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完璧な君は僕には眩しい  作者: 夏の芽
体育祭編
12/16

◆ずるい君

これは僕と彼女のたった一年間だけの恋の物語

第三章-体育祭編


「宣誓!我々選手一同は!.............」


体育祭が始まった、

生徒会長に当選した”こうやん”が開会のあいさつを述べている


「それではプログラム一番!大縄跳びです!15人のチームで連続で多く飛べたチームの勝利となります!」

放送部が元気よく種目説明を始める

最初は一年生の5クラスが競技を始める

初めての体育祭で慣れていないのか、どこのクラスも途切れ途切れで均衡している


「第三位:2組!

 第二位:4組!

 第一位はぁ~!5組!」


三年生のテントから歓声が上がる、最後の体育祭....もちろん勝ちたいのだろう

(二組は三位か、まぁ悪くはない)


「続いては二年生です!..........」



「以上で大縄跳びを終了いたします!」

大縄跳びの全行程が終了した、

暫定一位は4組

二組は3位で以前変わらない


「さて、次の競技は騎馬戦です!それぞれのハチマキを取られないように頑張ってくださ~い!!」


騎馬戦は”こうやん”が出るはずだ

周囲を見渡すと、なんと”こうやん”が騎手に抜擢されていた

(大丈夫かな.....”こうやん”)


少し後、後ろからカメラを提げた”ゆう”がやってくる

「お、高矢は騎手か!これは楽しくなるな!!

頑張れよ!!高矢!」

その声が聞こえたのか、”こうやん”は震えている手でグッドマークを掲げた


「えっと、松原さんはなんであんなに震えてるの?」


学級委員の集会からいつの間にか帰ってきた霧宮さんが隣にいた


「その、”こうやん”は重度の高所恐怖症で......」


「なるほど?じゃあなんで騎手に?」


「さぁ.....なんでだろ」


放送が始まる

「それでは、二年騎馬戦!開始です!」

ピストルの音が響く


”こうやん”のチームはゆっくり進んでいく、”こうやん”は震える両手を前に伸ばしている

かなり面白い光景だ

”ゆう”が噴き出す


「生まれたてのキョンシーかよ!頑張れ!キョンシー!!」

そう言った”ゆう”はカメラのシャッターを切る


「生徒会の仕事?」


「おう!学級通信に載せるんだとよ、生徒会長のこの姿は絵になるぜ!」


「頑張って!松原さん!」


「頑張れ~”こうやん”」


ゆっくりと、だが確実に進む”こうやん”の目の前に相手の騎手が現れる

手を伸ばせば届く距離まで近づくと、にらみ合っている

そして

”こうやん”は両手を大げさにばたつかせ始める

それに動揺した相手はバランスを崩した、しかし目をつぶっているのか”こうやん”は何もしない

態勢を整えた相手は”こうやん”の両手をしっかりつかみ機会をうかがっている

対する”こうやん”は掴まれてもなりふり構わず、両手をばたつかせる

一瞬、相手の力が緩んだ時”こうやん”の手が相手の手を通り抜けハチマキを捕らえると

そのままの流れで引き抜く、するとほどけたハチマキが”こうやん”の手に収まった


「松原さんすごい!」


”ゆう”は腹を抱え爆笑している

「な...なんで...アハハ..あれで.....取れるんだよ」


「いいぞ~!”こうやん”そのまま全員倒せ~!」


その後の”こうやん”の快進撃はすさまじかった、同じ方法で相手をことごとく撃破していった

最終的には”こうやん”の活躍で騎馬戦んは二組が一位となった


「やったな高矢!かっこよかったぞ!!」


「うん、すごくかっこよかったよ!松原さん!」


「すごいね、あれも作戦?」


帰ってきた”こうやん”は涙目だった

「もう.....騎手やりたくない......」


「でも、なんで”こうやん”が騎手になったの?」


「それは....生徒会長になったお祝いだって言われて.....満場一致で僕が騎手になちゃって、断れなくて...」


(そういうことだったんだ)

時刻は12時を回ろうとしている、次が午前最終競技、タイヤ取りだ


「明登!それじゃ行くぞ!」

いつの間にかカメラを”こうやん”に渡した”ゆう”が肩を組んでくる


「いってらっしゃい都田くん谷崎さん」

霧宮さんは満面の笑みで手を振ってくれた


「いってきます」

「おう!応援よろしくな!」


それぞれの位置に着き円陣を組む


「それじゃ、お前ら、全員生きて帰還するぞ!」


「俺、帰ったら推しと結婚するんだ」


「死亡フラグじゃねぇか!」

と、クラスメイトがふざけあって場が和む

そして最後に”ゆう”が締める


「よし、作戦会議はしてきた、あとは楽しむだけだ!楽しんで女子にいいところ見せるぞ!」


「「おぉぉ!!!!」」


一方待機テント

「すごく盛り上がってるね......どうしたんだろう」


「あれが男と言う生き物なんだよ」


「なんで松原さん、泣いてるの.......」


「絆を感じたんだよ」


「えぇ.....」



「さて、それでは競技開始です!」

ピストルの音が響く

話し合ってきた作戦、それは........


