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70品目 完人は容赦無く

「儚い夢だった……」

人魚は水面に落ちたパルフェクトを一瞥して恋に別れを告げるかの様にに潜ろうとしたその時


「逃さん!」

「きゃああっ!」

突如パルフェクト(完人)に腕を掴まれそのまま下半身にに斬撃を受ける。


「えぇ……なんで…」

不意打ちによって削り取られた鱗は水面を漂い雲からわずかに差し込み始めた陽に照らされ乱反射する。

(剣なんて、持ってなかったはず……それに体型が変わってる?)

空に浮かんでいた華奢な魔法使いが目の前では分厚い胸板に白い刃を片手の戦士に変貌していたことに人魚は大きく心を揺らす。


「助かった。ありがとうパルフェクト。」

完人は水面で足をかきながら浮きながら礼を言う。

(完人さんが死ぬなんて絶対イヤなんで!)

水面に叩きつけられた際


「完人さんだけでも……!」

痛む体に鞭打ち柑橘類のチケットをステッキに差し込む。

「トッピング……魔法!ビタミンヒール!」

パルフェクトは胸元にステッキを当てて回復の光を当てる。


(ありがとう……ここからは味変だ!)

完人は息を吹き返したのだ。


「さてと。」

白い刃から滴る生クリームが周囲の海水を淡く染め上げていく。

「随分と困った。」

(確かに海の上ですもんね……)

「いや、これだけ磯臭いと食後のデザートの余韻が台無しだ。おそらくオレの体はおやつを碌に接種できていない。パルフェクトの優しい甘さに芯から包まれたいと言うのに…………儘ならない物だな。」

(ちょ……え?わたしの甘さ包まれたいって……ええ?)

パルフェクトは突然の言葉に動揺する。


「メンドはラーメンを自在に出せるらしいじゃないか。それと同じ事がパルフェクトにも出来てなんらおかしくないだろう……」

(あぁなんだぁ!!そういう事ですかぁ!?いやビックリしましたよ……ちょっと言葉尻が大胆過ぎないですか?今の録音して毎日聴きたいくらいでしたよ!)

パルフェクトは早口で捲し立てる。


「よく分からんな……」

パルフェクトの言葉の意味が完人は今一つ理解できなかった。


「なに……なんかイチャイチャしてるんだけど……!」

人魚は知らない女の声と戯れる完人を見て首を曲げる。

そして自分自身の動揺を表すかの様に揺らめく水面を叩き水中に気流を作りながら突き進んでいく。


「余計あなたが欲しくなった!魔法使いの君が!」

尾鰭を棍棒のようにして思い切り叩きつける。


「くっ……!」

パルフェクト(完人)は剣で受け止めるがそのまま水平に押し出され水中に沈む。


「不味い……ヤツの独壇場だ!」

人魚の動きを警戒し水面に上がろうとするが

「あらあら?泳ぎが下手なら魔法で追いついてご覧なさいよ?」

人魚は正真正銘水を得た魚だった。

嘲笑うかの様な動きでありながら的確な箇所に突進し彼の体力を削っていく。


「クソ……トッピング!」

コーヒーチケットを差し込みコーヒーの拳銃を出現させる。

酸素が減り思考が維持できない極限状態で完人は人魚の白い肌に鉄砲玉で風穴を開ける事だけに集中する。


「そろそろ苦しくなってきた?頭が回らない状態でのハグって気持ちいいのかしらねぇ?」

人魚は細いながらも引き締まり血管が浮き出た力強い腕を大の字に振り上げ完人に飛び込んでいく。

(水の抵抗を下げねば意味はない……無駄撃ちは許されない……!)

完人はあえて何もせずに相手が来るのじっと待つ。


「もしかしてもう息がもたないのかしら?」

(臆するな……絶対に手を動かすな!)

酸欠から自然と指先が、二の腕に肩が震えるが根気で押さえ込む。


「愛を弄ぶ魔法使い……愛で制してあげる!」

人魚が腕を一気に畳完人の体と密着する直前

(今だ!)

その瞬間水中に黒く苦い銃弾が放たれやがて生臭い濃淡が水中を漂い始めた。


「……ここは!ああっ……!!」

人魚は住処の洞窟で目を覚ましたが直後脇腹から走る衝撃に身を捩らせる。


「そういきなり動くな。傷が塞がっている最中なのだから尚更安静にしていろよ。」

目の前にはパフェを食べながら忠告する完人がいた。

「本当は撃った後海に放置するつもりだったんだ。パルフェクトの甘さに感謝しろ。」

生クリームを頬張りながら完人は言う。


「どういう事……?」

人魚は未だに状況の整理が追いついていなかった。

「意外に察しが悪いんだな。お前が飛びかかってきた瞬間、土手っ腹に穴を開けてやったんだ。」

「腹?」

人魚は大きくくびれ引き締まっている腹回りを見る。

そこには穴ではなかった今までにない傷跡がくっきりと残っていた。


「本当はお前は鬱陶しいからそのまま海の藻屑にでもしてやろうかと思ったが」

「わたしは反対したんです。完人さんに一線を超えて欲しくないから。……厳しい態度はわたしが喜ぶ程度抱いて欲しいから。ビタミンヒールで回復してあげたんです。」

パルフェクトは完人の厳しさと心情を理解した上で治療の進言をした。


「もう一度言っておく。感謝するんだな、パルフェクトの甘さに。そしてオレは魔法使いではない。パルフェクトおかわり」

そう言いながらパフェをもう一杯食べようとした瞬間

「グキキギッ……ココッ………」

「なんだ!」

かすかな気配を感じる完人は立ち上がる。


「オイ人魚……お前は奴を知ってるか?」

完人は目の前のソレを見て人魚に尋ねる。


「いや……あんなガイコツ見た事ない。あとわたしの名前はビャクニって言うの。覚えてよね?」

「分かったビャクニ……だがアイツから何か感じないか?」

完人の言う通りだった。


「確かに……この感じ、闇の魔力を強く感じるわ。」

「ガガガッコッキクケキカカッガガガ……!!!」

目の前にいたサメの様な見た目を彷彿させる骨の化け物は完人を睨んでいた。

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