ラーメン銀河があったんだが。
白井キャプテン「見ろォ!!ラーメン銀河だァーーーーーッ!!!✨」
カムパレル「来ちまったよ!!本当に来ちまったよ!!!」
宇宙船《オデッセイβ》の窓の外。
そこには、
巨大などんぶりみたいな惑星が浮かんでいた。
星全体が湯気を出している。
海はスープ。
大陸はチャーシュー。
山脈は極太麺。
しかも空には、
半熟卵みたいな月が浮いていた。
ジェントル「ガンダでうまそう!!!」
ネクタイ「……いい星だ」
カムパレル「お前もう移住しろよ!!」
タルト『解析結果。“ラーメン星メン=タル”。時間流動法則が通常宇宙と異なります』
白井キャプテン「どう違う?」
タルト『この星では“ラーメンが伸びる速度”に比例して時間が進みます』
沈黙。
カムパレル「……は?」
タルト『つまり麺が伸びるほど、時間加速が起こります』
ネコさん「のんびり食べるとおじいちゃんになるにゃ〜」
カムパレル「嫌すぎる世界観!!!」
その瞬間。
近くの屋台から悲鳴。
「誰か助けてくれぇぇぇ!!」
白井キャプテン「事件だ!!!」
カムパレル「絶対関わるなよ!!?」
屋台へ向かう一行。
そこには、
白髭の老人がいた。
店主『客が三日前から食い続けてるんだ!!』
カムパレル「三日!?」
店主『この星じゃ普通なら五分だ!!だがアイツ、“猫舌”なんだ!!』
一同、
ゆっくり振り向く。
店の奥。
一人の男が、
慎重にフーフーしていた。
ふー……
ふー……
麺、のびる。
宇宙、加速。
タルト『現在この屋台周辺のみ、時間が482倍速になっています』
カムパレル「たった一人の食事で時空歪むな!!!!」
白井キャプテンの目が輝く。
白井キャプテン「面白ぇぇぇぇぇ!!!」
カムパレル「帰れ!!!!!」 ⚡
男は、
慎重にラーメンを持ち上げていた。
ぷるぷる震える箸。
ふー……
ふー……
麺、のびる。
時間、加速。
店主『うわぁぁぁ!!また老けたァァァ!!』
カムパレル「店主のヒゲ伸びてる!!?」
タルト『周囲時間流速、現在913倍』
ネコさん「お肌に悪そうにゃ〜」
白井キャプテンは、
興味津々で男を覗き込む。
白井キャプテン「なんでそんなゆっくり食ってんだ?」
男「……熱いんだもん」
カムパレル「“だもん”じゃねぇ!!宇宙壊れかけてんだぞ!!」
すると突然。
ゴ ゴ ゴ ゴ……
惑星全体が揺れ始めた。
タルト『警告。麺の伸長率が限界値突破』
白井キャプテン「おっ」
タルト『このままでは“超過茹で現象”が発生します』
カムパレル「なんだそれ!?」
タルト『星全体の麺が一斉に伸び切り、時間が永久暴走します』
カムパレル「ラーメンで宇宙終わるな!!!!」
外を見る。
山脈みたいだった麺が、
ぶよぶよに膨らみ始めていた。
海のスープが渦を巻く。
チャーシュー大陸が崩れる。
店主『もうダメだァァ!!メン=タル星は終わりだァ!!』
ジェントル「ガンダでどうにかするぜ!!!」
カムパレル「どうにもならねぇよ!!」
その時。
ネクタイが、
ゆっくり立ち上がった。
ネクタイ「……つまり」
全員が見る。
ネクタイ「伸びる前に食えばいいんだろ」
沈黙。
カムパレル「……は?」
ネクタイは、
静かにパンナイフを抜いた。
白井キャプテン「あ、来たな。“本気メシモード”」
カムパレル「何その嫌すぎる形態」
次の瞬間。
ネクタイ、
消える。
シュバババババババッ!!!!
神速。
いや、
もはや残像がラーメンを食っている。
ズルルルルルルルルルル!!!!
星中の麺が、
ものすごい速度で消えていく。
カムパレル「食ってる!?!?」
タルト『観測不能速度。“超高速麺処理”を確認』
店主『速ぇぇぇぇぇぇ!!!』
ネクタイ「……まだある」
ジェントル「オレも行くぜぇぇぇ!!ガンダ麺吸引!!!」
ズゴォォォォ!!
ジェントル、
走りながらラーメンを吸う。
速すぎて周囲にラーメン竜巻が発生。
ネコさん「塩分すごそうにゃ」
カムパレル「感想そこ!?」
だが、
惑星の揺れは止まらない。
タルト『警告。まだ足りません』
白井キャプテン「よぉぉぉし!!ならオレも!!!」
カムパレル「お前まで行くな!!」
白井キャプテンは操縦席へ飛び込んだ。
白井キャプテン「タルト!!例の機能だ!!!」
タルト『……本当に使うんですか?』
白井キャプテン「もちろん!!!」
宇宙船《オデッセイβ》が変形する。
ガコン!!
ガコン!!
巨大な金属の箸が展開。
カムパレル「嫌な予感しかしねぇ!!」
白井キャプテン「《超銀河麺すすりモード》起動ォォォォ!!!!」
カムパレル「なんで搭載されてんだよそんな機能ォォォォ!!!」
宇宙船《オデッセイβ》の先端から、
巨大な金属の箸が伸びる。
ゴ ゴ ゴ ゴ……
惑星サイズ。
もはや工事現場とかそういう次元ではない。
カムパレル「でかすぎるだろ!!」
白井キャプテン「照準合わせろォ!!」
タルト『了解。《超銀河麺すすりモード》、出力90%』
ジェントル「ガンダで吸うぜぇぇぇぇ!!」
ネクタイ「……麺が逃げる」
実際、
山脈みたいな麺がうねうね動いていた。
店主「うわぁぁぁ!!星麺が暴走してるゥ!!」
カムパレル「名前がもう嫌なんだよ!!」
その瞬間。
白井キャプテンが叫ぶ。
白井キャプテン「今だァァァァ!!」
ガシィィン!!
