66品目 F.F.Fの変化
「なんだこれは……たまげたなぁ」
グトンは新聞片手に呟く。
彼は発行部数宇宙一の新聞『銀河系新聞』の一面に目を奪われていた。
「『複数の銀河を束ねる有数の財閥アミゼラ財閥プシン会長その他アミゼラグループの役員46名が突如行方不明』だってぇ……?なになに……?『その後星間警察の関係者への取材で行方不明になった役員は星を破壊し略奪行為を行う犯罪組織から直接金銭を受け取っていた他、違法薬物の所持及び使用、長期に渡る業務データの改竄、マネーロンダリング、現在保護対象になっている少数民族レアル族の違法売春をしていたなど、多数の疑惑が明るみに出た事が明らかになった』………あぁやっぱそういう事かぁ……」
グトンが独り言をいいながら頷いていると
「そういう事ってどういう事だぁ?」
「ワッビックリ!」
グトンは突然知らない宇宙人に声をかけていた。
脳天に緑色の触覚が生えた宇宙人は真っ赤な顔でグトン見て笑っていた。
「んだよ……酔っ払いかよ。びっくりさせやがって……くっせ!」
新聞で宇宙人の吐息をかき消しながらその場を後にした。
(アミノさん……あの例のロリ少女で本気で世界を救おうとしてるんだ。)
グトンは彼の冷静ながらも夢物語に突き進む狂気的な心理状態を思い出した。
(でも分かったぞ。あの方々がアミノさんに才牙の血液を送らせた理由が。とにかく自分たちの敵となるヤクザやらなんやらを潰してもらってんだ……ヒャア〜おっそろしいのう……)
グトンは街を歩いていると
「ねぇ?その肌の色、アンタ地球人だよね?」
「え?あぁ……」
(そっかオレランザン星人のガワはやめたんだった。)
「うん。地球人だけど、おたくはどの星から?」
グトンは通行人に声をかけられ咄嗟に地球人であると偽る。
「オレは南の銀河から来たんだけど、ここから地球って近いよね?」
宇宙人は星の地図を広げて尋ねる。
「まぁ……普通の宇宙船で大体1週間かな?」
グトンは現在いる星から地球へのルートを指で辿り説明する。
「太陽系の中でも海があるからすぐわかると思うよ。あとは今の時期は熱いから暑さ対策はやり過ぎな位で丁度良いよ。アイスコーヒーをグビッと流し込むのが堪らんくてねぇ〜!」
グトンは地球の暑さを思い出しながら語る。
「ありがとう。F.F.Fの聖地巡礼で是非地球にいきたかったんだよ!」
「聖地巡礼?」
「ココとかね…」
宇宙人は宇宙共通規格の携帯端末を見せながら食い気味に語りかける。
「ここの採掘場とか今まで何十回もフードファイターが戦ってる通称『いつもの場所』。今シーズンも勿論戦いが早速行われててさ!是非その場の空気感を体験してみたくて。」
(へぁ……そんなんあるんやねぇ……)
「へ?今シーズン?始まってるの!?」
グトンは相手の肩を掴んで問いかける。
「つい昨日かな?ほら……地球時間で9月28日に始まってるよ。」
端末には新着の切り抜き動画が写っていた。
「ホントだ……正直盛り上がってんの?色々ゴタゴタしてたけどさぁ……」
(そのゴタゴタの諸悪の根源はオレなんだけどさぁ……)
侵略宇宙人の問題、才牙の問題
様々な出来事が約1、2ヶ月の間に一気に流れ込んだF.F.Fが運営で出来ているのかグトンにとっても無理だと思っていた。
「ゴタゴタ?なんか何ヶ月かくらい公式からの供給が途絶えて割りかし冷えてはいたけど……ゴタゴタってなんか知ってんの?」
「いやぁ!何も知らないマジで無知無知。なんか……ゴタゴタしてたんかなーってね?」
グトンは笑顔で返すが身体中に電流のように衝撃が駆け巡り身体中の止まない程の鳥肌が立っていた。
(っぶねぇ……!なんだよなんだよ。才牙さん、ああ見えて所長になったとたん供給来てたんだ。確かに地球みたいなド田舎の星、F.F.F運営しかマジで繋がりないしな〜。警察も巡回しないし。そこを何とかすればやりたい放題………あぁ今更になって怖くなってきた。)
「でももしF.F.F運営が何かあったら今頃地球にマスコミがだーーっと押し寄せてると思うから、まぁ色々とちょっとしたトラブルが長引いてるだけだから気長に待とうって皆はファンダムの総意だよ。騒いでるのは声だけデカい外野だけ。」
