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63品目 アゲアゲなbeginning

「今度はここか!」

地賊団の発生を受け再び兵士達が現場に集まるが


「いない……?」

テンペラーによって地賊団の戦闘員は全て倒されてしまったので兵士達は困惑する。


「ん?アレは先程も……」

「確かベェルリ教論が……」

兵士達は再び現場にいるメンドの姿に少しどよめきだす。


「なんだ?さっきからコソコソと。」

テンペラーはテンペレスト・オブ・ヘヴンからチケットを引き抜き変身解除する。


「言いたいことがあるならハッキリ言え!アゲアゲにな。」

「はぁ?」

「なっ何を言ってるんだ……?」

兵士達は天の言動に困惑する。


「キミ達はベェルリ教論と何か関係があるのか?」

「ベェルリ?知らんな。オレ様は最強のアゲアゲなフードファイターテンペラーこと神衣天!アゲアゲアマツと呼んでいいぞぉ?コイツはただの一般食のフードファイターだ!」

「おいお前!さっきから勝手に話進めてんじゃねぇよ!」

メンドは天に食ってかかる。


「事実だろ。」

「事実って……あのなぁ?オレ達は色々フクザツな状況なんだよ!わかってのかオイ!」

「まぁアゲアゲになれば万々歳だな!」

天は高笑いする。


(メンド……どう思うこの人?)

「訳わかんねぇ……一位のやつがこんな頭のおかしいヤツだったとは思わなかったぜ。でも…」

メンドは彼の放った銃撃の重さを思い出す。


「あんな豆鉄砲でアレだし、雲は吹き飛ばすしよぉ。実力は本物だ。」

メンドは癪ではあったが彼の実力を認めざるを得なかった。

  

「おーい!お前達かぁー!!」

そんな中どこからか怒鳴り声と共に大股で歩いてくる男の姿がある。


「なんだ?」

天は頭に血が上った中年の男の前に立つ。

目の前の男は銀縁の眼鏡に整髪剤できっちりと整えられたオーバックで細身の体型であり、神経質さの塊のような容姿をしていた。


「トルラトス教論、一体どうされまして!」

兵士達が尋ねると刃物のように鋭い眼差しを崩す事なく兵士の方を向き口を開く。


「高等部一年の授業で大気中に存在する雲を利用した天候操作の授業を行っていました、だがしかし!キミ達がいた方角からでたなんらかの高出力の力によって大気中の雲が綺麗さっぱり消えてしまったではないか!事前に授業内容は伝えていたはずなのに何故このようなことが起きる、まさに言語同断!私の授業を邪魔した不届者は何処のどいつだ!」

「オレ様の必殺技の威力に驚いたのか?アゲアゲだっただろ?」

天はトルラトスの肩に腕を回し笑顔で答える。


「触るな!お前がやったのか?そもそも貴様は何者だ?生徒にも教師にも兵士にも、お前のような顔のヤツは見た事が無いぞ!」

トルラトスは天と横にいたメンドにも視線を移す。


「なんだコレは?召喚魔法でも使ったのか?にしても訳のわからん精霊だな、見たことがない。」

「オイ、オレ達なんて説明すればいいんだよ……」

メンドがたじろいでいると


「うん?お前さっきベェルリがどうとか言っていたではないか?」

天が口を挟む。


「ベェルリ?ベェルリだとぉ?またアイツか!」

ベェルリの名を聞いた瞬間トルラトスの顔はさらに赤く染まり怒りのあまり地団駄を踏み始める。

「あの非常識な歴史教師め!若いくせに生意気事ばかりしおって!今度という今度は許さん!兵士達、コイツらとベェルリを至急教師棟に連れて行け!命令だぁっ!!」


そして30分後

「今日は長かったなー。」

「ハァ……なんかすっごい疲れましたよ。」

完全に萎れてしまった裕太と全く動じていないベェルリは一旦自分たちの部屋に戻った。


「そもそもアイツが全部悪りぃんだよ!アイツがよ!」

チケット状態のメンドは天を指し示す。


「美味い!アゲアゲだぁ……」

天は勝手に紅茶を飲んでいた。


「今もホラ!あんな感じで勝手な野郎なんだよ!」

「一応話を整理すると、彼……神衣天もキミ達と同じ世界の住人でフードファイターと呼ばれる戦士として互いに戦いあっていたという事かな?それで彼が1番強いんだと。でなぜか彼もこの世界に飛ばされて大気を吹き飛ばすほどの攻撃をしてトルラトス先生を怒らせて今に至ると。うん、理解した理解した。」

ベェルリは至って冷静であった。


(これは面白い事になったな……色々と研究が捗るぞー…………)

