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64品目 あぶらののったおにく

「レイ、どうしたんですか?急に立ち止まって。」

アミノとレイはとある寒冷地の惑星の歓楽街を歩いていた。

大人達が酔いを酌み交わし、色欲の混ざり合う煮凝りの地は、とても幼女を連れ出すような場所ではなかった。


毛皮のコートに身を包んだレイはお腹を抑え目尻下げながら

「お腹すいた……」

と物憂げに呟く。


「そうですね……確かにそろそろ食事時の時間ですか。」

アミノは時計を見ながら呟く。


「丁度寄ろうとしている食事処があるのですが、歩けますか?」

「がんばる……」

アミノはそう言いながら足を進めるがその足取りはふらついており今にも倒れてしまいそうなほどに危うい状態であった。


「良いですよ。私が連れて行きます。」

レイはアミノを我が子のように抱き抱え粉雪降りしきる中歩き始める。

「アミノ、ごめんなさい……」

「構いませんよこれくらい……」

アミノは口元を綻ばせながら言った直後


「アイツらを消せるのでね……」

低い声で耳元のレイすら聞き取れないほどの声量で呟いた。


「ここです。」

アミノが立ち止まったのは桃色と紫色の思わず目を覆いたくなる程の眩い光が漏れるバーであった。


「目を瞑っていてください。」

(このような穢れた物を見せたくはない……私の我儘ですが。)

アミノはそのまま入り口に入ろうとすると


「ちょっと待ってくださいお兄さん。」

二本角を生やしたいかにも怪力な筋肉を背広で包み込んだ巨漢の宇宙人に足止めされる。


「ウチの会員証は?」

「ありません。」

「ふぅん?ウチは子供は厳禁なんですよ。ご存知でない?」

「そうだとは思いましたが、やはりそうでしたか。」

「…………」

巨漢の宇宙人はアミノの訝しむ。


「すみませんね。ウチは色々と厳しいですから、今回はご遠慮頂きたい。」

彼はアミノを門前払いしようとした瞬間。


「この少女で、その他諸々を払えないでしょうか?」

アミノはレイの顔を巨漢の黒服に思い切り近づける。


「すぅ……すぅ……」

レイは目を瞑っているうちに眠ってしまった。


「は?」

「よぉく見てください、この肌の色、わからないとは言わせませんよ。」

そしてアミノは耳元で呟く。

「あなたのボスの趣味でなくて?」

アミノの一言を聞いた瞬間巨漢の黒服は顔色を変えて店内に走っていく。


そしで汗を拭いながら足早に会員証を差し出す。

「これは……他の客のものとデザインが異なるのですが?」

アミノはここに来るまでの道中に観察していた金色の会員証とは違う黒色の会員証を渡された。


「VIP会員様限定の会員証となっております。私目が案内いたしますのでどうぞこちらへ。」

「なるほど……ありがとうございます。」

まったく感情のこもっていないお礼の言葉と共にアミノは来店する。


「やはり醜いですね。」

露出の高い女を金と酒で焦らせる者

鼻の下を伸ばしながら嬢の尻を触るチャンスを伺っている者

年下のボーイをこき使い嬢の前でイキがる者

酒で感情を制御できず暴れ摘み出される者


「はぁ……」

アミノは店内の空気に辟易しながら奥へ進んでいく。


「こちらへ。」

店の角のカウンター席のさらに裏手の小狭い通路を抜けると全体が黄金で彩られた廊下が姿を現す。


「あなたの反応を見る限り、オーナーが珍しくいると言う事ですよね?」

「えぇ、オーナーにご用が…………あるんですよね?その少女がいるという事は……すみません。」


(最初から知っていますよ確実に仕留めるために念入りに調べたのですから。)

アミノは黄金の廊下を進んでいき最奥の門の前に立つ。


「では会員証を預からせて頂きます。」

黒服の巨漢に会員証を手渡すと黒服は会員証をパネルにかざし門を開錠する。


自動で門が開くとVIPルームと書かれた部屋が姿を現しその部屋の床が観音開きとなり地下へ続くエレベーターがせり上がる。


アミノ達はエレベーターに乗り込み地下通路へ進むとそこを右へ左へ迷宮のごとく右往左往する。

案内する黒服自身も道を迷っていた。

(地面にある不自然な分割……なるほど、普段この通路は1メートル間隔で分解されており来客が来るたびにランダムで迷宮のように複雑な通路として再構築しているのですか。このような手間をかけるくらいならば、表で明るい商売をすれば良い物を……)

アミノは呆れながらも黒服に黙ってついていく。


そして

「こちらです。」

目的地へ到着する頃には黒服は肩で息をしていた。

(まさかただただつまらなかった呼吸法の研究がこんなところで役に立つとは……)

特殊な呼吸で平然としいたアミノは扉を開ける。


「おぉ、待ってたよ。」

手を上げながら男の宇宙人はアミノを歓迎する。

彼は下着姿で油ぎった体を大きく広げソファに腰掛けていた。

でっぷりと肥えた体の至る所をレイと変わらない年齢のレアル族の女性に露出の高い衣服姿でマッサージさせていた。

中には下腹部を直接揉みしだくものまでいた。


「初めましてタール殿。アミノというものです。」

見なかったフリをしてアミノは挨拶をする。


「この様子だとこれからお楽しみというタイミングに水を刺してしまったでしょうか?」

「いやぁとんでもない!新しいペットとの出会いを何より待ち構えていたよ。」

当然のようにレアル族を家畜扱いしタールは語る。


「はい。タール殿の期待に添える最高級品をご用意いたしました。レイ、起きなさい。」

「うぅん……?アミノ、ここはぁ?」

レイは目をこすりながら虚な視線で周囲を見回す。


「食事処ですよ。ほぉら、目の前に油の乗った大きな肉がありますよ。ジューシーな肉が、ありますよ。」

アミノは屈託のない笑顔でタールを指差す。


「?」

タールはレイの交わすアミノの言葉の意味がわからず苦暇を傾げる。


「食べていいの!こんなにおっきいのひとりで?」

「もちろん。ただし、よく噛んで、食べてくださいね。」

「わぁ〜ありがとうアミノ!いただきまーす!」

 天真爛漫な笑みでタールに近寄るレイ。


「そう言えばい忘れていました。」

わざとらしくアミノは言葉を紡ぎだす。


「その個体、食いしん坊で手がかかりますよ。」

部屋中に飛び散る血飛沫を見てガッツポーズをしながらアミノは注意をした。

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