「戦国宇宙!?刀と城と鋼鉄の侍、全部まとめて大爆発!!」の巻
宇宙船ブッ飛び号。
操縦席では白井キャプテンが両手を広げ、全宇宙に宣言するような顔をしていた。
白井キャプテン「次の行き先を決めるぞォォォォォォ!!!」
操縦パネルのランプが百個ほど点滅している。どれが何のボタンなのか、誰も把握していない。おそらく白井キャプテン本人も。
ジェントル「ガンダで行くぜェェェェェ!!!」
ネクタイ「パン。」
ペリカリノ「会話になってねぇ。」
ネコさんはシートの端でまるくなっていた。
ネコさん「今日も平和だにゃ~。」
タルト『平和ではありません。現在、白井キャプテンが航路設定をしているため事故率が92%です』
船内の空気が一瞬で固まった。
ペリカリノ「全然平和じゃねぇよ!!」
白井キャプテン「よし決めた!!このボタンを押す!!」
ペリカリノ「どのボタンだよ!?」
白井キャプテン「知らん!!」
ペリカリノ「知らんで押すなァァァ!!」
ポチッ。
小さな音だった。しかしその瞬間、窓の外が変わった。星が消え、虹色の渦が宇宙船を飲み込んでいく。船体が軋む。重力がおかしくなる。ネクタイのパンが宙を舞った。
ジェントル「うおおおおおおおお!!」
ネクタイ「パンが飛んだ。」
ネコさん「にゃー。」
タルト『あ、変な宇宙です』
ペリカリノ「変な宇宙って何だよ!!」
数分後。
衝撃とともにブッ飛び号が着陸した。
窓から外を見ると、緑の深い山が広がっていた。空気が澄んでいる。土の匂いがする。
そして、山の稜線を埋め尽くすように——巨大な城。
石垣の上にそびえる白い天守閣。翻るのぼり旗。甲冑を身にまとった兵士たちが列をなして歩いている。馬が嘶き、砂埃が舞う。どこかから太鼓の音が響いてくる。
白井キャプテン「戦国時代だァァァァァァ!!!」
目を輝かせている。
タルト『正確には戦国時代に似た別宇宙です』
ペリカリノ「似た別宇宙なんて便利な言葉で済ませやがった。」
ジェントル「城だァァァァ!!」
ネクタイ「パン屋はあるか。」
ネコさん「景色が綺麗だにゃ~。」
のんびりした空気が漂いかけたその時。
ドドドドドドドッ!!
地響き。
山の麓から武士たちが駆け上がってくる。完全武装。目が血走っている。
武士A「怪しい者ども!!捕らえろ!!」
ペリカリノ「初対面で!?」
白井キャプテン「よし!!逃げるぞ!!」
ジェントル「ガンダァァァァァッシュ!!」
ビュンッ!!
風圧だけで武士たちが数メートル吹き飛んだ。土煙の中、ジェントルの姿はすでに消えている。
武士A「消えた!?」
武士B「速すぎる!!」
ペリカリノ「毎回思うけどその脚力どうなってんだよ!」
一行は深い森へ飛び込んだ。
木々の間に差し込む光。遠くで鳥が鳴いている。ブッ飛び号は偽装シートで隠してある。
タルトの小型カメラが蜂のように飛び回り、数分で戻ってきた。
タルト『調査完了』
白井キャプテン「早いな。」
タルト『この世界は現在、大名同士の戦争中です』
『特に強大なのが戦国大名・鬼龍院信景』
ペリカリノ「名前からして強そうだな。」
タルト『現在、周辺の国を次々と制圧しています』
『民から重税を取り、反抗する村を焼いています』
ネコさん「それはかわいそうだにゃ。」
ネクタイ「パンも焼くのか。」
ペリカリノ「そこじゃねぇ。」
白井キャプテンが立ち上がった。
静かに。しかし迷いなく。
白井キャプテン「決めた。」
ペリカリノ「嫌な予感。」
白井キャプテン「鬼龍院信景の城下町に行こう!!」
ペリカリノ「やっぱりだァァァ!!」
ジェントル「ガンダで行くぜ!!」
