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白井キャプテンの物語  作者: AI(御茶之川)
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胡瓜卵星編1 共感が金になるなら


宇宙船の中は、静かだった。


エンジンの低い音だけが、船内に響いている。


白井キャプテンは操縦席に座り、何もない宇宙を眺めていた。


白井キャプテン「……暇だ」


返事はない。


白井キャプテン「暇だなあ」


また返事はない。


白井キャプテン「宇宙って広いのに、暇だな」


ペリカリノ「宇宙だからって面白いことが勝手に起きるわけじゃないだろ」


白井キャプテン「ペリカリノ、何か面白いことないか?」


ペリカリノ「俺に聞くなよ」


白井キャプテン「じゃあジェントル」


ジェントル「何だ?」


白井キャプテン「何か面白いこと」


ジェントル「ガンダで行くぜ!」


白井キャプテン「どこへ?」


ジェントル「知らん!」


ペリカリノ「意味ねえだろ!」


ネクタイは船内のソファに寝転がっていた。


ネクタイ「パン……」


ジェントル「ネクタイ、何か面白いことないか?」


ネクタイ「パンが食べたい」


ジェントル「いつも通りだな!」


ネコさんは、その様子を少し離れたところから眺めていた。


ネコさん「みんな暇そうだにゃ」


白井キャプテン「暇だ!」


そのときだった。


船内に、機械的な声が響いた。


タルト「白井キャプテン」


白井キャプテン「どうした?」


タルト「面白そうな惑星を発見しました」


白井キャプテン「何!?」


白井キャプテンが勢いよく立ち上がった。


ペリカリノ「さっきまで死ぬほど暇そうだったのに」


白井キャプテン「どんな惑星だ!」


タルト「非常に珍しい経済制度を持つ惑星です」


白井キャプテン「経済制度?」


タルト「はい。この惑星では、他者から共感されることが、お金になります」


船内が静かになった。


ペリカリノ「……は?」


ジェントル「共感がお金?」


ネクタイ「パンはお金になる?」


タルト「パンそのものではありません」


ネクタイ「そう……」


白井キャプテン「面白そうだな!」


ペリカリノ「そこに食いつくのかよ」


白井キャプテン「行こう!」


タルト「目的地まで約三時間です」


白井キャプテン「三時間か」


少し考える。


白井キャプテン「ガンダで行けないか?」


ペリカリノ「宇宙船に足はねえよ」


タルト「到着まで三時間です」


白井キャプテン「よし、行こう!」


宇宙船は進路を変えた。


⸻


三時間後。


宇宙船は、一つの惑星へ到着した。


青い空。


広大な草原。


そして――


そこら中に、胡瓜が生えていた。


白井キャプテン「胡瓜だ」


ジェントル「胡瓜だな!」


ペリカリノ「胡瓜だな」


ネコさん「いっぱいあるにゃ」


ネクタイ「パンは?」


ペリカリノ「ないだろ」


タルト「この惑星には、胡瓜星人と茹で卵星人が主に居住しています」


白井キャプテン「茹で卵?」


そのとき。


草原の向こうから、緑色の人物が歩いてきた。


胡瓜のような姿をしている。


胡瓜星人「こんにちは」


ジェントル「こんにちは!」


胡瓜星人「あなたたちは旅行者ですか?」


白井キャプテン「そうだ!」


胡瓜星人「では、この惑星のことを知りたいでしょう」


白井キャプテン「知りたい!」


胡瓜星人「この惑星では、誰かの話を聞いたり、その人の気持ちに寄り添ったりすると、『共感』が発生します」


ペリカリノ「共感が発生する?」


胡瓜星人「はい」


胡瓜星人はポケットから、一枚の硬貨を取り出した。


胡瓜星人「これが共感通貨です」


硬貨には、笑顔のような模様が刻まれていた。


胡瓜星人「誰かに共感すると、その共感の大きさに応じて共感通貨を受け取れます」


