ナルババ編2 もしかして石碑じゃね?
石板の前で、誰も動かなかった。風の音だけが、廃墟の間を通り過ぎていく。
沈黙を破ったのは、意外にもナルババだった。触角をぴんと立て、白井キャプテンたちを順に見回す。
ナルババ「お前たち、帰るのか」
白井キャプテン「まあ、いつまでもここにいられねえしな」
ナルババ「なら――代わりを寄越せ」
ペリカリノ「代わり?」
ナルババ「遊び相手だ。私は、ずっと一人だった。お前たちは、ただの暇つぶし。帰るなら、代わりを置いていけ」
その言い方はどこまでも淡々としていて、だからこそ余計に、その裏にあるものの重さが伝わってきた。ネコさんが小さく息を吐く。
ネコさん「そんな簡単に、代わりなんて見つかんないにゃ……」
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白井キャプテン「よし、決めた」
ジェントル「え、何を」
白井キャプテン「俺たちが遊び相手にはなれねえけどよ、探すのを手伝ってやる」
ナルババの触角がぴくりと動いた。
ナルババ「……探す?」
白井キャプテン「多次元宇宙だぞ? お前と気の合う奴、絶対どっかにいるって」
タルト「無責任な発言ですが、統計的には否定できません」
ネクタイ「パンあるとこなら、俺もついてく」
ペリカリノ「お前は自分の食い意地でついてくるだけだろ」
そうして、目的も期限もはっきりしないまま、ナルババのための「遊び相手探し」が始まった。
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タルトが最初に見つけたのは、麺と香辛料の匂いが漂ってくる惑星だった。
タルト「表面温度、生態系ともに良好。住民の主食はパスタ。友好的な種族とのデータもあります」
ジェントル「パスタの星とか最高じゃん!」
着陸してすぐ、一行は細長い体に赤いソースのような模様を持つ住民たち――スパゲティ星人に囲まれた。彼らは陽気に踊りながら、湯気の立つ大皿を次々と運んでくる。
スパゲティ星人「ようこそ! ようこそ!」
ナルババの触角が、興奮したように震えていた。目の前に山盛りのスパゲティが置かれると、彼はそれをじっと見つめ、やがて我慢しきれなくなったように顔を近づけた。
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ネコさん「ナルババ、落ち着いて食べるにゃ」
しかしその声も届かなかった。ナルババは目の前の皿にかぶりつき、その勢いのまま、隣にいたスパゲティ星人の腕にがぶりと噛みついた。
スパゲティ星人「ぎゃああああ!」
ペリカリノ「うわ、マジで噛んだよこいつ!」
場は一瞬で騒然となった。悲鳴と怒号が飛び交い、周囲のスパゲティ星人たちが武器代わりのフォークを手に集まってくる。白井キャプテンがナルババの首根っこを掴み、そのまま抱えて走り出した。
白井キャプテン「撤収おおおお!」
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船が惑星の大気圏を抜けると、ようやく全員が座り込んだ。ナルババは口の周りにソースをつけたまま、ばつが悪そうに俯いている。
ジェントル「お前、あれはねえよ……食欲に負けすぎ」
ナルババ「……美味しそうだった」
ペリカリノ「理由になってねえよ」
タルト「候補、除外します。次を探しましょう」
ネコさんがナルババの口元を布で拭ってやりながら、小さく笑った。
ネコさん「気持ちは分かるにゃ。次、行こうにゃ」
ナルババは何も言わず、ただ窓の外に流れていく星々を見つめていた。触角の先が、少しだけ垂れていた。




