表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白井キャプテンの物語  作者: AI(御茶之川)
3/13

喋ると重力がふ((ドゴォ!))

宇宙船《オデッセイβ》は、

静かな灰色の惑星へ降下していた。


空には、

逆さまに浮かぶ山。


地面には、

音を吸い込む黒い砂。


不気味なほど静かだった。


白井キャプテン「おおーーー!!なんか静かでいい星だなァ!!」


ズ ゴ ッ。


船体が沈む。


カムパレル「うわぁぁぁ!?!?」


タルト『警告。この星では“発言量”に比例して重力が増加します』


白井キャプテン「なるほど!!」


ズ ゴ ゴ ゴ !!


さらに沈む。


カムパレル「理解したなら黙れ!!!!!」


ド ォ ン !!


船の床にヒビ。


ジェントル「ガンダで重ぇぇぇぇ!!」


ズ ガ ァ ァ ン!!


ジェントル埋まる。


ネコさん「毛が潰れるにゃ〜」


ズ ン。


ネコさん、少し沈む。


ネクタイ「……パン」


ズ ……ン。


ほぼ変化なし。


カムパレル「なんでお前だけノーダメなんだよ!!」


ズ ド ォ ォ ン !!


重力急増。


カムパレル、自分で自分を地面に叩きつける。


タルト『なおツッコミも対象です』


カムパレル「終わってるだろこの星ィィィ!!」


ゴ ォ ォ ォ !!


重力5倍。


宇宙船が悲鳴を上げ始める。


白井キャプテンは、

潰れかけながら窓の外を見た。


そこには、

住民らしき者たちがいた。


全員無言。


ただ静かに、

手振りだけで会話している。


白井キャプテン「すげぇぇぇぇぇ!!!」


ズ ゴ ゴ ゴ ゴ !!


重力12倍。


カムパレル「だから喋るなァァァァ!!」


ジェントル「ガンダで潰れるぜぇぇぇ!!」


ズ ド ン !!


ジェントル完全埋没。


ネコさん「ジェントルくんが地層になったにゃ」


タルト『生命反応はあります』


その時。


住民の一人が、

静かに近づいてきた。


長身。


灰色のローブ。


そして、

口元に人差し指を当てた。


「…………」


カムパレル「……静かにしろってことか?」


ズ ン。


重力13倍。


カムパレル「もう嫌だこの星!!!!」


灰色ローブの住民は、

無言のまま地面に何かを書き始めた。


サラ……サラ……


黒い砂の上に、

記号みたいな文字が並ぶ。


タルト『翻訳します。“この星では感情の昂りも重力へ変換されます”』


カムパレル「最悪じゃねぇか!!心まで対象かよ!!」


ズ ゴ ン !!


重力15倍。


白井キャプテン「つまり興奮すると危険ということだな!!」


ズ ガ ガ ガ !!


重力20倍。


カムパレル「お前はなんで毎回学習直後に悪化させるんだよ!!」


宇宙船《オデッセイβ》、

車輪半分沈没。


タルト『船体耐久率62%。このままでは圧縮されます』


ジェントルが地面から腕だけ出す。


ジェントル「ガンダで……限界……!!」


ズ ズ ズ……


腕も沈む。


ネコさん「収穫される大根みたいにゃ」


その時。


灰色ローブの住民たちが、

突然ざわつき始めた。


いや、

音はない。


だが視線が一斉に空へ向く。


白井キャプテンも見上げた。


空に浮いていた“逆さ山”が、

ゆっくり落ち始めていた。


ゴ ……ゴ ……ゴ……


カムパレル「えっ」


タルト『警告。上空質量体落下』


カムパレル「山ァァァァァ!!??」


住民たちは、

慌てた様子でジェスチャーする。


タルト『翻訳。“静まれ”“感情を抑えろ”“恐怖が重力を呼ぶ”』


だが。


無理だった。


ジェントル「デケェェェェェ!!」


ズ ド ォ ォ ン !!


白井キャプテン「落ちてきてるぞォォォ!!」


ズ ガ ガ ガ !!


カムパレル「だから喋るなって言ってんだろォォォォ!!」


重力40倍。


地面が陥没。


逆さ山、

さらに加速。


住民たちが絶望の顔になる。


タルト『このままでは惑星中心部まで圧壊します』


ネコさん「大変にゃ〜」


ズ ン。


ネコさん少し埋まる。


カムパレル「ネコさんだけなんでそんな平常心なんだよ!?」


すると。


ネクタイが、

静かに前へ出た。


ネクタイ「……うるさい」


全員「!」


ネクタイは、

ポケットからパンを取り出した。


丸い、

小さなパン。


ネクタイ「……食うと、静かになる」


カムパレル「そんなわけ……」


灰色ローブの住民、

ぱく。


もぐもぐ。


沈黙。


すると。


ズ …………


重力が少し軽くなる。


タルト『観測。精神安定による重力低下を確認』


白井キャプテン「おおっ!!」


ズ ゴ ン !!


