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65品目 学園都市ポルトロ

「ここはストックという国にある学園都市ポルトロ。その名の通り、国唯一の魔法学園でありながら都市機能を備えた特殊な区域なんだ。」

業務を終え、裕太、天を伴いながらベェルリは説明をする。


「じゃあ人が普通に暮らしてるんですか?」

「うん。ほとんどの学生が魔法学園の生徒でありながら同時にポルトロの市民であり家族と共にここに住居を構え生活している。中には遠方から来た子もいるからそういう生徒には魔法学園の本区域内の寮が備え付けられてるけどね。」

歩いているうちに空が見渡せないほどの大きな壁がベェルリ達の前に立ちはだかる。


「ここがポルトロの中でも学園区域と都市区域を隔てる壁。名目上仕切りはないんだけど、流石に野晒しにする訳に行かないという事でこういう風にどでかい壁が設けられてるんだよ。」

「オレ達がいた砂漠もこのポルトロってとこなのかよ?」

メンドの質問にベェルリは首を横に振る。


「いやぁ……あそこはポルトロよりもデカい都市を3つくらい飛んだ南東部の砂漠地帯だ。人も生物も殆ど住んでない、危険生物がひしめく、研究や放浪人意外立ち入ることの無い極地だよ。」

「ええ!?そんな所にオレ達いたんですか?メンド、オレ達、よく生きてるね……」

「その通りだぜ。デケェ蛇もいたしな。」

裕太達は地獄の十日間を思い出し震え出す。


「え?そんな遠い所って事はここに着くまでどれくらいかかったんですか?」

「確か……今日を含めて丸々1週間だな。」

ベェルリは指折りで数えながら答える。


「1週間……て事はオレ達半月近く異世界にいるじゃん!」

「マジかよ、帰ったらデリッシュがどんなどやされっか想像出来ねぇ……」

裕太とメンドには目を吊り上げるデリッシュの顔が思い浮かび上がる。


「なんか急に帰るの怖くなってきた。」

「オレもだ。裕太。」

「じゃあオレ様もそう変わらんな。アゲアゲな世界だが、時間の流れはどうやらオレ様達の世界とそう変わらないことがわかってるしな。」

天が腕を組みながら言う。


「え?なんでわかんの?」

「数えたからだ!オレ様の体内時計はアゲアゲにパーフェクトだぞ!天ぷらは作るも食うも時間との勝負だからな、ハッハッハッ!」

天はそう言いながら高笑いする。


「天って言ったっけ?キミは何処にいたの?」

壁伝いに歩くベェルリは天にも話をふる。


「ずっとこの壁の中だ。確かこの壁の真ん前に来たんだったな。その間はアゲアゲな散歩をしていたぞ!」

「え?その間誰とも会わなかったの?見回りの兵士とか野外活動中の生徒とかにも?」

ベェルリは思わず振り向く。


「うむ。1人の時間も悪く無いアゲアゲであったな。何より未知の生き物や植物との出会いの連続だからな!」

笑顔で天は答える。


「未知の生き物……最初のこの壁の前に立ってて、であのトルラトス先生の話からしてあぁ〜南側の森の奥深くにいたんならギリありえるかぁ……?でも流石に半月誰とも会わないのはすごい確率だぞ。運がいいんだな悪いんだか……」

ベェルリは腕を組み頭を捻る。

「アゲアゲな豪運持ちだ!オレ様からすればこのくらい必然よ。」

天は手を広げ天を仰ぐ。


「なんてわーわー言ってるうちに着いたのが……東門だ。ここが都市区域と学園を隔てる唯一の場所、他の方角だと北は隣の都市、南は未開発の森林、西は海があって漁港が建てられてる。待っててね。」

ベェルリは受付の前へ向かう。


数十秒後、ベェルリは裕太達の元へ戻り

「手続きが終わったから、行こう。」

彼らを手招きして門をくぐる。


「わ!騒がし!」

裕太は門を一つ超えた先の街の賑やかさに驚く。


「壁に常にいくつもの魔法を発生させるよう細工が施されててね。その一つが音の届きを調節するものだ。だから街に来るとこのとおりうるさいのなんの!私も久々に来たからちょっと耳が……」

ベェルリ達は人々の容赦ない声に耳が慣れることを祈りながら市街地を進んでいく。


「それじゃあ、キミとはここでお別れでいいね。見た感じ1人でも生きていけそうだし。なんかあったら呼ぶかもしんないけどイイ?」

「構わん!アゲアゲな異世界を愉しむとしよう!達者だな!」

そう言いながらスタップを踏んで人混みの中に消えて行った。


「マジでエンジョイ勢じゃん……」

「あんな過去がある癖にな。」

裕太達は耳元で小声で言い合った。


「私の家はもう少し歩いた住宅地だ。まぁ真っ直ぐ歩くだけだからな。」

そして10分ほど大通りを歩いて


「着いた。」

「ここがベェルリさんの家か。大きいしやっぱゲームの中から飛び出したみたい……」

それは裕太達の思い描くファンタジー世界そのもの。

白い煉瓦と黒い木材の屋根のコントラストが強調された二階建てで玄関がランタンで灯されていた。



「さて久しぶりのただいま〜!」

ベェルリは鍵を開け玄関へと向かう。


「えぇ!?なんでお父さんが!聞いてないんだけど……!」

10代くらいの女子らしき声が部屋の奥から響き渡る。

「娘さんですか?」

「うん。そんな声出さなくても良いだろお父さんだぞ?まぁ色々あって…」

ベェルリの説明は娘が床を慌てて走る足音と注意の声にかき消される。


「んも〜一言言ってよね晩御飯用意してない………って、誰?」

ひとつ纏めにした青い神を揺らしてやってきたベェルリの娘の視線は見知らぬ少年の顔に集中する。


「……えと、色々あってお世話になります。初めまして麺矢裕太です。」

「オレはメンド!今は紙切れだが、ホントは強くてカッコいいフードファイターだぜ!」

「ちょメンド何言ってんの?」

裕太はメンドのチケットを慌てて引っ込める。


「ああーーっ!!あなた達、今日地賊団を倒してた奴!」

娘は指を刺して叫びながら言う。

彼女の脳裏には次々と形態を変え意気揚々に戦闘員を蹴散らすメンドの姿が浮かんでいた。


「えぇ!?バレてんの……?」

裕太は開いた口が塞がらなかった。


「ちょっと父さん!なんで授業の時は召喚魔法とかくだらないウソついたの!絶対に問い詰めてやるんだから!」

「そんな……ベェルリさぁん!全然アレじゃないすか!バレ……バレるの速すぎて心の準備が……」

「お前オレの活躍見てたのか?どんな感想かこってり聞かせてもらおうじゃねぇかぁ?」

突如騒がしくなる状況にベェルリは薄ら笑いを浮かべていた。


「はー大人って大変!」

「ちょっと父さん話聞いてんの?」

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