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ファーストウィンド・ビターロード(ライク・ア・ハリケーンⅢ)  作者: ままま


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9/11

風の兆し

12月も中旬になろうとする頃、やっと免許証を手に入れた。

教習所に通い始めたころには、まだ夏の気配が残っていたのに、いつの間にか、クリスマスの気配が感じられる季節になってしまった。

外を歩くと、夏よりもずっと弱い陽光が、街路を照らし、冷えて乾いた空気に、頬が引き締まる。



喫茶店の扉を開けると、マスターはカウンターの奥でコーヒー豆を計っていた。

こちらに気づいて、かるく頷く。


「免許、取れました」

そう言うと、マスターは計量スプーンをそっと置いて、微笑んだ。

「そうか。おめでとう。また一歩前進だね。

免許を取ると、世界が広がる。今までよりも行動範囲が広くなるし、経験できることも増えるだろう。楽しみだね」


カウンターの端の席に座って、マスターの淹れてくれたコーヒーを飲む。

窓から差し込む冬の日差しを受けたコーヒーが、濃い琥珀色に揺れている。


「それで、最初はどこへ行くつもりなんだい」

そう聞かれて、少し迷った。


「海が見たいです。せっかくだから、キッチンカーで行ってみようかと」


「いいね。旅の始まりにふさわしいかもね。

それに距離もちょうどいいし、初めてのドライブにはいいと思うよ」


店を出ると夕方の風は、もう冬そのものだった。

頬を刺す冷たい風の中で、キッチンカーの鍵を握り直す。


旅はまだ始まっていない。

けれど、確かに一歩進んだ。その思いを嚙み締めた。



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