ナルババ編3 緑色がねェェェェなア!
「次だ、次!」と白井キャプテンが叫んでから、タルトが提示した候補は少し奇妙なものだった。
タルト「次の候補、地球です」
ペリカリノ「は? 地球? 俺らそっちの地球のこと知ってんじゃん」
タルト「正確には、地球と分岐した世界線の一つです。この星には、緑色という概念そのものが存在しません」
ネコさん「緑が、ない……?ニャ」
タルト「はい。植物も、信号機も、緑色のものは全て別の色に置き換わっています」
ナルババが自分の腕を見下ろした。触角から爪先まで、鮮やかな緑色をしている。
ナルババ「私は、緑」
タルト「そうなりますね」
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着陸した街並みは、見慣れたはずの地球の風景でありながら、どこかちぐはぐだった。木々の葉は青紫に近い色をしていて、遠くの看板も見慣れない色合いで点滅している。
ジェントル「なんか変な感じすんな、これ」
道行く人々が、こちらに気づいて足を止めた。最初は好奇の目だったが、ナルババの緑色の肌を見た瞬間、空気が変わった。
通行人「な、なんだあの色……見たことない……」
囁き声はすぐに広がり、あっという間に人だかりができていく。その中に、白衣を着た一団が混じっているのに、ネコさんが真っ先に気づいた。
ネコさん「あれ、なんか嫌な予感がするにゃ……」
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白衣の一団は、迷いのない足取りでナルババに近づいてきた。先頭に立つ人物が、興奮を隠しきれない様子で叫ぶ。
研究者「未知の色素だ! サンプルを――いや、確保だ! 連れて行け!」
その一言で、周囲にいた数人が一斉にナルババへ駆け寄った。ナルババは触角を逆立て、後ずさる。
ナルババ「な、なに――」
白井キャプテン「おいおいおい、待てって!」
割って入ろうとした白井キャプテンの腕を、研究者の一人が乱暴に払いのけた。ネクタイが表情も変えずに一歩前に出て、腰のナイフに手をかける。
ネクタイ「……本気で行くなら、俺も本気になる」
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ペリカリノ「馬鹿、ここで暴れたら余計面倒になんだろ!」
タルト「同意します。強行突破より、撤退を推奨します」
白井キャプテンは一瞬だけ悔しそうな顔をしたが、すぐにナルババの体を抱え上げた。
白井キャプテン「悪いな、走るぞ!」
ナルババ「わ、私は――」
白井キャプテン「文句は逃げてから聞く!」
研究者たちの叫び声と、集まった群衆のざわめきを背に、一行は路地を駆け抜けた。ネコさんが先導し、ペリカリノが後方に雷の火花を散らして追手の足を止める。
ペリカリノ「ちょっとは時間稼げるだろ、これで!」
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船のハッチが閉まり、機体が浮上する。窓の外に、小さくなっていく街と、こちらを見上げる人々の姿が見えた。
ナルババは息を切らしながら、自分の腕を見つめていた。
ナルババ「私の色は……そんなに、おかしいのか」
誰も、すぐには答えられなかった。ネコさんがそっとナルババの背中に手を置く。
ネコさん「おかしくなんかないにゃ。ただ、あそこに合わなかっただけ、にゃ」
ナルババは俯いたまま、触角の先をわずかに揺らした。船内は、しばらくの間、静かなままだった。
タルト「次の候補地、算出します。今度こそ、良い出会いがあるといいですね」
その声だけが、静けさの中にそっと響いていた。