ネクタイ「パンもらえるかな。」
ネコさん「面白そうだにゃ。」
ペリカリノ「誰か止めろよ!!」
翌日の朝。
城下町へ続く街道を歩く一行。
しかし、近づくにつれておかしいと気付いた。
市場に活気がない。商人の呼び声がない。子供が走り回っていない。人々は下を向いて歩き、誰も目を合わせようとしない。視線が怯えている。
石畳の路地に、腹を空かせた子供が座っていた。
兵士たちだけが威張っていた。肩をそびやかして歩き、邪魔な荷車を蹴飛ばし、露店の食い物を金も払わずに取っていく。
その時。
老人が一人、道端で崩れ落ちた。
荷物が重すぎたのか。それとも腹が空いているのか。
兵士「邪魔だ。」
ドンッ。
革靴の先が老人の脇腹を蹴った。老人が石畳の上を転がる。周りの人々は目を伏せた。
ペリカリノ「おい!!」
ネコさんが駆け寄り、老人を抱き起こす。
老人「ありがとう……」
皺だらけの顔が、それでも微笑もうとしていた。
兵士たちがこちらを見て、せせら笑った。
兵士「余計な真似を。」
その言葉が落ちた瞬間。
白井キャプテンの笑顔が、スッと消えた。
ペリカリノ(あ。)
ジェントル(あ。)
ネクタイ(パン。)
ネコさん(にゃ。)
タルト『白井キャプテン怒りモードを確認』
音が消えたように感じた。
兵士「何だ貴様。」
白井キャプテン「お前。」
一歩。前に出る。
白井キャプテン「弱い者いじめは宇宙で一番ダサいぞ。」
声は低く、静かだった。怒鳴っていない。だからこそ重かった。
兵士たちが刀を抜く。鞘が鳴る。鋼の光が路地に走る。
周囲の町人が悲鳴をあげ、壁際に張り付く。
ペリカリノ「始まった。」
ジェントル「戦うのか!?」
白井キャプテン「いや。」
ペリカリノ「え?」
白井キャプテン「まず話し合おう。」
沈黙。
刀を抜いた兵士たちも、一瞬止まった。
ペリカリノ「珍しいな。」
白井キャプテン「だが。」
兵士「?」
白井キャプテン「話を聞く気がないなら。」
口の端が、少し上がった。
白井キャプテン「その時は遠慮しない。」
ニヤリ。
兵士たちの額を汗が伝った。なぜかわからない。武器を持っているのはこちら側だ。なのに。
目の前の男は——危険だ。
本能がそう叫んでいた。
その瞬間——
ゴォォォォォォン!!
天守閣から巨大な鐘の音が鳴り響いた。城全体が震えるような、腹の底まで届く音だった。
タルト『緊急報告』
ペリカリノ「今度は何だ!?」
タルト『鬼龍院信景が出陣します』
タルト『ただし問題があります』
白井キャプテン「何?」
タルト『鬼龍院信景の軍勢、約三万人』
ペリカリノ「多いな。」
タルト『対する敵軍、約二千人』
ネコさん「にゃ?」
ジェントル「それ大丈夫か!?」
タルト『大丈夫ではありません』
『敵軍は今日中に壊滅します』
城門が開く音が遠くから聞こえてきた。地が揺れる。太鼓が鳴り始める。町の人々が蒼白になっていく。
老人が白井キャプテンの袖を掴んだ。震える手で。
白井キャプテンは城を見上げた。
白井キャプテン「ほう。」
ニヤリ。
白井キャプテン「面白くなってきたじゃないか。」
ペリカリノ「その顔やめろ。」
戦場へ続く平野。
丘の上から見下ろすと、二千の兵士たちが整列していた。
しかし空気が重い。死を覚悟した人間の顔をしている。
一行が姿を現すと、兵士たちが振り返った。
兵士A「誰だお前ら。」
白井キャプテン「観光客。」
ペリカリノ「違うだろ。」
ジェントル「助けに来たぜ!!」
兵士B「お前らだけで!?五人で何ができる!!」
ネクタイ「パン。」
兵士B「戦う気あるのか!?」
その時——
ドォォォォン!!