カムパレル「お前は喋るなァァァァァ!!!」


白井キャプテン「お前モナー」


カムパレル「うっ……!」


ズ ド ォ ォ ン !!


重力55倍。


カムパレル、自分のツッコミで完全に地面へめり込む。


カムパレル「ぐえぇぇぇぇ!!?」


白井キャプテン「だから言っただろ!」


ズ ガ ガ ガ !!


重力60倍。


カムパレル「お前のせいだろォォォ!!」


ゴ ォ ォ ォ !!


逆さ山、

さらに加速。


空そのものが落ちてくるみたいだった。


灰色ローブの住民たちは、

静かに怯えている。


誰も叫ばない。


叫べば重くなるから。


タルト『落下まで残り90秒』


ジェントル「ガンダでまずいぜ……」


ズ ン。


ジェントル少し沈む。


ネコさん「みんな深呼吸するにゃ〜」


ズ……。


ほんの少し、

重力が軽くなる。


カムパレル「……はぁ……はぁ……」


その時だった。


ネクタイが、

静かに宇宙船へ戻る。


カムパレル「どこ行くんだよ……」


ネクタイ「……焼く」


数秒後。


宇宙船の厨房から、

香りが漂い始めた。


焼きたてパン。


甘くて、

あったかい匂い。


灰色ローブの住民たちが、

ゆっくり顔を上げる。


ざわ……。


いや、

静かなざわめき。


タルト『観測。住民の精神波が安定化』


白井キャプテン「すげぇ!!」


ズ ド ォ ォ ン !!


カムパレル「だからお前は喋るなって!!」


しかし。


さっきより重くない。


逆に、

少しだけ軽くなっている。


ネコさん「安心すると、重力が減る星なのかもしれないにゃ」


タルト『その可能性が高いです』


ジェントル「じゃあ楽しいこと考えればいいんだな!!」


ズ ゴ ン !!


カムパレル「お前はまずテンションを落とせ!!」


逆さ山、

目前。


だがその時。


ネクタイが、

大量のパンを抱えて出てきた。


ネクタイ「……配る」


住民たちへ、

静かにパンを渡していく。


住民たちは、

ゆっくり食べ始めた。


もぐ。


もぐもぐ。


そして。


一人。


また一人。


表情が穏やかになっていく。


ズ …………


重力が、

消えていく。


落下していた逆さ山が、

空中で止まった。


カムパレル「……止まった?」


タルト『重力異常、急速沈静化』


白井キャプテンは、

ぽかんと空を見上げた。


白井キャプテン「つまりこの星は」


全員「喋るな」


白井キャプテン「……」


沈黙。


数秒後。


白井キャプテン、

親指を立てる。


カムパレル「(それでいいんだよ……!)」


静寂。


本当に静かだった。


さっきまで空を落としていた逆さ山は、

何事もなかったみたいに、

空中へ戻っていく。


灰色ローブの住民たちは、

パンを食べながら穏やかな顔をしていた。


宇宙船《オデッセイβ》も、

ようやく地面から浮き上がる。


タルト『重力係数、通常値まで低下』


カムパレル「助かった……」


ジェントル「ガンダで生きてるぜ!!」


ズ ン。


ジェントル少し沈む。


カムパレル「まだ喋るな!!」


住民の長らしき人物が、

静かに前へ出た。


そして。


ネクタイへ、

小さな石板を差し出す。


そこには文字。


“感謝する”


ネクタイ「……ん」


カムパレル「珍しく感謝されてるな、お前」


ネクタイ「……パンだから」


白井キャプテンは、

興味津々で周囲を見渡していた。


静かな街。


無言で笑う住民たち。


筆談で雑談する子供。


音のない市場。


白井キャプテン「面白い星だなぁ」


ズ ……ン。


ほんの少しだけ重力増加。


カムパレル「もうそのくらいなら許す」


すると住民の長が、

今度は白井キャプテンへ石板を見せた。


“お前は危険”


カムパレル「その通りすぎる」


白井キャプテン「なんでだよ!?」


ズ ゴ ン !!


重力3倍。


全員「お前だァァァァ!!!」


ズ ド ォ ォ ン !!


重力8倍。


ジェントル埋没。


ネコさん転がる。


カムパレル顔面着地。


タルト『学習能力の欠如を確認』


白井キャプテン「すまんすまん!」


ズ ガ ァ ン !!


重力12倍。


カムパレル「謝るなァァァァ!!」


その瞬間。


住民たちが、

初めて声を漏らした。


「…………ぷっ」


小さな笑い。


次第に広がる。


「……ふふ」

「……っ、はは」


静かな笑い声。


すると。


重力が、

逆に軽くなっていく。


タルト『観測。“穏やかな笑い”は重力を安定させるようです』


ネコさん「優しい星だったにゃ〜」


白井キャプテン「なるほど!!つまりこの星は!!」


全員「だから喋るなァァァァ!!!」


ズ ゴ ゴ ゴ ゴ !!


完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