「分かった、ありがと。」
グトンはその場から逃げるように疾走する。
(そうだよな、人間や組織じゃなくて宇宙怪獣仕様の対策本部が建てられしまう様な才牙さんが今介護生活なんて出たら、今頃地球は少なくとも数百億のマスコミでごった返してるよな、)
「こりゃ直接確かめねば!」
グトンは宇宙共通規格の携帯端末を取り出しF.F.Fの公式サイトを開く。
「え?」
サイトを開いた瞬間いきなり広告動画のリンクが表示される。
「こんなんなかったけど……」
グトンはクリックすると
「むむっ!今ならF.F.Fの公式ファンクラブに入会すれば、5000ポイントプレゼントォ! さらに抽選で5000ポイントプレゼントォ!!ポイントは限定動画や推しグッズ、フードファイターへの直送ギフトと交換で来ちゃうんです!クゥゥゥ~~~ッッ!!!!!!年会費無料今すぐF.F.Fで検索ゥッッ‼︎」
「うるせぇ!!」
大音量の広告にグトンは即座に端末を閉じる。
「ハァ……ハァ……なんだよコレ。こんなテンションだっけ?」
グトンは耳を抑えながら
また音が鳴らない様今度はミュートした状態で再度サイトを開く。
グトンはサイトの概要を一通りスクロールしていく。
「うーん……そんな変わってないな。じゃああの広告なんなんだよ!む?」
公式サイトの動画ページを開くとそこには新たな再生リストが出来ていた、
「え?『今日の一品』ってなんぞ?『公式切り抜き』『公式からのお知らせ』の2つしかなかったのに……」
グトンが新たな再生リストを開くと既に10本の動画が投稿されており、既にどれも10億回以上再生されていた。
「何これ……てかサムネの女誰?」
サムネイル画像には見知らぬ女性が写っていた。
そしてリストの下を見ると
「えっ……この女って…菓子折舞味じゃん。」
同じ様なレイアウトで舞味が載っている動画かあった。
「ちょっと意味わかんな過ぎて見たくなってきた!」
グトンは1番最初の動画をクリックする。
「どうも〜今シーズンから始まる新コーナー!『日替わりファイター定食』この動画は切り抜き動画から分からない、フードファイター一人一人の美味しいポイントをピックアップしてよりF.F.Fを楽しんでもらおうという新企画です!初めましてF.F.F新所長の飾侍優香です!早速今日紹介するのは…ピザのフードファイター、ピッザァーです!」
優香のナレーションと共にフードファイターの戦闘動画が流れていた。
(へぇーこんなこと初めたんだ。てか……)
グトンは優香を写すカメラワークに違和感を感じる。
「……変身するのはゴースト枠の生地原英二!意外とイケメン?ココだけの話、ゴースト枠なのにお化けが苦手なんだって!」
場面が切り替わり優香がカメラ目線で語りかけるシーンが流れていた。
(なんか……わざと胸見せてる?)
画面上には小声で語りかける優香の顔と彼女のたわわな胸が作り出す谷間が映り込んでいた。
(顔だけで良いよねこのシーン。まさか…)
グトンはコメントを除くと
『優香さんは日替わりですか?出来れば毎日その……おかわりしたいなっ……て』
『ココのシーン何がとは言えんが集中できない同士おりゅ?』
『わかるナニがとは言えんがこのシーンは頭に入らなくて何度も見てしまうナニがとは言えんがな』
『公式から擦っていくスタイル』
『オレらのコーン棒も擦られるんですがそれは』
(うわぁ……)
グトンは失笑してしまう。
(別にF.F.F好きでも嫌いでも無かったけど、こういう事はなんかしてほしく無かったなぁ……)
グトンは舞味の方の動画を見る。
「うわ……今度は足かよ。」
舞味がナビゲートする回では舞味は美脚が大きく露出した白のホットパンツを履いておりローアングル舐める様に撮られていた。
「なんか意外も2人とも表情ノリノリだし……今こんなんなのF.F.F!!もっとさぁ、健全だったじゃん?えぇ?」
グトンは思わず心の声が飛び出てしまっていた。