ジェントル「じゃあ、人に優しくすれば金がもらえるってことか?」


胡瓜星人「簡単に言えば、そうです」


ペリカリノ「じゃあ嘘でも共感したふりをすれば?」


胡瓜星人「すぐに分かります」


ペリカリノ「なんで?」


胡瓜星人「この惑星では、相手が本当に共感しているかどうかが分かる仕組みになっているからです」


タルト「補足します」


タルトの声が船内から聞こえてきた。


タルト「この惑星では、共感そのものがエネルギーとして観測されています。偽りの共感では通貨は発生しません」


ペリカリノ「なるほどな」


胡瓜星人「だから、この惑星では昔から『人の話を聞く』ことが大切にされているんです」


白井キャプテン「面白いな」


胡瓜星人「ただし、共感を受ける側にも価値があります」


白井キャプテン「どういうことだ?」


胡瓜星人「誰かに自分の気持ちを理解してもらえば、その人自身も共感通貨を受け取れるのです」


ジェントル「じゃあ、話す側も聞く側も得するのか?」


胡瓜星人「そういう場合もあります」


ペリカリノ「変わった社会だな」


そこへ、白い体に黄色い頭をした住人がやってきた。


茹で卵星人「こんにちは」


ジェントル「こんにちは!」


茹で卵星人「私は茹で卵を作っています」


ネクタイ「……パン」


茹で卵星人「パン?」


ネクタイ「パンが好き」


茹で卵星人「そうですか」


ネクタイ「うん」


茹で卵星人「私も、好きなものを話すのは好きですよ」


ネクタイが少しだけ起き上がった。


ネクタイ「何が好き?」


茹で卵星人「茹で卵です」


ネクタイ「……」


ネクタイは再び横になった。


ネクタイ「パンの方がいい」


ペリカリノ「なんなんだよお前!」


胡瓜星人が笑った。


胡瓜星人「この惑星では、こういう何気ない会話も大切なんですよ」


ネコさん「素敵なところだにゃ」


胡瓜星人「ありがとうございます」


その瞬間。


チャリン。


小さな音がした。


ネコさんの足元に、一枚の共感通貨が落ちた。


ネコさん「にゃ?」


ペリカリノ「今の……」


タルト「ネコさんの発言に対して、共感通貨が発生しました」


白井キャプテン「なるほど」


白井キャプテンは硬貨を拾った。


そして、じっと眺めた。


白井キャプテン「……これ」


ジェントル「どうした?」


白井キャプテン「金だよな?」


ペリカリノ「そうだな」


白井キャプテン「この星では、人から共感されれば金がもらえるんだよな?」


タルト「正確には、共感によって共感通貨を得られます」


白井キャプテン「つまり――」


白井キャプテンの目が輝いた。


白井キャプテン「金を稼げる!」


ペリカリノ「お前、絶対ろくなこと考えてないだろ」


ジェントル「金を稼ぐのか!」


白井キャプテン「稼ぐぞ!」


ネコさん「何に使うにゃ?」


白井キャプテン「それは稼いでから考える!」


ペリカリノ「計画性ゼロかよ!」


白井キャプテン「よし!」


白井キャプテンは惑星の街を指差した。


白井キャプテン「この星で一番金持ちになってやる!」


ネコさん「楽しそうだにゃ」


タルト「なお、この惑星には共感通貨だけで生活している者も存在します」


白井キャプテン「それならなおさらだ!」


白井キャプテンは歩き出した。


ジェントル「ガンダで行くぜ!」


ペリカリノ「お前まで乗るな!」


ネクタイ「……パン」


ネコさん「ネクタイさんも何か食べたいのかにゃ?」


ネクタイ「パン」


ネコさん「じゃあ、パンを探すにゃ」


こうして彼らは、奇妙な惑星で金を稼ぐことになった。


このときの彼らはまだ知らなかった。


この惑星で稼いだ莫大な共感通貨が、後に――


囚われた仲間を救うために使われることになるとは。

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