卵が王政してる惑星?!えマジカヨ。(そこはエッグ)
宇宙船アルティメットよろず号は、今日も多次元宇宙を漂っていた。
タルトの声が船内に響く。
「前方に惑星を発見しました」
白井キャプテンは操縦席から立ち上がった。
「よし!上陸だ!」
「まだ何も調べてないにゃ」
「調べる前に行くんだよ!」
「考えなしにもほどがあるだろ」
ペリカリノが呆れる。
タルトが分析結果を表示した。
「この惑星はエッグリア星です」
「卵料理が有名なのか?」
「違います」
「卵工場があるのか?」
「違います」
「卵型の建物があるのか?」
「違います」
「じゃあ何なんだよ!」
「卵が王政しています」
船内が静まり返った。
「……は?」
ペリカリノだけでなく全員が固まった。
タルトは平然と続ける。
「王は卵です」
「卵?」
「はい」
「生卵?」
「はい」
「黄身と白身の?」
「はい」
「意味分かんねえ!!」
ペリカリノが机を叩いた。
白井キャプテンは目を輝かせた。
「最高じゃないか!」
「どこがだよ!!」
そして上陸。
宇宙港には巨大な垂れ幕があった。
『偉大なる卵王陛下万歳』
『卵王国へようこそ』
『卵を敬え』
ジェントルが感動した。
「すげぇ!ガンダで敬礼してくるぜ!」
「敬礼を走ってやるな!」
すると兵士が近付いてきた。
だが兵士も卵だった。
手足が生えている。
「ようこそ人類の皆様」
「しゃべったぁ!?」
ペリカリノが後ずさる。
「本日は卵王陛下の演説があります」
「聞きたい!」
白井キャプテンは即答した。
広場へ行くと数万人の卵国民が集まっていた。
ゆで卵。
目玉焼き。
温泉卵。
ピータン。
ありとあらゆる卵たち。
そして玉座の上にいた。
黄金の台座。
赤いマント。
王冠。
堂々たる姿。
生卵。
「我が名は卵王である」
重厚な声が響く。
「最近若者の卵離れが深刻である」
国民がざわつく。
「もっと卵らしく生きなさい」
「卵らしくって何だよ」
ペリカリノが真顔になる。
すると突然、
ドゴォォォン!!
城の方角で爆発。
兵士たちが慌てる。
「大変です陛下!」
「何事だ」
「反乱軍です!」
「反乱軍!?」
白井キャプテンが立ち上がる。
兵士が震えながら言った。
「ゆで卵派です!」
広場が騒然。
「生卵派とゆで卵派が戦争してるのかよ!!」
ペリカリノのツッコミが追いつかない。
その頃。
反乱軍のリーダーが現れた。
筋肉ムキムキのゆで卵。
「時代はゆで卵だ!!」
国民たち。
「うおおおお!!」
「半熟はどうした!」
「黙れ!」
「目玉焼き派はいないのかよ!」
「中立だ!」
「中立なんだ!?」
ペリカリノが驚く。
すると卵王が言った。
「戦争は避けたい」
「陛下……」
「ならば勝負だ」
「勝負?」
「代表者同士で戦う」
ゆで卵将軍がうなずく。
「よかろう」
その瞬間。
卵王が白井キャプテンを指差した。
「お前だ」
「俺?」
「なぜ!?」
「顔が強そうだから」
「理由が雑!!」
ペリカリノが叫ぶ。
白井キャプテンはなぜか乗り気だった。
「よし来い!」
こうして、
卵王国の未来を賭けた、
(炎)生卵派VSゆで卵派の決戦が始まろうとしていた。(炎)
(ペリカリノ「終わらねえよ!」)
ゆで卵将軍と白井キャプテンが向かい合う。
広場は超満員だった。
卵たちは旗を振る。
「生卵派ー!!」
「ゆで卵派ー!!」
「半熟派ー!!」
「目玉焼き派ー!!」
「スクランブルエッグ派ー!!」
「派閥多すぎるだろ!!」
ペリカリノがもう疲れていた。
審判の温泉卵が前に出る。
「それでは決闘を始めます」
「武器は?」
白井キャプテンが聞く。
「ありません」
