第9話 むちむち僧侶ちゃんに食べられる俺!?
危険指定の大型モンスター『サイクロプス』をノリと勢いで討伐した翌日の昼下がり。
俺は自室のベッドの上で酷い筋肉痛に悩まされながら、今日の冒険者活動をお休みしていた。
「うぅ~っ!? 身体が痛いよぉ~っ!? お腹減ったよぉ~っ!? 喉乾いたよぉ~っ!?」
指1本すら動かすことが出来ず、ベッドの上で「ひ~んっ!?」と情けない声をあげる。
これだからあの【力】は使いたくなかったんだ。
おかげで身体中のアチコチがバキバキチ●ポのようにガッチガチで痛いの何の!
「うぎぃぃぃ~~~っ!? もう絶対あの【力】は使わないからなぁ~っ!?」
「……ただいまぁ~。ダルくん大丈夫だった?」
「あ、アレスッ! 丁度いいところに!」
ガチャリッ! と昨日の件をギルド本部に報告しに行っていたアレスが、買い物袋を持って帰宅してくる。
ナイスタイミングだ相棒っ!
「頼むアレスぅ~っ! お水飲ませてぇ~っ!? 身体バッキバキで自分じゃ飲めないのぉ~っ!?」
「……そう言うと思ってお水と一緒に回復ポーションも買ってきた」
「流石は相棒っ! 気が利いてるぅ~っ!」
「……あの【力】を使ったあとはダルくん必ず寝込むからね」
長年の付き合いということもあり、俺の身体の秘密を知っているダルが小さく笑みを溢しながら荷物を机の上に置く。
そのまま買い物袋の中身をガサゴソと探り、ギルドで買って来たであろう青色の回復ポーションを取り出すとスタスタと小汚いベッドに横たわる俺へと近づいてくる。
「……じゃあダルくん、口あけて?」
「よっしゃ、きた! お願いしまぁぁぁ~~すっ!」
俺は「んぁっ!」とエサを待つヒナ鳥のように大きく口をあける。
アレスはキュポンッ! と回復ポーションの蓋を開け、飲み口を俺の口元へと近づけ――ることなく、何故か自分でゴキュゴキュッ! と飲み始める。
……えっ、なにそれ?
新手の嫌がらせですか?
「ちょっ、なにやってんのアレスきゅ~ん!?」
「…………っ」
「あ、あれ? アレスさん? なんで顔を近づけ――ぅむっ!?」
アレスは両手で俺の頬をガッチリと固定すると、何ら躊躇うことなく、
――ぶっちゅぅぅぅぅぅ~~~~~~~っっ❤❤❤
と俺の唇に吸いついてきた。
ちょっ!? なにやってんのこの娘!?
「ンンンンン~~~~~~~~ッッ!?!?」
「……っ❤❤❤」
驚き目を見開く俺を尻目に、アレスはうっとりした表情で口に含んでいた回復ポーションを俺の喉へと流し込んでくる。
な、なんで口移し!?
もう頭の中はわけワカメである。
今、俺の身に何が起こっているんだ!?
「ンンンンン~~~~~~~~ッッ!? ンンンンン~~~~~~~~っっ!?!?」
「……っっ❤❤❤ ッッ❤❤❤」
ピコピコピコピコッ!
ブンブンブンブンッ!
頬を真っ赤に染めたアレスの獣耳とシッポが興奮のせいか激しく左右に揺れている。
そんなアレスを横目に俺はコクコクと喉を鳴らしながら、回復ポーションを半ば無理やり胃袋へ落としていく。
ポーションのおかげで筋肉疲労はだいぶ楽になったが、それでもまだ指先は動かない。
そんな俺の状態を見抜いているアレスは「ぷはぁっ!」とゆっくり唇を離しながら、扇情的な瞳で俺を見下ろした。
「……ふふっ、ダルくん可愛い♪」
「ゴホコホッ!? えっ? えっ!? あ、あのその、アレスさん!?」
「……ダメだよダルくん。身体が動かないのに、年頃の獣人を不用意に部屋に入れちゃ? 悪ぅ~い獣人に――」
食べられちゃうよ? と肉食獣めいた笑みを浮かべながらペロッ! と舌で唇を湿らせるアレス。
遊び慣れたヤリチンクソ野郎みたいな台詞を溢す我が相棒に、思わずギョッ!? と目を見開く。
な、なんだこのアレスは!?