ベェルリの頭の中は研究のことだけであった。

「いやでも……トルラトス先生のあの怒り方だとなぁ……裕太君、私の自宅に移ってもらっていいかな?当分ここでキミの面倒はみれないな。」

ベェルリは目を細め唸る。


「別にオレは構わないですよ。あの砂漠地獄じゃなければなんでも。」

「まだどっかに住んでる方が元の世界に帰る手がかりも掴めそうだしな。」

メンドと裕太は特に不満は無かった。


「そう言ってくてれて助かるよ……そうだなあと、天くーん?」

「なんだ?」

「キミもこの学園にいるよりかは外の街に出た方が身の為だと思うよ。出口は案内するから。」

「あぁそうだな。オレ様もさらに外の世界を見てみたかった所だ。アゲアゲな発見をしたいからな!」

天も特に不満なく了承する。


「アイツ、完全にこの世界をエンジョイしてやがるぞ。」

「なんか…………凄いね。色々と。」

メンドと裕太は天に若干呆れていた。


「それじゃあ今日の授業が終わるまでここで待ってて。それじゃ」

ベェルリは足早に授業に戻っていった。


「天さん?」

裕太は天に声をかける。

「呼び捨てで構わん。なんなら、アゲアゲアマツと呼んでいいぞ。」

「じゃあ……天で。天はなんでこの世界にいるの?」

裕太はいわば当然とも言える質問を投げかける。

 

「なんだか、よく分からん奴に知らない世界への扉を勧められたな。アゲアゲそうだからすぐ扉をくぐった!」

「なにこの説明だよ……なんもわかんない……」

裕太は頭を抱えた。


「てかよぉ、オレずっと思ってたけどいいか?」

メンドか口を開く。

「お前……オレやパルフェクトと同じだろ?」

メンドは真剣な声で言う。


「同じって?」

「舞味が言ってた裕太や完人みたいな因子によって生まれたフードファイターだよ。なんだかお前からはパルフェクトとかと同類の気配がするんだよ。」

「でも?天は人の見た目じゃん?一応神衣天とテンペラーって名前も分かれてるし。」

裕太の言う通り天はメンドやパルフェクトは普段はチケットの姿ではない人間の姿であった。


「いや、オレの感覚に狂いはねぇ。多分、コイツオレと同じ感じのやつだ。お前、元々人間と組んでなかったか?」

メンドが尋ねると今まで紅茶の香りを嗜んでいた天はカップを机に置く。


「つるんだ事など無いな。オレ様の目の前で帰らぬ状態となっていた。」

「え……」

裕太は目を見開く。

そして天は語り始めた。


「初めてこの声と体を手に入れたのは……半年ほど前だったか?」


──

「オレは天ぷらのフードファイター・テンペラーでありながらアゲアゲの権化!アゲアゲ伝道師!アゲアゲアマツとはオレ様の事。そうオレ様の名は神衣天。アゲアゲ!」

天は初めて姿を現した瞬間そう名乗った。


「なるほど……キミのその天という名前はどこから浮かんだんだ?」

彼の自己紹介のを聞いていた恰幅のいい髭の老紳士が尋ねる。


「浮かんだもなにも……オレ様は神衣天だ。最初からだ!」

「なるほど。分かった。つまり彼の持っていた因子の力はわたしの思っていた以上に膨大だったようだ。」

納得するように何度も何度も頷いた老紳士は視線を地面に移す。


「なんの話だ?」

「目の前を見てみなさい。」

老紳士は杖で何かを示す。


天は杖の先に視線を移すとそこには1人の人間が倒れていた。

彼の顔はひどく顔面蒼白でとても具合が良くは見えなかった。

「彼はもうこの世を去ってしまった。海老天のチケットを差して、ひどく苦しみ喘いだ直後このアイテムを生み出した瞬間にね。」

そう言いながら老紳士は一つのアイテムを差し出す。

「それは……天衣刃銃テンペレスト・オブ・ヘヴン!?なぜアンタが持っている?」

天はそれを老紳士から受け取る。


「その名前も最初から頭にあったのかい?」

「そうだが……生み出したとはどう言う事だ?」

「キミの人格や記憶はフードファイターの力を増幅させる因子が反応した際に出る副産物だ。にしても本末転倒だな。自分が強くある為の因子で自分の命を失うとは。」

老紳士はしゃがみ込み彼の死体の横に落ちている海老天のフィディッシュチケットを拾い上げる。


「だが、相応にキミの力はとてつもないパワーを秘めていることは筆舌に屈しがたい事実だ。F.F.Fの登録は済ませてあげた。戦いなさい。神衣天……テンペラーよ。」

老紳士は口角を上げる。

天の目から見てもどこか得体の知れない深みを持った笑顔であった。


「よく分からんが、戦うというのは嫌いではない。にしても訳知りのようだな。名はなんという?」


「わたしの名か?菓子折弘だ。行かなければならない。また会う日まで。」

好々爺的な態度を崩すことなく菓子折弘は去って行った。

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