巨大箸、麺を捕獲。
同時に、
宇宙船後部の巨大吸引口が開く。
ズ ゴ ォ ォ ォ ォ !!
吸う。
とんでもない勢いで吸う。
海みたいなスープが巻き上がる。
チャーシュー大陸が揺れる。
カムパレル「食い方が災害なんだよ!!」
タルト『麺処理率32%……48%……61%』
ジェントルも並走する。
ジェントル「うおおおおおお!!!」
ズルルルルルルル!!
超高速すすり。
熱すぎて口から煙が出ている。
ネコさん「火傷しそうにゃ」
ジェントル「気合い!!!」
カムパレル「万能じゃねぇんだよその言葉!!」
だが、
まだ足りない。
空では、
半熟卵みたいな月がぐつぐつ煮え始めていた。
タルト『危険。時間暴走まで残り三分』
店主「終わりだァァァ!!全宇宙が伸びるゥゥゥ!!」
白井キャプテン「まだだ!!ネクタイ!!」
ネクタイ「……ん」
白井キャプテン「例の技を使え!!」
カムパレル「例の技って何!?」
ネクタイは静かに、
パンナイフを構えた。
宇宙が静まる。
タルト『観測。“製麺奥義”を確認』
カムパレル「嫌な単語しか聞こえねぇ!!」
ネクタイ「……ラーメンは」
ス……
ナイフが光る。
ネクタイ「伸びる前が、一番うまい」
斬った。
次の瞬間。
惑星中の麺が、
一斉に均等サイズへ切り分けられる。
ザ ァ ァ ァ ァ ッ!!
カムパレル「ええぇぇぇぇぇ!?」
店主「完璧な湯加減だァァァ!!」
タルト『麺時間流動率、急停止』
ぐらり。
惑星の揺れが止まる。
スープの海が静まる。
時間加速が、
ゆっくり消えていった。
静寂。
そして。
店主「……助かった」
カムパレル「終わった……」
ジェントル「ガンダで腹減った!!」
ネコさん「塩分控えめにするにゃ」
白井キャプテンは、
満足そうに腕を組んだ。
白井キャプテン「いやぁ、いい星だったな!!」
カムパレル「二度と来るか!!」
するとタルトが、
静かに告げる。
タルト『なお皆様』
白井キャプテン「ん?」
タルト『この星ではラーメンの伸びに比例して時間が進みます』
カムパレル「それは聞いた!!」
タルト『先ほど皆様は惑星規模のラーメンを超高速で消費しました』
沈黙。
カムパレル「……つまり?」
タルト『現在、宇宙全体の時間が三日ほど早送りされています』
カムパレル「なんで毎回オチで問題増えるんだよォォォォ!!!」
宇宙全体が、
三日分だけズレていた。
星の位置が微妙に変わっている。
通信ログが増えている。
しかもタルトのモニターには、
大量の苦情が表示されていた。
『銀河会議を無断欠席した件について』
『時間税の請求』
『巨大なラーメン臭が観測された件』
カムパレル「終わった……社会的に終わった……」
白井キャプテン「細かいことは気にするな!」
カムパレル「お前は少し気にしろ!!」
店主は深々と頭を下げた。
店主「ありがとう……君たちはこの星の英雄だ……!」
ジェントル「ガンダで助けたぜ!」
ネクタイ「……ラーメン、うまかった」
ネコさん「平和が一番にゃ〜」
その時だった。
空に浮かぶ半熟卵の月が、
ゆっくり割れ始めた。
パカッ。
中から、
金色の液体が宇宙へ流れ出す。
カムパレル「今度は何だァァァ!?」
タルト『解析。“時間黄身核”です』
白井キャプテン「おっ、持って帰れる?」
カムパレル「やめろ!!絶対やめろ!!」
しかし、
店主が笑った。
店主「持っていくといい」
一同「え?」
店主「この星のラーメンは、誰かに食べてもらってこそ意味がある」
ネクタイ「……いいこと言う」
店主「ただし」
店主は真顔になった。
店主「絶対に、一気飲みするなよ」
白井キャプテン「了解した!!」
カムパレル「今一番信用できねぇ返事だったぞ!!」
タルト『なおキャプテンの脳内好奇心メーターが上昇中』
カムパレル「監視しろ!!止めろ!!」
宇宙船《オデッセイβ》は、
大量のラーメン土産を積み込み、
ゆっくり離陸した。
窓の向こうでは、
ラーメン星メン=タルの湯気が、
静かに宇宙へ漂っている。
ジェントル「次はどこ行くんだ!?」
白井キャプテン「そうだなぁ……」
タルト『近隣宙域に、“会話すると重力が増える星”を確認』
カムパレル「嫌な予感しかしねぇ……」
ネクタイ「……静かな場所ならいい」
白井キャプテンは、
ニヤッと笑った。
白井キャプテン「よぉぉぉし!!行くぞお前らァァァ!!」
ジェントル「ガンダで出発だァァァ!!」
カムパレル「だから毎回雑なんだよォォォ!!」
笑い声と悲鳴を乗せて、
宇宙船《オデッセイβ》は、
次の銀河へ消えていった。
その後、
ラーメン星メン=タルでは、
彼らのことがこう語り継がれたという。
“世界を救った伝説の旅人たち”
“ただし食い方は最悪”
完。