長い付き合いだが、こんなアレスは初めて見るぞ!?
困惑する俺を尻目に、ギシッ! とベッドの上にあがる我が相棒。
そのまま俺の身体を跨ぐように、その肉厚の大きなお尻を落としてアバババババババッ!?
「あ、アレスさん!? ちょっ、一体なにを――ぅむぅ!?」
「……っっ❤❤❤」
アレスは『うるさい』と言わんばかりに、もう1度俺の唇をその果実のようなプルプルの唇で塞いだ。
しかも今度は唇を合わせるだけではなく、
――ぬるんっ!
「~~~~~~~~ッッ!?!?」
口の中にアレスの長い舌が無理やりねじ込まれる。
ナニコレ!? 何が起きてるの!? ダル、分かんない!?
もう頭も心もパニックである。
俺が「ッ!? ッッッ!?!?」と混乱している隙をついて、逃げ惑う俺の舌を無理やり舌先で捕まえて、
――ちゅぅぅぅぅ~~~っっ!
と勢いよく吸いつく我が相棒。
瞬間、頭の中でパチパチと真っ白なスパークが何度も弾けた。
な、ナニコレ!?
こんな感覚、俺知らない!? 知らないよ!?
「――プハァっ! ハァハァ……❤❤❤ だ、ダルくんがイケないんだからね? ボクの気持ちを知っていながら、そんなスケベな匂いでボクを誘惑するから……っっ❤❤❤」
「な、何がッ!? スケベッ!? 匂いっ!? ――ハッ!?」
そこまで言われて俺は気づく。
そういえば獣人は五感が敏感で、中でも自分が番と認めた者の匂いにはメチャクチャ強烈な発情効果があるって前にアレスが言っていたっけ?
獣人は交尾前には1日お風呂に入らず自分の臭いを身体に沁みつけて、相手を発情させてから事に臨むって教えて貰ったことがあったけど……ヤバイ、ソレだ!
俺、昨日からお風呂に入っていないから体臭が凄いことになっているし、獣人風に言うのであれば『準備万端!』という事になるワケで――アカンッ!?
アレスの奴、俺の体臭で発情している!?
「ま、待ってアレス!? 落ち着け!? お前は今、獣人の本能にヤラれて頭がおかしくなっているだけで、今俺と事を致したら確実に後悔す――あっ!? あっ!? あぁぁぁぁ~~~っ!?」
「……うるさいっ❤ ダルくんは黙って天井のシミでも数えていなさいっ❤❤❤」
完全に獣の本能に理性を乗っ取られたアレスが、ビリビリと乱暴に俺の服を引き千切っていく。
そしてあっという間に俺を全裸に剥くと、僧侶の服を脱ぐ時間も惜しいと言わんばかりに、アレスの秘所を守っていたレオタードをグイッ! と横にズラした。
そのままムワッ❤ と女の色気を身体中から発散させながら、狙いをバッキバキのそそり立っている俺の股間の砲台へと定め――待った待った待った待った!?
「止まれアレスっ!? 今ならまだ引き返せ――」
「……っ❤ いただきますっ❤❤❤」
――ぬぷぷっ❤❤❤
瞬間、俺の愚息を温かい『ナニカ』が包み込んだ。
冒険者になって4年、コンビを組んで4年、そして出会って4年――俺とアレスは半ば深い谷に転げ落ちるように……今までの関係をやめた。




