そりゃそうだよね!
高峯「大丈夫ー?」
千条「ここは…?」
白いカーテンに囲まれて、白にうねうねした黒い模様のついた天井。
千条貫人は、ショックで倒れてしまったらしい……
千条「すみません、もう大丈夫です。」
高峯「いいや?大丈夫じゃない。」
千条「え?」
高峯「未練しかないだろう。陸上を続ける予定だった君をサッカー部に引き込んだんだ。」
千条「そりゃそうですよ、でも…」
高峯「でも?」
千条「陸上部のスカウトだと思い込んでた俺も悪いなーって!」
高峯「確かに!サッカー部って言わなかった私も悪いってことで…チャラ!仲直りのハイタッ」
千条「んなわけあるかー!」
高峯「すみません…」
入学式終わり早々、保健室で大声をだす生徒。
サッカー部の監督にタメ口で、大声。
おまけに平手で暴行を加えた。顔面に。
千条「これ退学ですか?退学ですよね。お世話になりました。」
高峯「いいや?退学じゃない。入部おめでとうだ。」
千条の手には、いつの間にか紙が握らされていた。
千条「合格…?」
高峯「そうだ、私が1番気にしていた所をいま試験したんだ、君の弱点を!」
千条「何だって言うんだ、こんなコケにするような事を、弱点だって?何だよ!」
高峯「聖人すぎる…!」
千条「えー…」
高峯「君は友達に叩かれた時、やり返す訳でもなくただ止めろとだけ言った。ものすごい笑顔でな!にーって!ニーッて!」
高峯はからかうように両手の人差し指で自分の口を広げてみせた。
高峯「それだけが気になった…!ほか全ては完璧とは言えないまでも磨きあげれば最高のフットボーラーになる!」
千条「そこは完璧って言っといてくださいよ」
高峯「1次試験はギリギリ合格だったんだよ、止めろお前とは言える強さは持っていたからね。」
千条「試験ってまさか…あいつをけしかけたのか?」
高峯「ああ、快諾してくれた。いいっすよーって」
千条「なんじゃあいつ」
高峯「お願いだ、サッカー部に入ってくれ!
千条貫人!君が必要だ!」
千条「えー…」
嫌々感を出しながらも、千条は先程の不可解な現象に心を躍らせていた。
平手打ちをした直後、手はじんじんとした痛みを孕んでいた。本気で殴ったから。
それなのに、彼の顔はどうだ。
全く赤くなっていないではないか。
そしていつの間にか握らされていたふざけた紙。
これらを合わせてみると、自ずと答えは出る。
不意打ちの平手打ちを紙で防いで、握らせたのだ。
高峯「頼む、千条貫人!陸上を諦めて、こっちに」
千条「いいっすよー」
高峯「いいや!私は諦めない!何度嫌と言われても!なんなら服を脱いだっていい!逆立ちして町内を歩こうか?ああやってやるとも!」
千条「えー…」
高峯「これだけ頼んでも駄目か!ならば私が陸上部に入ろう!」
千条「いや意味わかんなくなってる。普通は最初の
いいっすよーからの、
いいや!私は諦めな…え、いいの?
の流れでしょう」
高峯「え、いいの?」
千条「はい」
千条貫人はこうしてサッカー部に入ることになった。
高峯と千条はグラウンドへ向かう。
高峯「君が倒れている間にもう部員紹介は済んでしまったが、改めて新入生を紹介しよう!」
もう練習が始まっていたが、高峯は手を2回叩いて全員を集合させた。
高峯「えー、元陸上チャンピオン!千条貫人くん!」
千条「千条です、全日本陸上中学生部門で日本一取りました!陸上ですけど!」
高峯「えー、続きまして、元バレー部チャンピオン!二頭紳助くん!」
二頭「二頭です、中学生バレー優勝、得点王取りました!バレー部ですけど」
千条「……もう読めた」
高峯「えー、元野球部チャンピオン!遠野球児!」
遠野「遠野です、中学生野球で日本一取りました!外野手です!」
高峯「元ラグビー部チャンピオン!大島剛!」
大島「いい加減にしねえか!」
高峯「きゃっ」
千条「そりゃ怒るよね…」
大島「なんで俺がこんな後に紹介なんだ!ラグビー部!ドロップキック最多得点!大島ァ!」
大島以外「そこ!?」
高峯「怖い…続きまして!あれ?」
高峯は辺りを見回して、生徒の数を数え始めた。
どうやら新入部員の数が合わないようだ。
高峯「みんな!新入部員があと3人居たはずなんだけど…」
部長「監督、あそこに倒れてる人のこと言ってます?」
高峯「あーーーーー!!!!!!」
3人、地面にうつ伏せになって倒れていた。
高峯以外は気付いていたのだが…
勤勉な部員達は監督の指示は絶対という教えのもとで部活動に励んでいるので、倒れている生徒たちをそのままにして集合した。
高峯「初日で保健室4人とは…先が思いやられる…」
高峯「紹介しよう!茶道部!吹奏楽部!芸術部!」
高峯「鷹島綾太!志木望!江本隻!」
倒れていたのは今まで通り行くと中学まで1位になるほど文化部を極めた天才たちなのだろう。
それをいきなり炎天下の中に置いて45分走らせる鬼畜の所業。
そりゃそうなるよね!




