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白井キャプテンの物語  作者: AI(御茶之川)
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37/43

胡瓜卵星編2 大富豪ネコさん!


「この星で一番金持ちになってやる!」


白井キャプテンがそう宣言してから、三十分。


白井キャプテン「……どうやって稼ぐんだ?」


ペリカリノ「知らねえよ!」


ジェントル「とりあえず走るか?」


ペリカリノ「何でだよ!」


白井キャプテン「この星では共感がお金になるんだったな」


タルト「はい」


白井キャプテン「じゃあ、誰かに共感してもらえばいい」


ペリカリノ「それができれば苦労しねえんだよ」


ネコさん「共感って、そんなに難しいことじゃないにゃ」


白井キャプテン「そうなのか?」


ネコさん「相手のお話をちゃんと聞けばいいにゃ」


白井キャプテン「なるほど」


白井キャプテンは少し考えた。


そして――


白井キャプテン「ネコさん、やってみてくれ!」


ネコさん「わかったにゃ」


⸻


最初にネコさんが向かったのは、街の小さな公園だった。


ベンチには、一匹の胡瓜星人が座っていた。


胡瓜星人「……はあ」


ネコさん「どうしたにゃ?」


胡瓜星人「最近、畑のキュウリがうまく育たないんです」


ネコさん「それは心配にゃ」


胡瓜星人「昔はもっと簡単に育てられたんですけどね」


ネコさん「前はよく育っていたのに、今は育たなくなったんだにゃ」


胡瓜星人「そうなんです」


胡瓜星人は少し驚いた。


胡瓜星人「……ちゃんと話を聞いてくれるんですね」


ネコさん「もちろんにゃ」


胡瓜星人「実は、今年は息子にも畑を任せたくて……」


ネコさん「それなら、なおさら上手く育ってほしいにゃ」


胡瓜星人「……はい」


チャリン。


一枚。


さらにチャリン。


二枚。


ネコさんは気にせず話を聞き続けた。


畑のこと。


息子のこと。


昔の収穫のこと。


失敗したこと。


嬉しかったこと。


ネコさん「それは大変だったにゃ」


胡瓜星人「ありがとうございます」


チャリン。


チャリン。


チャリン。


公園を少し離れたところから見ていた白井キャプテンたち。


ジェントル「増えてる!」


ペリカリノ「本当に増えてるな……」


タルト「現在、共感通貨十七枚です」


白井キャプテン「すげえ!」


ネクタイ「パン一個買える?」


タルト「購入可能です」


ネクタイ「……」


ネクタイが起き上がった。


ジェントル「おお!」


ネクタイ「パン買いに行く」


ペリカリノ「金稼ぎに来たんじゃねえのかよ!」


⸻


ネコさんは次の場所へ向かった。


今度は、茹で卵星人の店だった。


茹で卵星人「いらっしゃいませ」


ネコさん「こんにちはにゃ」


茹で卵星人「今日はどうされました?」


ネコさん「お話を聞きに来たにゃ」


茹で卵星人「……?」


ネコさん「何か困っていることはないかにゃ?」


茹で卵星人は少し考えた。


茹で卵星人「実は……」


そこから長い話が始まった。


店を始めた理由。


茹で卵を作るのが好きだったこと。


昔はお客さんが少なかったこと。


それでも店を続けたこと。


初めて常連客ができた日のこと。


ネコさんは一つ一つ聞いた。


途中で口を挟むこともない。


急かすこともない。


ただ、ゆっくり聞いていた。


茹で卵星人「……すみません。こんなに話してしまって」


ネコさん「いいにゃ」


茹で卵星人「楽しかったです」


チャリン。


チャリン。


チャリン。


チャリン。


チャリン。


ネコさんの前に、硬貨が落ちていく。


店の外では、いつの間にか人だかりができていた。


胡瓜星人「私も話を聞いてほしい」


茹で卵星人「私も」


別の胡瓜星人「実は昨日……」


別の茹で卵星人「私には悩みが……」


ネコさん「順番に聞くにゃ」


チャリン。


チャリン。


チャリン。


チャリン。


チャリン。


⸻


一時間後。


タルト「共感通貨、五千三百二十枚」


白井キャプテン「五千!?」


ペリカリノ「増え方がおかしいだろ」


ジェントル「すげえぞネコさん!」


ネコさん「みんなのお話を聞いてるだけにゃ」


白井キャプテン「もっと行ける!」


⸻


三時間後。


タルト「二万四千八百枚」


白井キャプテン「二万!」


ペリカリノ「もう十分じゃないか?」


白井キャプテン「まだだ!」


ネコさん「まだ聞けるにゃ」


そしてネコさんは、また街へ向かった。


今度は市場。


市場では、たくさんの住民が商売をしていた。


野菜を売る胡瓜星人。


茹で卵を売る茹で卵星人。


家具を売る胡瓜星人。


宇宙船の部品を売る茹で卵星人。


ネコさんは、店を回った。


ネコさん「今日はどうにゃ?」


胡瓜星人「今日はあまり売れなくて……」


ネコさん「それは残念にゃ」


チャリン。


茹で卵星人「最近、店を大きくしたくて……」


