは?」

「代わりにカウンターをやってくれています」

「...」


不安しか残らない


「これですね」


さっき、盗賊ギルドでみた赤い液体だ


「1個でいくらですか?」


円が口から出そうなことを何とか耐えて質問した


「50金くらいですね」

「へえ」


10円、いや、10金高くなっていた

じゃ、10個買っていいかな

いや、待てよ、10個も必要じゃなくない?

...これだけで、僕は先輩を倒せるのか?


「...いきなりですが、スクロールは普通いくらですか?」

「質によってですけど、大体2000金は越えますね」

「へえ」


2000金を超えるのか


「あ、でも一番安いものは...」

「ほう?」


魔法の力を使える、と言われる道具

アニメかゲームで結構出ていた印象だ

あれを使うと、魔力なしの人でも、魔法が使えるはず

まあ、そんな都合よくいくわけないけどね


「250金です」


都合よく、行った


...


「合わせて、500金になります。」

「...君、普通に接客できるな」

「私ができないとでも思った?」


まあ、やりながら、いらっしゃい! スーパー美少女アスカちゃんです!

と、いうと思った


「じゃ、戻るの?」

「ああ、いいものが買えた」


切り札、というやつだ

さて、と、残った問題は、さっき買ったスクロールだ


「これを、どう使うか」


とりあえず、禁止されていることとか、危険性は聞いておいた


「へえ、なんかあるの? ギルド」

「あるというか、いつも通りだな」


僕が入って、何が変わったのかわからないから


「ギルドといえば、なんで君、今日先輩を怖がったの」

「答えないと...だめ?」

「あ、可愛い、許す」

「ちょろい」


別に聞かないとダメなことでもないから

むしろ、聞いちゃダメなことだとわかった

だから、それでいい

答えないから、それがヒントなんだ


「うわ...きもい顔してる」

「うるせぇな」


用事は済んだ

残ったことは...どうこれを使うかだけだ


とりあえず、禁止されていることとか、危険性は聞いておいた


「へえ、なんかあるの? ギルド」

「あるというか、いつも通りだな」


僕が入って、何が変わったのかわからないから


「ギルドといえば、なんで君、今日先輩を怖がったの」

「答えないと...だめ?」

「あ、可愛い、許す」

「ちょろい」


別に聞かないとダメなことでもないから

むしろ、聞いちゃダメなことだとわかった

だから、それでいい

答えないから、それがヒントなんだ


「うわ...きもい顔してる」

「うるせぇな」


用事は済んだ

残ったことは...どうこれを使うかだけだ


...


「げふっ」

「...後輩君、甘すぎだよ」


もう動けない後輩君について、私は言った


「腹だけ防御していても、私は打たないよ?」


正論だ

相手が防御すると、防御してないところを攻撃する

今回、私は心臓を打った

世界が止まって、真っ白になったはずだけど、後輩君の意識は残っている


「次は頑張ってね、後輩君」


それを最後の言葉にして、一撃

そして、後輩君はベットで起きる

これから、1週間これを繰り返すことになるだろう


「でも、なんか狙っていないような」


でも、無駄だ

力がある人と、ない人の差

私はそれをよく知っている

ヒントを上げたことも後輩君のため

あんなレベルじゃ、外へ出ることは自殺行為だ

だから、ヒントも上げたのに、無理だったことを教えないとだめだ


「でも、これじゃ無理だね」


一撃を食らって、動けない

だったら、心配しないで、一撃を当てて、ゆっくり進んだらいいだけ

何か企んでいても、一撃で無駄になる

盗賊の戦いとか、偉そうに言ったけど


「ううん、現実を知るためには、これくらいの嘘がちょうどだね」


圧倒的な力の差

その前では、どんな策も、手段も通用しない

それを教えて、基礎的な訓練


「自分の力を過信しないように、現実を教えなきゃいけないから、恨まないで、後輩君」


実際、そんな冒険者が一番はやく死んじゃうから


「でも...」


なんでせっかく買ってきたものを使わないのかな


「...明日か、それとも」


最後の日になるよね

その時は、少し頑張っていくか


「でも、怪しいね」


念のために、三日くらいは様子を見るか

力を使いすぎたら、後輩君が死んでしまうから

いろいろ面倒なところだ


「なんで私はわざわざ助けたのかな」


少し、期待しているのかな

レベル1が、23に一撃かぁ

歴史に残る事件になるかもしれない


「そういや、そういうランキングもあったような」


人対人

世界で一番、離れたレベル差で勝った人は...


「だれだっけ?」


まあ、どうでもいいか

名前なんて、忘れがちだから

...