地面が鳴った。
違う。鳴ったのではない。揺れたのだ。一歩、また一歩。重い足音が大地を叩くたびに振動が伝わってくる。
煙の向こうから、それは現れた。
巨大だった。
人間ではない。全身を黒い鉄で覆われた、武士の形をした何かだ。目の位置に赤い光が二つ灯っている。関節の隙間から白い蒸気が噴き出している。手には人の身長ほどもある刀。
そして一体ではなかった。
二体、十体、百体——
煙の向こうから際限なく現れてくる。
タルト『からくり侍です』
『この世界最高峰の技術によって造られた自動兵器』
『推定五百体』
ペリカリノ「五百!?」
白井キャプテン「いいねぇ!!」
ペリカリノ「いいねぇじゃねぇよ!!」
その先頭。
一体だけが異様だった。
漆黒の鎧。他の個体より一回り大きい。頭部に金色の角が二本。そして胸の中心——そこだけが青白く光っていた。脈打つように。まるで心臓のように。
タルト『個体識別』
『名称・黒鋼丸』
『からくり侍軍団総大将』
ペリカリノ「ボスじゃねぇか。」
そしてその背後。
丘の上に、一騎の武将が馬で立っていた。
黒い甲冑。風になびく陣羽織。遠目でも分かる、巨大な体躯。
その男が腕を上げると、五百体が静止した。
ピタッ。
完璧な静寂。
次の瞬間、腕を振り下ろす。
鬼龍院信景「——進め。」
声は低く、たった一言だった。
それだけで五百体が動き出した。
ドドドドドドドドド!!
ペリカリノ「あれが鬼龍院信景か。」
タルト『はい』
ペリカリノ「……強そうだな。」
タルト『はい』
ペリカリノ「……本当に。」
黒鋼丸はゆっくり刀を抜いた。
ズゴォォォォン!!
振るいもしていない。ただ抜いただけで、地面に亀裂が走った。
兵士たち「ひぃぃぃぃ!!」
ジェントル「強そうだな!!」
白井キャプテン「強そうだな!!」
ペリカリノ「同じ感想かよ!!」
黒鋼丸が動いた。
砲弾のような速度。鉄の巨体がそんな動きをしていいはずがない。
ジェントル「ガンダァァァァッシュ!!」
正面から迎え撃つ。
ドォォォォン!!
衝突の瞬間、爆発のような衝撃波が広がった。しかし。
ジェントル「うおおおお!?」
吹き飛んだのはジェントルだった。数十メートル先の地面を転がっていく。
ペリカリノ「ジェントル!?」
ジェントル「速ぇぇぇぇ!!俺より速ぇぇぇ!!」
ペリカリノ「お前より速い奴がいるのか!?」
黒鋼丸が刀を高く振り上げた。
ヒュン。
音があった。
カン!!
刀が弾かれた。軌道がずれる。地面に落ちた刃が土を抉る。
全員「!?」
ネクタイだった。
座ったまま。パンを片手に持ったまま。もう片方の手でナイフを投げていた。
ネクタイ「パンを潰されるのは困る。」
ペリカリノ「何その理由。」
ヒュン。ヒュン。ヒュン。
連続投擲。全て命中する。黒鋼丸の鎧に火花が散る。
黒鋼丸「■■■■■」
初めて、機械が後退した。半歩。しかし確かに。
ペリカリノ「相変わらず意味わかんねぇ腕前だな。」
丘の上の鬼龍院信景が、初めて眉をひそめた。
鬼龍院信景「……何者だ。」
声には余裕があった。しかし目は違った。あの男を見ている。白井キャプテンを。
しかし問題は終わらない。
後方の五百体が、一斉に動き出した。
ドドドドドドドドド!!
大地が揺れる。鉄の足音が重なって、太鼓のような轟音になる。
兵士たち「終わったぁぁぁ!!」
ペリカリノ「多すぎるだろ!!」
ネコさん「怪我人がいっぱい出そうにゃ……」
そしてその瞬間、タルトの声が鋭くなった。
タルト『さらに問題があります』
白井キャプテン「何?」
タルト『黒鋼丸の胸部に未知のエネルギー反応』
ペリカリノ「未知?」
タルト『この宇宙の技術ではありません』
全員「え?」
白井キャプテンの目が細くなった。光が宿る。
白井キャプテン「なるほど。」
ペリカリノ「何かわかったのか?」
白井キャプテン「宇宙外文明の技術だ。誰かがこの戦国宇宙にヤバい物を持ち込んだ。」
タルト『一致しました』
『極めて古い多次元遺物の反応です』
ネクタイ「パンよりヤバい?」
ペリカリノ「基準がおかしい。」
その時。
黒鋼丸の胸部が——開いた。
装甲が左右に割れる。中から青白い光が溢れ出す。眩しい。直視できない。
空が震えた。
ビキビキビキ!!