ネコさん「大きくしたいんだにゃ」


チャリン。


胡瓜星人「子供が初めて手伝ってくれたんです」


ネコさん「それは嬉しいにゃ」


チャリン。


茹で卵星人「昨日、妻が褒めてくれて……」


ネコさん「よかったにゃ」


チャリン。


住民たちは次々にネコさんへ話しかけた。


ネコさんは、その一つ一つを聞いた。


そして――


街中に、共感通貨の音が響き始めた。


チャリン。


チャリン。


チャリンチャリン。


チャリンチャリンチャリン。


まるで雨のようだった。


白井キャプテン「…………」


ジェントル「…………」


ペリカリノ「…………」


タルト「共感通貨、十万枚を突破しました」


白井キャプテン「十万!」


タルト「二十万」


白井キャプテン「増えた!?」


タルト「三十万」


ペリカリノ「どうなってんだよ」


タルト「五十万」


ジェントル「ネコさんすげえ!」


タルト「百万」


全員「百万!?」


ネクタイ「パンは?」


ペリカリノ「お前はずっとそれだな!」


⸻


夕方。


街の中央に、巨大な共感通貨の山ができていた。


その前に座るネコさん。


住民たちはまだまだ話したそうにしている。


ネコさん「今日はたくさんお話を聞いたにゃ」


胡瓜星人「こちらこそ」


茹で卵星人「また話を聞いてください」


ネコさん「いつでもいいにゃ」


チャリン。


最後の一枚が落ちた。


タルト「集計終了」


白井キャプテン「いくらだ!?」


タルト「本日のネコさんの収入は――」


一瞬の間。


タルト「現在のネコさんの資産は、3億2千万円相当です」


沈黙。


ジェントル「…………」


ペリカリノ「…………」


白井キャプテン「…………」


 ネコさんは、ついにこの惑星の資産ランキング第一位になっていた。


白井キャプテン「大富豪だ!」


ジェントル「すげえ! ネコさん、金持ちじゃん!」


ネコさん「みんなのお話を聞いていただけなのにゃ」


ペリカリノ「それでこれだけ稼ぐの、もう才能だろ……」


 そんな会話をしながら、一行は宇宙船へ戻った。


 ――ところが。


白井キャプテン「……ん?」


 白井キャプテンが船内を見回した。


白井キャプテン「ネクタイは?」


ジェントル「パン食ってんじゃね?」


 いつもの場所を見る。


 いない。


 テーブルの上を見る。


 パンだけが置いてある。


ジェントル「……あれ?」


ペリカリノ「ネクタイ?」


 返事はない。


ペリカリノ「ネクタイー?」


 返事はない。


ネコさん「いないにゃ……?」


 船内を探し始める。


 食堂、いない。


 休憩室、いない。


 倉庫、いない。


 そして、最後にパン置き場。


 大量のパンだけが残されていた。


ジェントル「……確かにいないぞ!」


ペリカリノ「いや、なんで今まで気づかなかったんだよ!!」


白井キャプテン「…………」


 白井キャプテンは無言で船内を見回した。


白井キャプテン「本当にいないな」


タルト「はい。船内カメラの記録を確認します」


 タルトが映像を巻き戻す。


 朝。


 ネクタイがパンを食べている。


 昼。


 ネクタイがパンを食べている。


 夕方。


 ネクタイが――


 いない。


タルト「……おかしいですね」


ペリカリノ「どこから消えた!?」


タルト「正確には、昼食後から姿が確認できません」


ジェントル「えっ、俺たちが金稼いでる間に!?」


白井キャプテン「つまり……」


 白井キャプテンが立ち上がった。


白井キャプテン「ネクタイは、この惑星のどこかにいる!」


ペリカリノ「当たり前だろ! 宇宙船から消えたんだから!」


ネコさん「探しに行くにゃ」


 ネコさんが静かに立ち上がる。


 その瞬間。


タルト「待ってください」


 一同が振り返った。


タルト「先ほど、この惑星の商業施設を調べていたところ、不審な情報を検出しました」


白井キャプテン「何だ?」


タルト「『特殊商品の入荷』という記録があります」


ペリカリノ「特殊商品?」


タルト「そして、その商品に関する外見情報が――」


 タルトが画面を表示した。


 そこには、ネクタイの特徴が記録されていた。


ジェントル「…………」


白井キャプテン「…………」


ペリカリノ「…………」


ネコさん「…………にゃ」


ジェントル「まさか……」


ペリカリノ「いやいやいやいや」


白井キャプテン「行くぞ」


ペリカリノ「待て!!」


白井キャプテン「ネクタイを探す!」


ジェントル「ガンダで行くぜ!」


ペリカリノ「お前ら話を聞けぇ!!」


 こうして一行は、ネクタイの行方を追って商業施設へ向かった。


 ――ネクタイは、なぜ消えたのか。


 そして、なぜ「特殊商品」として記録されているのか。


 大富豪となったネコさんの共感通貨が、ここで初めて役に立つことになる。


 次回――


 「ネクタイを買う」

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