「全然だめだったな」


予想はしたけど

でも、ここまで完璧に負けると、やる気がでる


「腹だけ防御しているから、心臓を打たれた」


じゃ、次は胸と腹をガードしてみるか

そして、何かしないと


「人をだますことって、大変だな」


たぶん、先輩は慌てている

僕が、最初の日に、何にも使わず、あっさりとやられてしまったから

いや、普通と同じだけどね


「じゃ、先輩はどう思う?」


せっかく教えた情報を使わずにやられる

何にもせず、ガード

それはおかしい


「だから、あっちは明日か最後の日を狙わないかな」


今日の動きは、速かった

もともと速かったけど、何とか見えた

もちろん、すぐ消えて痛みだけが残るけど


「せめて、反応できる速度じゃないとだめ」


だとすると、先輩が本気じゃ無理だ


「明日これを使って...うん」


なら、本気にしちゃだめだ

先輩は、僕を怪しいと思っているはずだ

それとも、弱いから、全然期待してないかも

それでもいい

むしろ、そうして欲しい


「逆転だ...」


僕は、まだあきらめてない

確かに、圧倒的な力の差があった


「これは、前よりひどくはない」


セイに捕まった時、動くこともできなかった

あのくそひいろと戦うときは、僕は邪魔だった


「ふう...」


明日の状況を頭の中でシミュレーションする


「だったら、先輩が緊張してない日」


そして、僕にあきれた日

僕が、あきらめたと勘違いする日

四日目


「決まりだ」


一日で一回だけだと先輩に言われた

つまり、残された機会は6回

全部、全力で行くことも考えてみた

それだとダメだった


「持っていることすべてを使って」


手段と方法は選ばなくてもいい

誰も、僕を卑怯だと言えないだろう


「...いや、卑怯だな」


でも、まあ、やるしかない


「思ったように進んだらいいけど」


1年は遠慮したいところだ

まあ、できないときの方法は全部考えておいたけど

にやり、と一人できもいと思われる笑顔になった


そして、二日目


「はっ!」


地面に、煙玉を投げた

すると、先輩は少し慌てた

でも、それも一瞬


「げぶえぇっ」


倒れた


「...」


なんか、意識が消える前見えた先輩はすごく冷たい目だった

これだけ? と言いたいような

がっかりしたかな

でも、いい

それでいいんだ


「お休み、後輩君」


そして、真っ黒

これも慣れてきた


「嘘です、全然なれていません」

「お前、大丈夫なのか」


僕は、二日目の訓練が終わった後、井田さんと話をしていた


「いや、真っ黒になるときこれが終わりだなと思いますよ」


僕は、死にたくない

二度と、あんな体験は遠慮しておきたい


「寝ることだと考えたら?」

「いやですよ」


いや、いやじゃなくて無理だった


「まあ、何とか生きていますよ」

「ふうん」


井田さんは僕の話を聞いているのか、いないのかわからない顔だった


「ていうか、ギルドマスターなのに暇ですね」

「盗賊ギルドは佐藤城が本拠地じゃないからさ」

「へえ...」


まあ、なんか怪しいところだし

納得がいくような


「騎士団と、冒険者、魔法使いはここが本部だけど」


似ている言葉を、聞いたような気がする


「そのほかは大体バラバラになっている、例えば、『ハンター』のギルトはエルフの森に本部があったな」


そうなのか

そう...なんだ...

エルフの森か


「...」

「どうした? 顔色が悪いぞ」

「いえ、少し、知り合いの中に、ハーフエルフがいたので」

「ほう」


関係ない、と言うかのように、井田さんは答えた

そして、話は終わってしまった

その日の夜になって僕は一人、ベットで考えていた


「セイ」


考えることだけでも、罪悪感で胸が痛い

でも、心の整理は1日で何とかした

...まだ、痛いけど、逃げるとだめだ

もう1日は逃げたけどな!


「おかしなところ...変だと思われることはないか...」


理恵が僕に嘘をつく理由はない

理恵は自分も含めて信じるな、といったけど


「...くそ」


情報が絡まって、頭の中を巡る


「...もしも、と言っていると、きりがない」


可能性で言うと、何もかもがあり得る話だ

例えば、明日は猫の雨が降るとか

全然無理な話だし、あるわけもないけど、可能性だけを言うと

起きるかもしれないことになる

だから、あり得そうな話、その考えだけを頭の中で少しずつ整理する

まあ、変な考えをやめる、という意味だけど


「...一番ありえる状況を...」


でも、おかしい


「セイが...死ぬわけない...」


セイはレベル43、高かった

そして後ろで後方支援をしていた

だったら、さすがに健一さんと、シスターを倒したとしても

セイを捕らえることができたかな?


「無理でしょ...さすがに」


...でも、僕は気づいた

セイの性格を


「...お人好し」


僕だったら、そして、僕より何倍もお人好しのセイだったら

健一さんとシスターさんがやられたら...どうする?


「助けに行く」


答えは、すぐ出た

...そう、そしてそれは、自分の中でも、理解してしまったということだ


「あ」


あの人々たちが、死んだ、ということを

...人は、愚かな生き物だ

もうわかったのに、理解したのに

そんなことは嘘だ、と考える


「...あの場所へ戻ると」


他の答えが見つかるかもしれない

そういい、現実から逃げた


「くっ...」


でも、どこだったっけ

僕はとらわれて、あそこまで行った

どこなのか考える間もなく、佐藤城まで来てしまったし


「...じゃ、知っている人は...」


いた

僕が頼んだら、手伝ってくれると思われる人が


「理恵はわかっているかも」


僕は、その途端、思った

...人間は、考える生き物だ

僕は、健一さんとかかわっている

じゃ、どうして...


「これを、僕に伝えていない...?」


盗賊ギルドは、これをどうして僕に伝えていない?

考えるから、疑ってしまう

どうして、僕が勇者の居場所を知っていることを分かったのか

誰も信じるな

そういった


「...そういう人が一番信じてもいい人だな」


僕はベットから立って、走った

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