第6話 むちむち僧侶ちゃんは肉食系!
――男女差別というモノがある。
男の子も女の子もみんな等しく平等だよ♪ というアレだ。
他の国はどうか知らないがこの【チョベリバ共和国】は『差別はよくない!』という風潮が蔓延している。
おかげ人間も獣人もドワーフもエルフも、みな気持ちよく生活することが出来ている。
が、それでも差別というモノはなくらない。
それだけ差別というモノは根が深いのだ。
だってそうだろう?
仮に健全な男冒険者である俺が全裸で街を徘徊していたら、レディーたちはどんなリアクションを取ると思う?
まず間違いなく憲兵に連絡して俺を逮捕しようとするだろう。
まかり間違っても『ウホッ♪ イイ男❤ どうしてこう青い果実は瑞々しくて愛らしいのかしら』と鼻の下を伸ばしてお尻をタッチしに来たりはしないハズだ。
ならもし、もしもだ?
――朝起きたら全裸のケモミミ爆乳お姉さんが気持ち良さそうにベッドの中で添い寝をしていたら、俺は一体どういうリアクションを取ればいいのだろうか?
「とりあえずオッパイをガン見しておこう」
俺は今までの考察を全て投げ捨てながら、至近距離でケモミミお姉さんのデカパイを……我が相棒アレスのオッパイを凝視する。
時刻は朝の6時少し過ぎ。
場所は俺が間借りしている宿屋の一室にて。
お外で雀がチュンチュンと爽やかな朝の始まりを告げる声を優しく響かせる傍ら、俺はダル脳内データバンクのエロフォルダの中にアレスのオッパイを刻み込む作業に集中していた。
「それにしてもデケェな、このメロンちゃんは? 本当に俺と同じ18歳かよ?」
「……オッパイ好きなの、ダルくん?」
「うんっ! ――ハッ!?」
どこからともなく聞こえた天の声に、子どものように無邪気に頷きながらピシリッ!? と身体を硬直させる。
こ、このお声はまさかっ!?
おそるおそる視線を真っ白なパイオツから上へと逸らすと、そこには優し気な瞳をパッチリと開いた我が相棒アレスがジィィィ~~~と俺を見下ろしていた。
「……おはようダルくん」
「おはようございますっ♪」
人間、追い詰められると何故か挨拶しちゃうよね? ふっしぎぃ~♪
「おい、見ろよアレス。今日もカラッと晴れたいい天気になりそうだぞ? 昨日は近場の薬草を摘んだしことだし、今日は少し遠出してみても――」
「……ダルくん今、オッパイ見てた」
淡々と事実を述べるようにアレスが口を開いていく。
ただソレだけなのに全身の毛穴という毛穴が開き、朝だというのに冷や汗が止まらない。
これはもしかしなくても俺、(社会的に)死んだか?
「……昨日もボクのオッパイ見てた」
「スゥゥゥゥゥ~~~~~~」
「……オッパイ、好きなの?」
「ハァァァァァァァ~~~~」
大きく息を吸い込んで必死に頭を回転させる。
アレスはそんな俺の一挙手一投足を絶対に見逃さない! とばかりに目を皿にしてジィィィ~~~と見つめてくる
その目はどんな嘘も許さないとばかりに気高い光を宿していて……アカン、逃げられない!?
「オッパイが好きかどうかだと?」
「……うん」
コクリと頷きながらも俺からは絶対に視線を逸らさないアレス。
そりゃオッパイを『好き』か『嫌い』かで答えろと言われたらもちろん愛しているが、それをバカ正直に答えるのは何と言うかアレだ……恥ずかしい。
だが正直に答えないとアレスは絶対に見逃してくれないだろうし……仕方がない。
ちょっと卑怯だが遠回しに伝えさせて貰おう。
俺は穏やかな顔を作りながら、謳うように寝起きの唇を動かした。
「愛し――I Love You」
「……ダルくんの正直なところ、ボク好きだよ」
なんか一周まわってヤベェおっぱい星人みたいな発言になってしまったが、何故かアレスは満足気に「むふー♪」と吐息を溢した。
一体なにが我が相棒の琴線に触れたのだろうか?
「……それじゃ大きなオッパイと小さなオッパイ、どっちが好き?」
「言いづらいが大きなオッパイ、略して『おっぱい』の方だな」
「……言いづらいクセにスラスラ出てきたね?」
えぇっ、自分でもビックリするくらいスラスラ言葉が出ていきましたよ。
しかしコレは大丈夫か?
かなり厳しい所に踏み込んだセクハラとかになっていないか? 大丈夫か俺?