「お前ら走れぇ!!」

全力ダッシュして、気合と根性で奪う...,と言うもの

いわゆる、行き当たりばったり大作戦である


開始の合図で僕はなるべく人が少ない方へと駆ける

片手で運べる程度のタイヤを一個わきに挟み陣地に帰る

そしてまた駆け出す

(みんな強いな、このままいくと案外楽に勝てそうだ)

僕はまた小さいタイヤに、手を伸ばす

その瞬間、反対方向から腕が伸びてきた

視線を上げる.....上げてしまった.......この状況下で一番見ては..関わってはだめなもの


その男は鼻で笑う

「誰かと思えば、明登じゃねぇか 夏祭りぶりだな」


南雲 京田(なぐも きょうた)、僕が今一番会いたくない人間


心臓がうるさい

本能が離れろと警鐘を鳴らす

だけど、体が動かない


「あの時はかっこよかったなぁ?随分と、王子様気取りか?」


「..........」


「なんか喋ってみろよ、あぁ?」

南雲は思いっきり僕の腹をけり上げる


「カハッ......ハ...,ハぁ」

(い、息が.....)


「お前の大好きな、完璧王子様にかっこ悪いところ見せられないよなぁ?」


もう一発、蹴りが入る.....

今はタイヤ取りで辺り一帯は大乱闘だ、こんな隅で暴力行為が起こっても誰も気が付かない

でも、今の発言だけは許されない

(霧宮さんは完璧王子様じゃない......僕が責任を取らないと、だからまだこれは離せない)


「早く離せよ、まだ痛い目に遭いたいのか?

.........そうかよいいぜ?こっちもいいサンドバックが出来て気分がいい」


また蹴られる、痛いのは嫌だ、でも、霧宮さんを馬鹿にされるのはもっと嫌だ

なら、僕はまだ耐えられる

僕は歯を食いしばり目をつぶって痛みに備える

だけど、一向に痛みが来ない

目を開ける、目の前には南雲と南雲の足をわきで抱え込んだ”ゆう”がいた


「霧宮から依頼されたからな、完遂させてもらうよ

明登!動けるか?全力で突っ走るぞ!」


”ゆう”は南雲の足を振り払いタイヤを持って全力で駆け始める

僕も痛みを我慢し、それに応えるように走る

南雲はバランスを崩し、引きずられるように地面を滑ってゆく

そして、自陣までタイヤを運び終わった


「競技終了です!」

南雲はこちらを睨むが、いつの間にか僕の背後にいたタイヤ取りのメンバー全員から睨み返され

逃げるように去って行った

緊張がほどけた僕は.....その場で倒れる

二発.....不意打ちでもらってしまった、それが今になって効き始めた

冷や汗が出る、息が...吸いずらい


「大丈夫か、明登!先生!!担架を!!」

”ゆう”の声が聞こえる


「都田くん!大丈夫!?」

霧宮さん....?心配性だなぁ


「明登、もう大丈夫、保健室まで運んでいくから」

”こうやん”が担架を運んできてくれた

そして、僕は保健室まで運ばれ、ベッドに寝かされている

”こうやん”と”ゆう”は生徒会の仕事で本部に戻り、今は霧宮さんと二人きりだ


「でも。都田くん大丈夫だった?痛かったでしょ」


「ごめん、かっこ悪いところ見せたね」


「かっこ悪くなんて、ないよ.......たぶん私を庇ってくれたんでしょ?」


「そんなことは........」


「私のためを思ってくれたんだったら、ありがと都田くん

そうじゃなかったとしても、頑張ってる都田くんはかっこよかった」


「ずるい......」

君は、ずるい

なんでそんなに人に希望を与えられるんだ

なんでそんなに輝けるのだ、君はずるいくらいに眩しい


「霧宮さん、昼ごはん食べないの?午後リレーでしょ?」


「けが人が健常者の心配しないの、ほら、少し寝たら?」


「......わかったよ」

僕は眠りに着こうとする

でも、寝付けない

まだ奥底に残る恐怖が僕を支配していた


「♪~」

鼻歌が聞こえる、頭が優しくなでられる

夏の初めに感じたような。母親が子供を寝かしつけるような

そんな優しさを、君は惜しげもなく分けてくれる


「私がそばにいるから、安心しておやすみ」

やっぱり、ずるいし

君には敵わない


僕はその優しさに包まれて、意識を手放す


ご一読感謝です!!!!

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