ナルババ編4 今度こそは。
タルトが提示した三つ目の候補地は、これまでとは明らかに雰囲気の違う場所だった。
タルト「次の候補、植物が統治する惑星です。酸素濃度、通常より高め。ナルババの生態にも適合すると予測します」
ペリカリノ「植物が統治って、どういうことだよ」
ジェントル「確かに!どういうことだー?!」
タルト「きっと見れば分かります。」
船が近づくにつれ、窓の外の景色が緑一色に染まっていく。巨大な木々が空高くそびえ、蔦が幾重にも重なり合って、まるで惑星そのものが呼吸しているようだった。
ナルババが窓に顔を寄せる。触角の先が、久しぶりにぴんと立っていた。
ナルババ「……緑」
ネコさん「今度こそ、にゃ」
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着陸すると、むせ返るほど濃い酸素と、土と葉の匂いが一行を包んだ。ナルババは大きく息を吸い込み、目を閉じる。
ナルババ「息が……楽」
白井キャプテン「そりゃよかった!」
奥から、地を這うような、それでいて優しい声が響いてきた。巨大な木の幹が、ゆっくりと人の顔のような形を作り出していく。
木の王「よく来た、旅人たちよ」
ペリカリノ「木、喋った……」
木の王「ここでは皆、言葉を持つ。お前たちの連れは、我らと同じ色をしているな」
ナルババがおずおずと一歩前に出た。
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木の王「緑とは、生きる色だ。ここでは誰も、それを珍しがりはしない」
ナルババは何かを言おうとして、言葉を探すように口をつぐんだ。周囲から、小さな若木や蔦たちがざわざわと集まってきて、ナルババの触角に興味深そうに触れる。
若木「あなた、どこから来たの」
蔦「触角、面白い形」
ナルババは戸惑いながらも、その一つ一つに答えていく。噛みつくことも、逃げ出すこともなかった。ただ、ゆっくりと、言葉を交わしていた。
ネコさん「良かったにゃあ……」
その様子を少し離れたところから眺めながら、白井キャプテンたちは静かに頷き合った。
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日が傾き始めた頃、木の王がゆっくりと告げた。
木の王「この者は、ここで生きていける。我らが引き受けよう」
ナルババは振り返り、白井キャプテンたちを見た。触角がまっすぐに立っている。それだけで、彼の気持ちは十分に伝わってきた。
白井キャプテン「決まりだな」
ナルババ「……世話に、なった」
ジェントル「おう、元気でな!」
ネクタイ「パン、また今度」
ナルババの口元が、少しだけ緩んだように見えた。
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船に戻る道すがら、誰も湿っぽいことは言わなかった。ペリカリノが振り返って、軽く手を上げる。
ペリカリノ「じゃあな、変な宇宙人!」
ナルババ「……お前たちも、変わっていた」
タルト「記録上、友好的な別れと分類します」
白井キャプテンが最後に一言、振り返らずに投げかけた。
白井キャプテン「じゃあまたな!」
ハッチが閉まり、船が浮上する。窓の外で、木々の間からナルババが小さく手を振っているのが見えた。惑星が遠ざかり、やがて一つの星のように小さくなっていく。
ネコさん「また会えるかにゃ」
タルト「多次元宇宙です。可能性は、ゼロではありません」
船内には、いつも通りの、なんでもない空気が戻っていた。