アレスに出るとこ出られたら俺、捕まらないかな?
「……そっか、ダルくんは大きなオッパイが好きなんだ」
もしかしたら次にアレスに会うのは法廷かもしれないと俺がビクビク身体を震わせている間に、我が相棒はどこか嬉しそうに頬を朱色に赤らめた。
「……じゃあ触る? ボクのおっぱい」
「……What?」
幻聴か?
今、アレスの口からありえない言葉が飛び出したような?
「……だから触ってみる? 僕のおっぱい」
「……Pardonn?」
「……だから触ってみる? 僕のおっぱい」
「……げ」
「……『げ』っ?」
「げ、げげげ――ッ!?」
幻聴じゃ……ない、だと!?
「い、一時間お幾らでしょうか?」
「……別にオッパブでも美人局でもないよ?」
アレスはその真っ白な爆乳メロンちゃんをたゆん♪ と揺らしながら『どうする?』と視線だけで俺に訴えかけてくる。
えっ、うそ? マジで揉ませて貰える流れなの?
オッパイを?
朝から?
あっ、ヤバい!? 童貞故に嬉しいよりも先に恐怖が先に来やがった!
「な、ナニが目的だキサマ!? 金か!?」
「……別にお金には困ってないよ。ただダルくんが触りたそうな顔をしてたから」
どうする? 触る? とこれみよがしに爆乳メロンちゃんをプルプル震わせる我が相棒アレス。
気がつくと俺の指先が吸い込まれるようにアレスの爆乳へと伸びていき――バカ野郎!?
落ち着け、マイフィンガー!? 早まるなっ!
確かにあの魅惑のメロンちゃんは揉みたい、超揉みたい。
だがっ! 相手は我が相棒であり親友のアレスだ!
いくら性欲モンキーな俺でも、友情をゴミ箱に捨てるほど落ちぶれちゃいない!
「も、揉まない……っ!」
「……そんな涙を流すくらいなら揉んでいいのに?」
「揉まないっ! 俺は一時の性欲でお前との友情にヒビを入れたくない!」
「……今までの関係が壊れるのが怖いの?」
「ハッキリ言えばそうだ!」
ここでアレスのお言葉に甘えてオッパイを揉んでしまえば、おそらく俺達は今まで通りの関係ではいられなくなる。そんな予感がする。
だからここは口惜しいが涙を呑んでパイタッチを拒否させて貰う!
「俺はアレスとは最高の友達で居たいんだ!」
「……最高の友達、ね」
「あ、あれ? アレスさん? な、なんかちょっと怒ってます?」
アレスはどこか不満気な表情でチロッ! と甘く俺を睨んでくる。
う~ん、美人に睨まれると怖いなぁ。
というか何で俺は今相棒に睨まれているんだ?
困惑する俺を尻目に、アレスはズイッ! と顔を近づけてきて――ちょいちょいちょちょい!?
「ち、近いっておい!?」
「……じゃあ今から友達を辞めるね?」
「へっ? えっ!?」
「……辞めた上でハッキリ言うよ?」
な、なんで!? と俺が口を挟むよりも早く、アレスは女の瞳で真っ直ぐ俺を射抜きながら、
「……好きだよ、ダルくん」
と言った。
……はい?
「好き? えっ、好き? 俺のことが?」
「……うん、好き」
「と、友達として?」
「……ううん、違う」
フリフリと首を緩く左右に振りながら、アレスはハッキリとその果実のように潤んだ唇を震わせた。
「……ボクの『好き』はダルくんと交尾したい好き」
「こうっ!?」
「……うん。1匹のメスとしてダルくんが好き。愛してる」
そう言って優しく甘えるように愛の言葉を囁き続ける我が相棒アレス。
なんか朝からスゲェこと言ってんだけど、この人!?
えっ? アレス、俺のことが好きなの!?
1人の女性として?
まず真っ先に頭に浮かんだ感想は『なんで?』である。
いやだってさ? 俺がこの4年間でアレスに与えたモノといえば、酷い下ネタと危険なクエストくらいなモノで、おおよそ好かれる要素など何もなかったハズだ!
それがどうして『ダルくんのことが好き♪』になるのだろうか?
もう完全にわけワカメである。
女心は摩訶不思議アドベンチャーとはよく言ったものである。
一体なにがアレスの琴線に触れたというのだろうか?
「……むぅ~? その顔は信じていないときの顔だ」
「いやだってそりゃ……なぁ?」
「……分かった。じゃあ証明する」
「証明?」
なにを? と俺が口を開こうとした、その瞬間。
――アレスの唇が俺の唇にそっと重なった。