「格闘か」
「いえ」
「魔法か」
「いえ」
「じゃあ何だ」
温泉卵は真顔で言った。
「卵知識対決です」
「は?」
白井キャプテンが固まる。
ペリカリノが吹き出した。
「終わったなキャプテン」
「勝ったな」
「珍しく同意見だ」
しかし、
白井キャプテンはニヤリと笑った。
「面白い」
ペリカリノは嫌な予感がした。
審判が叫ぶ。
「第一問!」
巨大モニターが現れる。
「地球においてニワトリが先か卵が先かという議論がありますが、現在有力な説はどちらでしょう!」
ゆで卵将軍が即答。
「卵!」
会場が沸く。
「正解!」
「やっぱりな!」
ところが白井キャプテンも答える。
「卵!」
「正解!」
「お前知ってたのかよ!?」
「宇宙旅行してると暇だからな」
「そんな理由で知識増やすな!」
第二問。
「世界最大級の卵を産む鳥は!」
「ダチョウ!」
「正解!」
両者同時。
第三問。
「卵の殻の主成分は!」
「炭酸カルシウム!」
「正解!」
第四問。
「卵黄の色は餌で変化する!」
「正解!」
第五問。
「世界最古級の卵化石は!」
「約一億年以上前の恐竜時代!」
「正解!」
会場騒然。
ゆで卵将軍が汗を流す。
「なぜだ…」
白井キャプテンが胸を張る。
「宇宙船の本棚を全部読んだからな!」
「お前そんなことしてたの!?」
ペリカリノが初めて感心した。
ネコさんも驚く。
「意外だったにゃ」
タルトが補足する。
「白井キャプテンは月に三百冊ほど読書しています」
「多いな!?」
「しかも九割が宇宙関係です」
「偏りがすごい!!」
だが勝負はさらに続く。
審判が紙を見て青ざめた。
「最終問題です」
会場が静まる。
「この問題に正解した方が勝者となります」
ゆで卵将軍が拳を握る。
白井キャプテンも真剣な顔になる。
「問題」
ゴクリ。
全員が息を呑んだ。
「卵王国初代国王の名前は?」
沈黙。
白井キャプテン。
「……」
ゆで卵将軍。
「……」
観客。
「……」
ネコさん。
「……」
タルト。
「……」
ペリカリノ。
「誰も知らねえだろ!!」
すると、
玉座に座る卵王が立ち上がった。
そして震える声で言った。
「実は余も知らん」
会場。
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」
国王が知らなかった。
国家の根幹が崩壊した。
すると後方から一人の老いた卵が歩いてくる。
杖をつきながら。
国民たちがざわめく。
「あれは……」
「まさか」
「伝説の歴史学者」
老卵学者だった。
彼は静かに言う。
「知っておる」
全員が振り向く。
「初代国王の名を」
白井キャプテンが叫ぶ。
「教えてくれ!」
老卵学者は目を閉じた。
そしてゆっくり口を開く。
「だがその名を知れば……」
「知れば?」
「この星の歴史そのものが覆る」
会場が凍り付いた。
ペリカリノだけが呟く。
「いや何で卵の歴史でそんなことになるんだよ……」
老卵学者は続ける。
「なぜなら初代国王は――」
その瞬間、
空が真っ二つに裂けた。
ドゴォォォォォォン!!!
巨大な雷鳴。
そして裂け目から、
信じられないものが降ってきた。
巨大なフライパンだった。
ペリカリノ。
「嫌な予感しかしねぇ!!」
巨大フライパンは空を覆いながら降下した。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
国民たちが悲鳴を上げる。
「フライパンだー!!」
「伝説のフライパンだー!!」
「終わりだー!!」
「焼かれるー!!」
「何なんだよその反応!?」
ペリカリノが叫ぶ。
ドォォォン!!
