表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファーストウィンド・ビターロード(ライク・ア・ハリケーンⅢ)  作者: ままま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/11

風の始まり1

7月のあの日から、毎日のように車屋へ通った。

3年生の夏休みを過ぎると高校の授業もあまりない。進学する気もなかったから、時間はあった。

喫茶店のアルバイトがある日は、それが終ってから車屋へ顔を出した。


最初は、本当に自分で直すつもりでいた。ウェブサイトでマニュアルを見たり、動画で勉強すれば何とかなるだろうと思っていたのだ。

当然すぐに行き詰った。

車屋の親父さんは、最初は黙って見ていたが、そのうち、少しずつ口を出すようになった。

親父さんにしてみれば、素人の修理がすぐに行き詰ることは、当然分かっていたのだろう。

そもそも、買うときに「週末は、手伝いに来い」と言ったのは、「仕方ないから教えてやるよ」という意味だったのじゃないかと思う。

親父さんは、認めないだろうが、最初から手伝うつもりだったに違いない。


作業を始めてみて分かったのだが、キッチンカーの状態は、最初の印象よりも、はるかに良かった。

エンジンは、バッテリーとオイル、それと点火プラグを交換して、ついでにエアクリーナーのエレメントを掃除しただけで、すんなりと始動した。

駆動系や足回りも、親父さんに教わって、オイルや消耗品の交換、基本的な整備をすれば問題なさそうだった。

それに、オイルまみれになりながら車を修理するのは、思った以上に楽しかった。機械は適切な作業をしてやれば、ちゃんと答えてくれる。


夏休みが終わるころには、店の敷地の中を動かせるようになっていた。


ブレーキのオーバーホールは、結局、親父さんがやった。固着したブレーキキャリパーを分解して、シール類も全て取り換えた。おかげで、ブレーキだけは新品のようになった。

「エンジンが壊れても車は走らないだけだが、ブレーキが壊れたら大事故になる。自分だけでなく他人を危険にさらす可能性もある」そう言われた。

だから責任を持てないことはしてはいけない、ということだ。

車という、1トン近くある鉄の塊を動かすことの意味が、少し分かった気がした。


逆に、キッチンボックス側の作業は、手を出す気は無さそうだった。

「キッチンボックスの底が抜けても、事故にはならないからな。せいぜいお前の足が折れるくらいだろ」そう言われて、苦笑した。


そう言いながらも、基本的な溶接のやり方は教えてくれたし、必要な鉄板は廃車から外して使っていいとも言われた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