亀裂が走る。空そのものに。見上げると、青い空の一角が割れガラスのように砕け始めていた。
タルト『警告』
『警告』
『警告』
『空間崩壊反応を確認』
『このままでは戦場ごと消滅します』
兵士たち「空が割れたぁぁぁ!!」
ペリカリノ「はぁ!?」
ネコさん「にゃ!?」
ジェントル「戦国時代の話じゃなかったのか!?」
丘の上の信景も、空を見上げていた。
初めて、その顔に動揺が走った。
鬼龍院信景「……これは。」
馬が暴れる。周囲の兵士たちが悲鳴をあげる。
信景は手綱を引き締めながら、それでも黒鋼丸を見ていた。
鬼龍院信景「止まれ。黒鋼丸。」
黒鋼丸は止まらなかった。
鬼龍院信景「……止まれと言っている。」
止まらない。
信景の顎が、わずかに固まった。
自分が作った最強の兵器が。自分の命令を聞かなくなっている。
白井キャプテンだけが、大笑いした。
白井キャプテン「最高だァァァァァ!!」
ペリカリノ「最悪だろォォォォォ!!」
タルト『あと十五分で戦場消滅』
ネコさん「怪我人は任せるにゃ!!」
ネコさんは即座に走り出した。倒れた兵士の元へ、次の兵士の元へ、駆け回りながら手当てをしていく。
兵士A「助かった……」
兵士B「猫が喋ってる……」
ネコさん「気にしないでいいにゃ。」
ジェントル「ガンダァァァァァッシュ!!」
からくり侍の群れへ突っ込む。十体、二十体と吹き飛ばすが、後ろから次が来る。
ジェントル「多いなぁぁぁぁ!!」
ペリカリノ「だから五百体いるんだよ!!」
「雷帝一閃!!」
バゴォォォォ!!
ペリカリノの拳が一閃するたびにからくり侍が砕け散る。しかし数が多い。
ネクタイは座っていた。
パンを食べていた。
モグモグ。
ペリカリノ「戦えよ!!」
ネクタイ「今忙しい。」
ペリカリノ「何がだ!!」
ネクタイ「パン。」
一体のからくり侍がネクタイへ斬りかかった。
ネクタイ「パンの時間を邪魔するな。」
ヒュン。
ナイフ一本。
ガギィィィン!!
からくり侍の首が正確に飛んだ。胴体だけが数歩歩いて、倒れた。
ペリカリノ「怖ぇよ!!」
ネクタイ「パン。」
一方、白井キャプテンは走っていた。
からくり侍の群れの中を、まるで川の中の魚のように。ぶつかりもしない、止まりもしない。
目標は一つ。黒鋼丸。
黒鋼丸も気付いた。巨大な刀を横薙ぎに振る。
ズドォォォォン!!
土煙。
ペリカリノ「キャプテン!?」
煙が晴れた時。
黒鋼丸の肩の上に人影があった。
白井キャプテン「よっ。」
ペリカリノ「いつの間に!?」
タルト『説明不能です』
ペリカリノ「AIも諦めるな!!」
白井キャプテンは黒鋼丸の装甲を叩き始めた。
コンコン。コンコンコン。
位置を変えながら、耳を近づけながら。
白井キャプテン「ほう。」
コンコン。
白井キャプテン「なるほど。」
ペリカリノ「何してんだよ!!」
白井キャプテン「音を聞いてる。」
ペリカリノ「スイカか!?」
黒鋼丸が暴れる。肩を揺らし、腕を振り回す。しかし白井キャプテンは離れない。波に乗る船のように揺れながら、装甲の上を移動し続ける。
そして、胸部へ到達した。
青白い光の源。脈打つ結晶。
黒鋼丸「■■■■■■■!!」
鉄の拳が迫る。
ジェントル「危ない!!」
白井キャプテン「大丈夫。」
ガチャ。
カチ。
ギギギ。
スポン。
ペリカリノ「取れたァァァァァ!?」
タルト『本当に取れました』
白井キャプテンの手の中に、青白く輝く結晶があった。
瞬間。
全てのからくり侍が停止した。
ピタッ。
動いていた五百体が、一斉に。音もなく。
ジェントル「止まった!」
ネコさん「にゃ~。」
ネクタイ「パン。」
ペリカリノ「毎回パンだな。」
しかし。
結晶が暴走した。
白井キャプテンの手の中で、光が激しさを増す。熱い。眩しい。
ビキビキビキ!!