巨大フライパンは王宮前に着地した。
そして中央がパカッと開く。
中から現れたのは――
目玉焼きだった。
「我が名はサニー・サイド・キング」
国民たちが震える。
「目玉焼き派の王!」
「伝説は本当だった!」
「第三勢力だ!」
ペリカリノ。
「だから派閥多すぎるんだよ!!」
目玉焼き王は堂々と言った。
「生卵派」
卵王を見る。
「ゆで卵派」
ゆで卵将軍を見る。
「お前たちは大切なことを忘れている」
全員が静まる。
「卵は焼いてもうまい」
会場。
「おおおおおおおおお!!」
「納得するな!!」
ペリカリノがツッコむ。
その時。
老卵学者が震えながら言った。
「そうだ……」
「ん?」
「初代国王の名は……」
全員注目。
「サニー・サイド・キングだったのだ」
沈黙。
数秒後。
会場。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
卵王も驚いている。
「余の先祖じゃないのか!?」
「違います」
「え?」
「初代王は目玉焼きです」
「え?」
「二代目も目玉焼きです」
「え?」
「三代目も目玉焼きです」
「え?」
「生卵王朝は途中で勝手に成立しました」
「何でだよ!!」
ペリカリノが地面を叩いた。
老卵学者。
「記録が燃えました」
「雑!!」
その瞬間。
国民たちがざわつき始めた。
「じゃあ王様は目玉焼き?」
「いや生卵だろ?」
「ゆで卵は?」
「半熟は?」
「温泉卵は?」
議論が始まる。
王国崩壊寸前。
すると、
白井キャプテンが前に出た。
「静かにしろ!」
全員が振り向く。
白井キャプテンは腕を組む。
「お前らさ」
「……」
「なんでそんなに分けたがるんだ?」
「え?」
「元は全部卵じゃねえか」
シーン。
「生卵も」
「……」
「ゆで卵も」
「……」
「目玉焼きも」
「……」
「温泉卵も」
「……」
「全部仲間だろ」
卵たちが固まる。
ペリカリノ。
「珍しくいいこと言ってる……」
ネコさん。
「感動したにゃ……」
ジェントル。
「泣けるぜ!」
ネクタイ。
「パンも元は小麦だしな」
「お前は黙ってろ」
すると一人の卵が言った。
「確かに……」
別の卵。
「俺たち争う必要ないんじゃ……」
さらに別の卵。
「仲良く食べられればいいじゃないか」
「食べられる側だろお前ら!!」
ペリカリノが叫ぶ。
しかし流れは止まらない。
生卵派。
ゆで卵派。
目玉焼き派。
温泉卵派。
スクランブルエッグ派。
全員が握手し始めた。
「和解だ!」
「和平だ!」
「卵大統合だ!」
「卵は一つ!」
「卵は一つ!」
「卵は一つ!」
大歓声。
そして卵王が玉座から降りる。
「白井キャプテン」
「なんだ?」
「お前を名誉卵に任命する」
「やったぜ!」
ペリカリノ。
「全然やってねえだろ!!」
さらにジェントルも。
「俺も?」
「名誉卵だ」
「ガンダ!」
ネクタイ。
「俺も?」
「名誉卵だ」
「パン食う」
ネコさん。
「私もにゃ?」
「名誉卵だ」
「嬉しいにゃ」
タルト。
「私はAIです」
「名誉卵だ」
「了解しました。名誉卵モードに移行します」
「そんなモードあんの!?」
ペリカリノだけ残った。
卵王が言う。
「君も名誉卵だ」
「いらねえよ!」
「受け取れ」
「いらねえって!」
「受け取れ」
「だから!」
「受け取れ」
「うわあああああああ!!」
強引に王冠を被せられた。
会場。
「名誉卵ペリカリノ万歳!」
「万歳!」
「万歳!」
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
その姿は全宇宙へ中継された。
後にペリカリノは、
「雷の魔法使い」
ではなく、
「名誉卵」
として銀河中に知られることになる。
ペリカリノ。
「結果が見合ってねえェェェェェェェェェェェェ!!!」
宇宙に悲痛な叫びが響いた。⚡️
おわり。