空間が歪む。視界が波打つ。立っているのに地面が遠い気がする。
タルト『最終暴走』
『あと十秒』
ペリカリノ「十秒ォォォォ!?」
兵士たち「終わった!!」
白井キャプテン「よし。」
ポイッ。
ペリカリノ「投げたァァァァァ!?」
結晶が空高く舞い上がる。
ジェントル「ガンダァァァ!!」
跳躍。常識を超えた高さへ。結晶をキャッチし、さらに高く投げ返す。
ヒュン。
ネクタイのナイフが一直線に飛ぶ。
命中。
ペリカリノ「雷帝一閃!!」
バゴォォォォォン!!
五人分の力が重なった瞬間、結晶が空中で爆ぜた。
光が広がる。
空を包む白い閃光。
そして——
静寂。
ゆっくりと、空の亀裂が塞がっていく。割れていた空が元に戻っていく。
青い空だった。
ただ、青い空だった。
兵士たち「おおおおおおおお!!」
歓声が上がった。それが広がり、戦場全体を包んでいく。
老人「英雄だ!!」
兵士「救世主だ!!」
町人「ありがとう!!」
ペリカリノはへたり込んだ。
ペリカリノ「なんとかなったな……」
ネコさん「良かったにゃ。」
ジェントル「ガンダで勝ったぜ!!」
ネクタイ「パン。」
そこへ。
馬蹄の音。
鬼龍院信景だった。
先ほどまでの威厳はあった。しかし今、その顔には隠しきれないものがある。
自分が制御できなかった。
自分が止められなかった。
それを、見知らぬ五人が止めた。
信景はしばらく黙っていた。
そして。
鬼龍院信景「……褒美を与えよう。」
白井キャプテン「いらん。」
鬼龍院信景「え?」
ペリカリノ「え?」
兵士たち「え?」
白井キャプテン「だってもう面白いもの見たし。」
ペリカリノ「理由が軽い。」
白井キャプテン「次行こう。」
信景は口を開きかけた。
何か言おうとした。
しかし言葉が出なかった。
この男に、何を言えばいいのか。
ジェントル「次の宇宙か!!」
ネコさん「楽しみだにゃ。」
ネクタイ「パンを持っていく。」
タルト『発進準備完了』
鬼龍院信景「ま、待て!!」
老人「名前だけでも!!」
兵士「英雄様ァァァ!!」
町人「ありがとう!!」
白井キャプテン「じゃあな!!」
ブッ飛び号が轟音とともに浮かび上がった。
ゴォォォォォォォ!!
虹色の渦が現れ、飲み込んでいく。
戦国宇宙の人々は見上げていた。
知らない人たちだった。名前も知らない。どこから来たのかも知らない。なのに——空が元に戻っていた。
鬼龍院信景も、馬の上で見上げていた。
誰よりも長く。
宇宙船内。
ジェントル「次はどこだ!?」
ネコさん「どんな世界かにゃ~。」
ペリカリノ「頼むから平和なところにしてくれ。」
タルト『検索中』
『検索中』
『検索完了』
白井キャプテン「おっ。」
ペリカリノ「嫌な予感。」
タルト『全住民が巨大な魚の世界を発見しました』
白井キャプテン「行こう!!!!」
ジェントル「ガンダァァァァァ!!」
ネコさん「にゃ~♪」
ネクタイ「魚パンあるかな。」
ペリカリノ「絶対ロクでもねぇぇぇぇぇ!!」
宇宙船は虹色の渦へ消えていく。
またどこかの、誰も知らない宇宙へ向かって。
――続くけど完。




